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幽霊さん  作者: 弁財天睦月
新生活

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17/52

3-4

2日後の夜。

「そうですか···」と夏目りんさんは視線を落とした。

遊海としては「お力になれずすみません」と謝るしかない。

数百年も昔のことを調べるのがこれほど大変なことだとは思ってもみなかった。

国会図書館などで調べてみると見つかるんだろうか?

お六の時と同じでかなり厳しい気もするんだが。


「いえ、とんでもありません。

急におしかけてきて難しすぎるお願いをしてしまって申し訳なく思います。

お詫びといってはなんですが、あなたに差し上げたいものがございます」


そんな、お礼なんていりませんよと1度は丁重に断った遊海。

でももらってやってくださいと食い下がる夏目りんさん。

そのままにしておいてもなんの意味もないので使える人に譲りたいということだった。


第2次世界大戦によって夏目家のお墓が移動している。

夏目家の場合、その移動先がこの総完寺。

戦後、1945年以降になる。

東京では空襲があって広範囲での被害が出ている。

もちろんお寺だって例外じゃない。

墓石が残ってたりすると別のお寺に移転するケースもあったようだ。

はっきりとした年代がわかってないが1950年までの間に移転してきたものだと思われる。

その墓石移転の現場は堂々と見ていた。

どうせ人の目には映らないので誰にも気づかれることはない。


ちょっと待って。

人の目には映らない。

それじゃ、人で見えてるのって自分だけなのかと遊海はなぜなんだろうと考えてしまうことになる。

なんか「視える」っていう特殊な能力を持ってるのは自分1人だけ?

この総完寺に来てから急に「視える」ようになった。


りんさんは墓石移転の現場に立ちあった。

何人かいた中の1人が妙な行動をしているのも見た。

他の人の目を盗むようにコソコソと動いていた。

それがどういう意味を持つものなのかりんさんにはわからなかった。

推測するとすれば供養のためだと思われる。

それを遊海に譲ってくれるということだ。

善は急げでこれから行きましょうということで懐中電灯を手に遊海は外に出た。


幽霊さん4人も一緒だ。

この時に初めて知ったことがある。

幽霊さんたちは夜の闇の中でも見えてるんだそうだ。

昼間ほどの見え方ではないが行動するのに不便はないほどに見えているということだ。

幽霊ならではの特別な能力なんだろう。


墓石が立ち並ぶエリアに入った。

電灯があるわけでもないので夜の闇は濃い。

幽霊でも出てきたらどうしよ?

それをボソッと口に出していた遊海。

おまえなぁって反応したのは源五郎。




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