第8章
一巻八章
誰もいない部屋は、いつもより空気がひんやりしている。さっきシェル達と荷物を置きに来た時は賑やかなワクワク感で満ちていたのにな……
ひとりベットに腰掛けると、世界に一人だけ取り残されたみたいだ。私はこの寂しい感じ、好きじゃない。友達と遊んだ後の家とか、休みの日のホテルと似ている。
私のアクティビティが早く終わりすぎちゃったのかなぁ。はぁ〜、早く二人共来ないかな。
どうせなら建物の入り口で待ってよっと。その方が気が楽だし、我ながら名案かも!
そう思って勢いよくベットから飛び降りると、階段の方から賑やかな声が聞こえてくる。……って事は戻ってきた!?
電光石火でドアの前に滑り込む。さっとドアを開けると数メートル先の廊下にいた親友二人に反射的に飛びつく。
「わぁ!マリン!?」
「もぉ〜びっくりさせないでってば〜」
シェルのラベンダー色の三つ編みツインテールと、みなみの黒髪サイドテールに挟まれて私はニコニコする。
私は、珍しいみなみの慌てっぷりと、驚いたシェルの反応を見れて大満足!
特にみなみがここまで慌ててるのは貴重だ。
「マリンの電光石火さ、すごいねぇ〜」
「シェル、『電光石火さ』はちょっと間違ってるんじゃない?あまりそう使わない気がするけど……」
「え〜。じゃ、みなみだったらなんて言う?」
「『機敏さ』とかじゃない?」
「それじゃあことわざでも四字熟語でもないじゃん!
無意味だよ、無意味!」
「いつまでそのネタ使うつもり?
いい加減、そろそろ飽きてこない?
あと、無意味は四字熟語じゃないからね。」
「え?む、い、み……ほんとだ、三文字だ。
それはどっかに置いといて……
勉強にもなるし、楽しいし……最高だから飽きないよ!えっ〜と、一石二鳥ってやつ?」
最近私たちの間では、ことわざと四字熟語が流行っている。原因はみなみがことわざテストと四字熟語テストで満点を取った事だ。と、言っても思い出したら急に、「ことわざ&四字熟語使いモード」でたくさん使うだけだけどね。
よーし、私もシェルに加勢しよっと。
「そうだよ!これで三人とも次のテストはバッチリだし、間違えたら誰かが気づくから間違えて覚えないでしょ?ほら、三人寄ればもんじゃの知恵!」
もちろんことわざも使っていく。このことわざ、美味しそうでお気に入りなんだよね。
「マリン……それを言うなら三人寄れば文殊の知恵、ね。『もんじゅ』だからね。」
そ、そんなー!?
「え、みなみが言うって事は本当!?冗談じゃなくて?」
「さっすがマリン!『間違えたら誰かが気づく』の有言実行だ〜!」
「マリンったら、冗談なわけないでしょ。」
う……親友二人からのダブルアタックが……ダメージ強すぎる……
「マリンが可哀想だから話題転換してあげる!
とっておきの話題があって……」
部屋に戻り椅子に座ったシェルは話し出した。
「私はね、るーちゃんとグループが一緒になったんだけど……」
どうやらシェルは貝がら拾いをしたらしい。私もマリエのお土産に拾っていこうかな!
「あ!そういえば!
秘密のお話しだけどね……」
私たちはぎゅっと話し手であるシェルに顔を近づける。この部屋は私たち以外誰もいないし、聞かれる心配なんてないけど、そこはつっこんではいけないところだ。秘密話のムードってものがあるのだ。
「るーちゃん、夜中に恋のおまじないをやるために、浜辺の砂浜海岸に行くんだって!」
ひそひそ声でもワクワクしてるのがわかるのは、さすがの恋愛好き。一方、それを聞いてた学級委員長さんは、眉をしかめる。
「それって抜け出すって事?
流石にそれは放っておけないんだけど。」
私の反応?別に私は恋愛もルールも人並みにしか気にしてない。
でも、「夜中に抜け出す」ってすっごい良いアイデアじゃない!?これなら「魔法のノート」を探しに行けるかもしれない。
私は目をキラキラ輝かせた。
あとがき、これからも応援お願いします!




