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【コミカライズ進行中】魔王城の絶品社食、作っているのは生贄です!  作者: 秋色mai @コミカライズ企画進行中
二章

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3. 魔族って便利すぎる


「まずは大きなボウルを用意……あるわね」


 調理用具棚で収納のように使われてるけど、あれ多分巨人用のボウル。中の通常サイズの調理用具をどかし、骨だけのジョンと妖精のジュリエット、調理によって培われた私の腕力でどうにか持ち上げる。たった一つのボウルが、数人で作業する用の調理台を占拠。

 次に卵の大きさからなんとなく計算して、砂糖や牛乳を計量する。今回はアイスも作るから、その分も考慮して。


「ヒッ!! あ、甘い物ってこんなに砂糖が入ってたの!?」

「……そうよ。そうなのよ。でも、減らしたりしたら失敗するの。これがお菓子作りの洗礼よ」


 山……今回は卵の大きさもあるから比喩表現じゃなくマジに山盛りの砂糖を見て叫ぶジュリエット。これ一人で食べたら致死量だわ。

 さすが食堂。調味料の在庫が豊富でよかった。牛乳はちょっと怪しいけど、献立表を見る限り直近で使うわけじゃないし、ポケットマネーからの補填で間に合う……はず!


「よし、じゃあ卵を割って……割っ……無理じゃない?」


 堂々と鎮座する卵。どう考えても持ち上げられないし、その上割って入れるなんて無理。


「オイラ分かった! 石で叩けばいいんだ!」

「バカねぇ♡ 殻が入っちゃうでしょ。釘とハンマー持ってきなさい」


 ジュリエットが釘を刺し、私は言われた通りにハンマーで叩く。それを続けていると、蓋のようにぱっかり卵の殻が外れた。けれど、外したところでどうやってボウルに入れろと……。


「さーせん!! 忘れ物しちゃって……」

「あっ、いいところに!!」


 そんな時、食堂のドアが開く。オーガのお兄さんが財布を忘れてったみたいで、休憩中に取りに来た。

 ……これは、プリンの神が私に微笑んでいるのかもしれない。そんなのいるかわかんないけど。


「ちょっと鬼の手貸してくれない!?」

「は? え? うす!」


 オーガのお兄さんはよくわからずも、ボウルに卵を流し、砂糖を入れ、混ぜてくれた。牛乳も入れてくれた。オルトロスの元で鍛え上げられ、食堂のごはんで培われた良質な筋肉のおかげだとかなんとか……ありがたや、ありがたや。前世では数滴しか使わなかったバニラエッセンスもこんなタバスコみたいにドバドバ入れられるなんて……楽しい!

 私とジュリエットはその間にアイスとカラメル作りを同時並行。このカラメルが失敗しやすくて、ちょっと焦げたけど、まあ食べられそうだからヨシ。


「じゃ!!」

「後でサービスするわね!!」


 オーガのお兄さんは爽やかに去っていった。

 しかし次に困るのが湯煎と冷却。おっきいプリン液を入れたバケツなんて、どう湯煎すればいいのかわからない。とりあえずタライの上に置いて水を入れてみたものの、タライって熱する用にできてないし。


「すみません、今日のお弁当の容器を返しに……」


 迷っていたところに、今度は研究員さんがやってきた。そういえば、いつも昼営業の後片付けが落ち着いた頃に受け取ってたんだった。


「突然つかぬことを聞いて悪いんだけど、これどうやれば茹でられると思う?」

「へ? ……ああ、なるほど。本来でしたら女王様……バジリスク様をお呼びした方が早いですが」


 研究員さんがブツブツ何かを唱えると、タライの水が沸騰した。


「このくらいなら、私でもできる中級魔法です」

「す、凄っ!!」


 急いで布巾をかけて、鉄板で蓋を。容器を受け取り、感想や次のリクエストなど聞いている2、30分の間、ちょいちょい様子を見ながら放置。串で刺して……よし卵汁が出ない。


「ありがとう!! 助かったわ!!」

「いえいえ、こちらこそいつも美味しいお弁当をありがとうございます」

「あとは冷やすだけなんだけど……なんかそういうの得意な知り合いって」


 言い終わる前に、急に部屋が涼しくなり、アイスのバッドに霜が降りる。プリンの方も冷え冷えだ。ジョンなんて凍ってカチカチになっている。

 ……え?


「私、氷穴出身のサーペントなので。これでいかがでしょうか?」

「か、完璧よ!! ありがとう!!」

「代わりと言ってはなんですが、今度そのプディング、食べさせてくださいね〜」


 なんてことないように去る研究員さん。

 今までも思ってきたけど、魔族って便利すぎる。これならどんな料理も作れちゃうんじゃないの。私も魔族ならよかったのに!!


「なんかあっけなく完成しちゃった」


 惚けてないで、人数分のお皿とスプーンを用意。アイスマッシャーがないけど、ギガンテス用のスプーンで代用できるだろう。バケツには、蓋のようにお皿を被せ……。


「よし!! 盛り付けは会議室でやるわ!」


 準備が整ったところで、視線が痛い。おかしい。私は調理室のドアの方を向いてるのに、後ろからヒシヒシと圧が伝わる。


「分かったわよ、味見させてあげるわよ!!」


 まあ、私もまだだったし。手伝ってもらったし。バケツプリンの方は楽しみが半減しちゃうから、アイスの方だけね。


「ウマ!! 何これウマ!!」

「冷たくて美味しいわ♡ 何これなんて言うの?」

「アイスよ、アイス」


 どうやらこの世界にはアイスはまだなかったらしい。確かにさっき研究員さんもプリンのことプディングって言ってたような。

 ……これはいい反応がもらえる気がする。


「じゃ行ってらっしゃーい」

「変な勘違いを正してくるのよー」


 なんか喧しいけど、いざ出陣。みんな美味しさにとろけて、物騒な考えを捨てればいい。デザート食べた後にモツの話なんてしないはずだ。

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