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【コミカライズ進行中】魔王城の絶品社食、作っているのは生贄です!  作者: 秋色mai @コミカライズ企画進行中
二章

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16. とっても胡散臭い


「もういいわ、あんたここで脱ぎなさい」

「えぇ!? そんな、エリザベス様のえっ」


 いつも心臓丸見えにさせといて何言ってるんだか。

 船に乗せたままにして帰したいけど、このアホが荷物に骨なんて混ぜたからそれも無理。てことはもう誤魔化すしかない。


「わああああ、ちょ、見ないでぇ!! オイラのオイラがぁ!」

「恥骨以外何も見えないわよ! いいから大人しくしなさい!」


 とにかく脱がす。ズボンとか靴とか全部。骨が微妙に茶色っぽいというか黄ばんでるというか……どうせ大雑把に洗ってるんだろうなこいつ。今度丸洗いしてやろう。


「はい、バラバラになって」

「えぇ……オイラ、恥ずかし」

「そ・れ・と・も、殴られてバラバラになりたいの?」

「ひえっ」


 あとはこの骨をそこら辺にあった箱に詰める。ただの人骨です。生きてません。


「角は……箱の底に差しときましょう」


 ガァンと突き刺して完成。なんか


「雑!! 雑ですって!!」

「次喋ったらあんたの命はないからね」

「っ!! っ!!」


 これで検査通らなかったら……もう知らない。他人ならぬ他骨です。


「早く降りないと怪しまれますよ」

「え、ええ」


 セシリオから入港証を渡されて、船を降りる。降りた先にいる検査員に渡し……渡……。

 セシリオの腕をグッと掴み、強制的に耳を傾けさせる。ちょ、屈んでってば。私はコソコソ話がしたいのよ。


「なんですか」

「ねぇ、あれ人間よね!?」

「それ以外何に見えるんです」

「無理なんだけれど!」

「あなたも人間でしょう、ほら早く行ってきてください」


 私がここにくる羽目になったのはあんたのせいなのに!

 恨み言を言ったとしても、代表が私なことに変わりはなく。仕方なく、ほんと仕方なくジリジリとにじり寄って、バッと差し出す。


「にゅ、入港証でしゅ」


 久々の対人戦で、どもって舌を噛んだ。セシリオがやれやれって感じで顔に手を当ててる。

 魔族に囲まれて快適に過ごしてたおかげで、コミュ障すぎて破滅したこと忘れてた。

 検査員さんが桟橋に置かれた荷物の山をキッと睨む。


「荷物を検めさせてもらう」

「は、はい、どうぞ……」


 やばい、怪しまれてる。なんか荷物一個一個丁寧に調べ始めちゃってる。後ろめたいことがあるわけじゃないんです。いや、後ろめたいんですけど、そうじゃなくて。

 内心あわあわしているうちに、ついにジョンの木箱に辿り着く。中を開いて……。


「なんだ、これは!?」


 やっぱり驚かれてしまった。そうよね、人骨はおかしいわよね!! や、やばいどうしよう。


「すみません、それは……」


 セシリオが前に出てくるより先に、誰かが横から現れる。


「そないに声荒げてどないしたん。ってああ、そらお客はんのと違う。ボクの生薬の材料やわぁ。小鬼の骨は妖力の回復にええらしゅうて、わざわざ東の国からなぁ。あい、許可証」


 確かに他の船も停泊していて、荷物が混じっても不思議ではない。けど、流石に……と思ったところで、凄みに気づく。検査員さんは乱雑に触ったのを怒ったのかと思ったらしく、丁寧に箱に戻していた。


「驚かしてかんにんえ」


 さっきまで威圧していた謎の人が、途端にニッコリ笑う。

 黒く長い三つ編みに白のメッシュが入った髪に、赤い紐みたいなピアスが映える。チャイナっぽい服を着ていて、木箱を背負ってて。何より大きな丸いサングラスをかけていてもわかる、糸目!!!

 胡散臭い。顔がいい。怪しすぎる。なぜか京都弁。もしかして続編が出てて、裏切り者キャラか何かだったり? 中古ショップで買ったから知らないけど。

 ぐるぐる考えている間に、検査が終わる。


「行っていいぞ」

「お、お仕事ご苦労様ですっ!」


 検査員の人は、なんだただの会話下手か……という哀れみの目で私を一瞥して去っていった。はい、その通りでございます。


「……先ほどは助かりました。が、一体なんのご用件で?」


 ぼけぇっとしている私の前に、セシリオが出てくる。

 そうだ。安心してる場合じゃない。だって、この人には私たちを助ける理由がない。


「ボクは白露(びゃくろ)。東西にまたがる、しがない薬屋。そやさかい、あんたたちのこともよう知ってるんやわぁ」


 ニコリと笑うその笑みが、やっぱりとっても胡散臭い。


 読んでいただきありがとうございます。ブクマ、リアクション、コメントなど励みになります。

 次回は来週の平日はじめのお昼頃更新です。

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チャイナ糸目サングラス………(cv石田) あ、おねーさん杏仁豆腐おかわりー
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