第10章
一巻十章
宿舎を出てご飯を食べるキャンプ場へと向かう。みなみは鋭い視線で地図と睨めっこしてるし、シェルはほっぺを膨らませたまま、飽きずに空を見上げている。私は二人の真ん中で、話すタイミングを見失っている。このままじゃご飯までこのムードで、楽しくなくなっちゃうよ……せっかくの夜ご飯……
どうしよう、やっぱり行くことにした方がいいのかな?それでもマリエのプレゼントは諦めきれないし…ネガティブになっちゃダメだ!他の事考えないと!
そういえば合宿の夜ご飯は教えてもらってない。隠すぐらいなら嬉しいサプライズになるものだと思うけど……嫌いなものだったらどうしよう?
「ねぇねぇシェル〜。今日の夜ご飯ってなんだと思う?」
「え〜?知らないよ」
そっぽを向いたまま答えてくれるシェル。
「みなみは?」
「私は合宿実行委員で知ってるけど」
チラリと私を見て、流し目で口にする。二人のご機嫌斜めはやっぱり戻ってないみたいだ。
よーし、知ってる人がいるなら聞き出してみようっと。
「みーなーみ、教えてよ〜〜!」
「機密情報だからダメ。」
「え〜!?そこをなんとかー!」
「じゃあ最初の一文字だけ教えてあげる。最初の一文字は、『か』」
つまり、ここからは当てずっぽうに食べ物を言って、みなみの反応を見ればいいんだね?
よーし、そうとなったらたくさん考えないと!
「えっ〜と、からあげとか、かき揚げとか……
か、か……かりんとう?」
みなみは小さく首をふる。うーん、流石にかりんとうはなかったか……
「か」から始まる食べ物でしょ、他に何があったけ?
一生懸命考えてると、最悪の可能性が頭をよぎる。
もしかして、私がまだ食べれない……あの食べ物だったりしないよね?
「か、カキフライ……とか!?」
「何それ面白すぎ!」
「そんなわけないでしょ、もっとみんなが楽しめるご飯になってるから。」
むっ……笑われるくらいおかしいと言われるのはちょっと不服……。でもこれでもう一つのヒントをゲットだ。
みんなで楽しめて……「か」から始まるもの……?
「そこは簡単に考えて、カレーじゃないっ!?」
シェルが飛び入り参加で当ててくる。私があんなに苦労しても違ったんだもん、そんな簡単に正解なわけ……
「シェル、正解よ。やっぱり、シェルは知ってたんじゃない?」
えー!?そんなぁ〜。私、かなり真剣に考えたのに……。
「知ってたけど、普通に考えればカレーだって当てられるよぉ〜
カレーだと好き嫌いがあっても、トッピング次第でみんな楽しめるでしょ?」
そう言われると、なんでカレーって思いつかなかったのか不思議に思える。完全に忘れてたぁ……。
「って、シェルも知ってたの!?」
さっき私が聞いた時は、知らないとか言ってたのに!?
「マリン、ごめんね!この学校の伝統らしくて、お姉ちゃんから聞いちゃった!
学校からは、下の学年には秘密にしなさい、的な感じだったし……言わない方が面白いかなって☆」
シェルのウインクは相変わらず可愛いけど、なんでそんなに上手く片目だけ瞑れるの?とか思うけど……親友の私には最後の一言、隠しきれてないからね?
あれ?今思い出したけど、先ほどのピリピリムードが消え失せてる。
うん、みんなでこうやってワイワイするのが一番楽しい!
「ほら、二人共、早く行こう!遅れちゃうよ!」
「大丈夫、まだ余裕があるから。」
「大丈夫!遅れたらマリンのせいにするから!」
な、なんて酷いやつ……学級委員長に言いつけてやる!
「みなみ〜、シェルが意地悪だよー!」
「はいはい」
私の渾身の報告は、軽く流されてしまった。
あとがきーこれからもよろしくお願いします!!




