プロローグ
白一色の部屋が、茜色に染まりかけた夕暮れ時。唯一鮮やかなテレビの画面は悲惨なニュースを映していた。
「先日、貝乃原小学校の裏庭で、小六の児童の死体が発見されました。現状から自殺だと予想されています。今、警察が原因を調査しています。このことについて知っている方はすぐに警察にお知らせください。」
テレビを見ていた女の子は弱々しくつぶやいた。
「なんで自殺なんかするんだろう……?その健康な体を分けてほしいよぉ〜。余命十日の私に……」
溢れ出てくる雫を押し切り出たその声はとても暖かかった。
一人でグッと涙を堪えていると、テレビは新たな話題に切り替わる。
「速報です!つばきグループの希望の星が交通事故でーー、、、」
ープツンー
彼女は苦しいような、悲しいような気持ちを抱えテレビを消した。女の子は暗い顔で窓の外を見て、大きなため息をついた。
(つばきグループみたいなお金持ちが交通事故にあったから大騒ぎなのかな?私が死んでも別に……)
堪えきれなくなった涙を浮かべて、のそのそとベッドへ戻った。
そして、机においてある本を抱き上げるように、拾った。その本は、死んでしまったお母さんが書いた小説<クルクルワールド>だった。
そのお母さんが生きてる時、彼女に言ったのだ。
「想像の世界は無限だから。私がいなくなっても消えないから。この物語を紡ぎ続けて……」
その時は約束したけれど、書こうとするたびお母さんとの思い出がよみがえってきて、苦し……くって。書けないまま、あと少しになってしまった。本当は、自分で紡ぎたかったけど。お母さんの約束だけは叶えたくて、クルクルワールドだけは残したくて、小説家を目指している沙彩ちゃんたちにたくしたのだ。
『死んでも誰も気にしないだろうな…
またお母さんに会えるかな?
だいじょうぶだよ。自分。』
自分に言い聞かすように唱えている女の子は涙があふれ出て、本を抱いたまま、命の電池が切れ、この世を儚く散った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はぁ~なんでみんないなくなっちゃうんだろう」
私、夏字沙彩は、テレビを見ながらつぶやいた。ぼんやりニュースを見ていると、ふと違和感を覚える。
貝乃原小学校の女の子、つばきグループの希望の星の子、全然違うけど、なんかにているような気がする。謎解きやミステリーが好きな私は、この二人の共通点を見つけ出したくて仕方がない。本当に似てるのかわからないけど、自分の勘は自分が信じてあげないと何も始まらない。
部屋からパソコンを持ってきて、調べると、発見時の写真や遺物の写真がでてくる。って、あーー!
このつばきグループの子の遺物であるバックに、『クロネズミ』のアクリルキーホルダーがついてるっ!
『クロネズミ』はクルクルワールドの後半に出てくる知名度が低めだけど大切なキャラ。よって成旧襟夏さんのキャラクターが一斉グッズ化された時も、人気がない為グッズが少ししかなく、とてもレアだったのだ。
そんなレアグッズを持ってるなんて……お嬢様のコネ?ま、そもそもこのキャラのグッズをコネを使ったとしても買って、しかもバックにつけるほどということはかなりのファンなはずだ。
一旦それは置いといて、共通点は……って!!
貝乃原小学校の子はクルクルワールドを抱いて見つかっているんだ!つまり二人の共通点はクルクルワールドのファンな事!
いくら成旧襟夏さんがすっごい作家さんだとしても、クルクルワールドは比較的知名度の低い作品だし、ファンは限られてる。共通点はこれだったのか〜わかって嬉しい!
私は手に持っている原本を見て微笑んだ。
成旧襟夏さんこんなにファンがいて嬉しいよね〜。襟夏さんの為にも頑張って書き続けないと。といっても展開が決まってないんだよね。せっかくならみんなのために私ができる事はないかな…… あ、せっかくなら二人を「クルクルワールド」の中に転生とかさせるとか!ついでに襟夏さんも……天国で見てくれているよね!
そう考えるとワクワクしてくる。
これが襟夏さんの言ってた、『私なりの新しい結末』になるのかなぁ?
「沙羅ーー沙捺ーー!本の続き、考えたよーー!」
海風マリンはまどろんでいた。しかしさっきまで見ていた『夢』はもう忘れかけている。それでもなお、最後の声と、「このままじゃ、いけない」「忘れかけてちゃ、だめだ」という強い違和感、不快感はかろうじて残っていた。
強い光と親友の声を聞き、目を覚ます彼女には少し特別で日常的な毎日が待っている、はずだ。果たしてどうだろうか、、、
読んでいただきありがとうございます!
初めての投稿でモタモタしながら書いていました…
けど楽しんでいただけたら幸いです。




