第一話 出会いはいつも突然に来る
もし君が、最強になったら、どうするか?
世界を統べる王になる?
世界を滅ぼす魔王になる?
世界を救う勇者になる?
人を助けるヒーローになる?
チートスキルで、のんびり暮らす?
誰からも邪魔されずに、ハーレムをつくる?
因縁の相手に、復讐をする?
力を隠して、影の支配者になる?
世界を変える神になる?
それとも、
中盤で退場する、主人公を育てる最強キャラになる?
「はぁーーー」
「やっぱり、最強を倒すのは、最強でなきゃな!でも、まさかの主人公が、あそこで助けに来るとは思わなかったけどさ、まじギリギリすぎんだろ。まぁでも、南極から駆けつけれんのはやっぱりバケモンだな、というか、よく間に合ったな。これがいわゆる、主人公補正ってやつか!」
彼の名前は 江戸 真理 。
一応この物語の主人公である。
時刻は深夜の4時、今日も今日とて、朝までアニメを見て、眠りにつくお決まりの行動。
高校は夏休みで、一人暮らしだから、最近では、江戸のフィーバータイムは深夜まで続く。
最近は、V系に手を出してしまって、配信とアニメ鑑賞がとても忙しい。しかし、今日はいつもと違う。
聖域に住まう彼でも、明日は、外に用があり出かける。
よって、寝るのが少し早い。
「ちょっと仮眠して、10時には家を出よう。明日は、アキバのコラボカフェ行って、コースターをゲットして、中古店をパトロールして、帰ってきてから、プラムちゃんのLive配信待機して、おわったら、コンビニの一番くじ並ばなきゃ。今回のA賞、ビジュ良すぎだから、秒で無くなりそうなんだよな。」
「よし、寝よ。」
明日の予定は完璧だ。明日は忙しくなるぞ。
(・・・・・・・・・・・・)
寝初めてから2時間程が経過したとき。
妙な音が聞こえる。
(・・・・・・・・・・・・)
(・・・・・・・・・・・・)
雨の音か?なんか、砂でもひっくり返してるみたいな音がする。
気のせいだろ、今日の天気予報は晴れだ。
(・・・・・・・・・・・・)
(・・・・・・・・・・・・)
虫の鳴き声か?
人の笑い声のような気もする。おジャ魔女の聴きすぎで、耳が壊れたのかもしれない。
2倍速で聴いてたのが、トドメになったか。
(・・・・・・・・・・・・)
(・・・・・・・・・・・・)
「あ、も、うっせーなー!!!もうちょい寝させてくれ!!」
壁にツッコミを入れつつ、腰を起こす。
すると、煩わしい声は消えていた。
突然、頭に酷い痛みがする。
「っあーーーーーーー」
声がまともに出ないほどの鈍痛と、酩酊感に襲われる。
耐えられず、布団を噛み潰す。
止め方が分からず、耐えることしかできない痛みは、何事を無かったように一瞬で消える。
その反動により、頭が上に少し上がる。
その時、文字の羅列が頭の中を駆け巡る。
「はぁっ、はぁっ………」
心拍が急上昇している。
あ、この感じは、あの日、好きな人に出会った時の、あの衝撃のようだ。
これは、学校で孤立してしまったあの日、帰りの電車でたまたま君を見つけた話。
僕が君を見たとき、君は僕を見つめていた。
照れ臭くて、少し目を逸らしても君は僕をずっと見ていた。
君のその太陽のような笑顔が、溢れるような優しさが僕を救ってくれた。
緊張しながら、話しかけてみる。
そして、満面の笑みで君は、僕の名前を呼んでくれた。
その瞬間はきっと一生忘れない。
カブライブ所属Vtuber、プラムちゃん。
俺はそうして、君に救われたんだ。
「あ、そうえば」
気づくと、飛び交う文字は、ゆっくりと静止し始めていた。
形を成した文章は、まるで初めから知っていたかのように、そして、知らなかった自分を思い出せないほどに、深く脳裏に刻まれた。
「は?なんだこれ?」
物語はここから、最強の男の長い回想シーンへと入っていく。
お読みいただきありがとうございます。この物語は、私の空想物語です。そこそこで書くので、そこそこで読んでいただければ嬉しいです。よろしくお願いします!