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Light Blue   作者: 七芽三花
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第4章

何か私にできる事はないかと周りを見渡すと、目の前の進むべき道は三つに分かれてる。風で開かれたしおりのページには私達が泊まる宿舎のイラスト。

 目線を何回も往復するとなぜか懐かしい気持ちになる。……あれ?でも「海の合宿」は3年生から参加で、ここには来た事ないはずなのに……

 左の道は、海に繋がってるかもしれない。岩場じゃなくて砂浜の海かな。貝殻とか拾えたら楽しそう。

 右の道は、森の中に繋がってそう。リスとか、カモメとかいたら素敵だなぁ……

 何故か妙に鮮やかなイメージが浮かぶ。そう考えると、きっと、真ん中の道が宿舎へ続いてる。

 思わず口に出してしまいそうで慌てて口をつぐむ。

 私の勘は全然当たらないし、二人を困らせちゃダメだよね。前に迷子になったばっかりだし……

「おーい、みなみ達ー!

 どうしたの、そんなとこで止まって。」

 そう言ってやってきたのは同じクラスの元気なグループ。みなみが事情を説明すると、しおりを確認してくれる。

「私のにもないな……」

「私のも!」

「みんなのにないってことはもともとの原本のミスなのかも……?」

 元気なしきりやくのヒカリちゃん、そしてみなみは二人で冷静に話してるけど……これって結構大問題?

 もともとの原本?にミスがあるって事全員分間違ってて、正しい道への行き方を知る方法がないって事で。初めて合宿に来る私達のクラスはみんなここで止まっちゃう。先生は先に行っているはずだしあまり気が付かないかも…

 あ、でも担当クラスがない副校長先生は港に居たような気がする。

「あのさっ!」

 考え込むみんなに声をかけると一気に視線の集中攻撃を浴びる。

 うっ……!

 いつもは「しっかり者でリーダーシップのあるみなみと、可愛くて人気者なシェルといつも一緒にいる子!」みたいな感じであんまり目立たないから、こんな注目されるのは慣れてない。

「まだ港に残ってる先生がいないかな、って思ったんだけど、どうかな?」

 き、緊張した……いつもみんなの前で堂々と意見できるみなみも、楽しげにお喋りするシェルも、すごいなぁ。

「確かにそうかも!?

 よーし、じゃ、港まで走ってきてよ」

 ヒカリちゃんがお調子者のコーキくんの肩をガシッと掴む。

「は?なんで俺が?」

 頼まれた本人が戸惑う。二人はいつもクラスで言い合いしてるのに、なんでわざわざ彼に頼むんだろう?

「だってあんた、クラスで一番足速いじゃない」

「まあ、速いとは思うけど…」

「それが一番手っ取り早いでしょ?」

ヒカリちゃんがにやっと微笑むと、コーキくんは少し首を傾げてからコクリとうなづく。

「そこまで言うなら……行ってくる」

 走り出した彼は、流石のスピード。いつもヒカリちゃんに言い返してるイメージだったのに、不服そうな態度すら見せずにすんなり言うこと聞くなんて、なんだか不思議だ。

「ヒカリ、よかったの?」

「うーん、悔しいけど正直コーキの方が速いじゃん?ま、来年の運動会はうちの組が絶対勝つけど!」

 みなみの問いかけのおかげで少し納得。ヒカリちゃんは運動会の時は赤組で、白組のコーキくんとすっごいギリギリで競ってたもんね。コーキくんはそんなライバルに認めてもらって嬉しかったのかな。

 そう考えると微笑ましい。いつも言い合いばっかな二人だけど、喧嘩するほど仲がいいって言葉もあるし、以外と良い関係なのかも?

「あれ?コーキ?

 いくらなんでも早すぎない!?」

「おーい、正しい地図をゲットしたぞ!」

 そうヒカリちゃんに答えたのはやっぱりコーキくん。可愛い落書きのされたしおりを手に持っている。

「え?なんでしおり?

 てか、誰のしおり?絶対あんたのじゃないでしょ?」

「あいつらのしおり」

 そう彼が指差した先には……ん?誰もいないような……気がする。

 みんなで数分固まってると女子二人組が駆けてくる。

「は、はやすぎだよ……!」

 いつもおっとりなクラスメイト二人が珍しく焦っているのを見てヒカリちゃんはさりげなく、でもかなり強く、コーキくんの頭を叩く。

「いって!なにすんだよ!?」

「あんたねぇ、しおりを借りるだけ借りておいていくとかホント何してんの!?」

「いやだって、早くしたほうがいいし…」

 バレーボールでバンバン活躍してるヒカリちゃんのげんこつ、絶対痛いよね。ゴンって音したし、本気で殴ったのかな……

 さっきの訂正。仲が良いのか、悪いのかよくわからない。とりあえず、普段の喧嘩を繰り広げている二人はおいといて、みなみ達と地図を開く。

「あっ!あった……!真ん中の道だ……!!」

 ……えっ?

「地図があってよかった〜」

「二人のはなんで書いてあったんだろうね?」

「ほら、きっとあの日は……」

「道がわかって、本当に良かったね!」

 嬉々とした輪の中で、私はひとり絶句していた。

 そりゃあときどき勘が当たる事なんてあるけど。土地勘だけは私は今までどうしてもダメだったから。記憶や地図を頼りにしても、勘で行っても、変な所にでちゃうし……

 他の道は、どうなんだろう。当たってる事なんて無いと思うけど、気になってくる。

「どうかしたの、マリン?」

「へ?

 ううん、なんでもないよ!」

「もぉー、マリン!

 早く行くよ〜!」

 私は二人の親友の元へと駆け出した。


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