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【コロナEXにてコミカライズ連載開始】魔王城の絶品社食、作っているのは生贄です!  作者: 秋色mai @魔王城の社食コミカライズ開始!
二章

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10. ふんわりほわほわ


「見なさい!! 先輩の優しさを!!」


 バーンと見せるは、手作りカップ。まあマグカップとかでも作れるけど……大量カップケーキには絶対必要なもの。折り紙とかそんなに得意じゃないんだけど……頑張った。力作。


「……その容器に流せばいいのですね。どのくらいですか?」

「ちょ、ちょっと待ちなさい。そんな塩対応する? 普通」

「それで寝ていなくておかしなテンションなのは分かりましたけど、私には関係ありませんし」

「いや確かにちょっと深夜テンションだけども」


 そこまで見抜いておいて、どうしてそんな薄い反応なのよ。血も涙もない魔王なの? いや魔王は別にいるし、その魔王凄く優しいお人好しだけど。


「そもそも、貴女の従者のせいですよね?」


 グサッ。それはその、ジョンのアホのせいで。


「ということは監督不行届……つまりあなたのせいです」


 グサグサッ。たしかに私の下僕で、プリンあげられなかったからだけど。


「私に最大限協力するのは当然では?」


 ……ガハッ。

 もうやめて、エリザベスのライフはもうゼロよ。

 こっちが正論でパンチされているのを見て、ニヤニヤしないで。教えてあげないわよ。教えるけど。


「それで、どのくらいまで入れるんです?」

「あんまり入れすぎると火が通りづらいから……せいぜい七分目までね」

「はい」


 天板に並べたカップにきっちり七分目まで入れるセシリオ。誰がどう見ても七分目。きっちりしすぎて逆に怖い。

 その間に私はスチコンの余熱。ここら辺は慣れてくれば自分で段取りができるはず。


「……少し余ったのですが」


 不服そうに見せつけられたボウルには、ほんの少しの液が。まあ手作りカップだから、多少の誤差はあるわよね。


「そのくらいなら最後のカップに入れちゃって」

「はぁ?」

「別に火が通りづらいだけで、焼けないわけじゃないし。逆に良いものが見れるかもしれないわよ」


 完璧主義のセシリオがなんかブツブツ言っているけど聞こえない。確かに計量は大事だけど、こういう時の柔軟性と思い切りだって必要なんだから。

 余熱が終わったところでスチコンの中に移動させて。


「よし、いれたわね……」


 スイッチオン!

 ああ、この時間。お菓子作りで一番大好きなところ。次に好きなのが甘い匂いが漂ってくる瞬間。

 でも……。


「表情が騒がしい人ですね。厨房出てくれません?」

「真顔に戻れってことなら無理な相談よ」


 家で食べるだけならいいけど、今回は効率重視な社食メニュー。ぼーっとしていられる時間はなくて、今のうちに調理器具の片づけをしなけれならない。


「見たかったなぁ……膨らんでいく瞬間」

「見てくればいいじゃないですか。片づけは一人で足ります」


 優しいような、ウザがられているような。しっしと手まで降らなくても。


「まったく、あんたも見なきゃ意味ないでしょ。二人でさっさと片付ければ、ギリギリ間に合うかしら」

「酔狂なことで」

「世界を滅ぼそうとした奴にだけは言われたくないわ」


 というわけでさっさと擦って流して片付けて。分担作業でより早く。

 急いでスチコンの前にいけば、ちょうど膨らみ始めたところだった。そうそうこれこれ、オーブンの前でじっと見るこの時間が、一番好き。


「あの大きいの見える? あれが、八割まで入れたやつね」

「……ふくらんでいる」


 横を見ると子供のようなあどけない表情で、セシリオはカップケーキを眺めていた。

 バターと小麦粉の匂いが鼻をくすぐる。ああ、最高だ。


「いい匂いがしてきたーーー!!」

「あら、ほんとうね。いい匂いだわ♡」


 食堂の方にも匂いが流れていったようで、馬鹿と野太い声が聞こえる。

 三十分程度で焼きあがる、お手軽おやつのカップケーキ。これ案外、うなぎ屋とか焼き鳥屋みたいに匂いで売れたりして……。

 と、考えていたところで焼き上がりの音が。ちゃんとミトンを嵌めて、火傷に気を付けて取り出してもらう。労災はよくない。


「じゃ、こっそり味見しましょうか」


 ふんわりでほわほわの、焼き立てカップケーキを。

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― 新着の感想 ―
焼き上がる過程が食堂から見えたりするのも、購買欲そそられるやつだぁ(*゜∀゜)
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