会議地点
「昨日、投資家の灰田郷さんが自宅で何者かに腹部を刺され死亡した状態で、発見されました。」「現場から中継です。」
「はい、こちらの事件現場から50m離れた場所にあるこの公園のベンチにヘンケルス製のナイフが血の付いた状態で置かれていたということです。この公園のすぐそばには小学校があり今朝は…」
「ポチッ」
6年前に起きた連続殺人事件のニュースを見ていた私は腕時計を確認し、小さな仏壇に飾ってある両親の写真を横目に見た。
「おっそろそろ出ないと」「行ってきます。」
私の名前は「灰田果菜」29歳 独身
小さなキャリーケースを片手に最寄駅から品川までの各駅停車に乗り、そこから山手線で東京駅に向かった。
東京駅内でお土産を買おうかと考えたが、時間がなかったので鶏の唐揚げが入った駅弁だけを買った。
「来た来たぁ」
青と白そして金を纏ったW7系が近づき止まると同時に私はハイヒールの鳴らしながら12号車に乗り込むこれから約2時間半だけの最高の旅が始まる
ー二時間半後ー
目的地に着いた。雪が降っているようだ。
駅のホームにはパートナーと楽しそうに喋っている外国人観光客や疲労がたまっているサラリーマンが目に見えた。エスカレーターで駅の構内を降りていくと文化の街として知られる場所だからか、金箔や漆で彩られている器の写真が飾ってあった。
待ち合わせの場所へ行こうと少し歩くとピアノの音が聞こえる。
「トルコ行進曲かぁ」
誰もが知っているメロディーだからか耳を傾ける人も多いようだ、弾いているのは西洋の顔立ちをしたイケメン男子しかも高身長でピアノ上手いとかさぞかしモテモテなんだろうなぁ
待ち合わせ場所には、叔母が手を振っていて隣に7歳下の弟が小さく手を横に揺らしていた。
「久しぶりねぇ」「株の調子はどう、日経最近調子いいらいじゃない」
「まぁ生活できるぐらいはぁ」
「そう、よかった」「ていうか、1000億持っ超々
「えぇー」「もぉlineでゆうたでしょ、なんか東京っぽいもの買ってきーまって」
「時間がなかったん」
「そんなんアマゾンで買えばいいじゃん」「ねぇ琴斗」
無口な弟は小さくため息をついた。
駅の構内を抜けるとタクシー乗り場へ行くのかと思ったが、何故かバス乗り場へ私たちは向かっていた。
すぐに赤くペイントされたバスに乗る、20分ぐらい乗ると病院の前で降りた。5分ほど歩き赤いレンガ造りの倉庫のような建物が見えた、これがおばさんの家だ。昔は博物館だったそうだが株で成功したお父さんが買い取り私たちの別荘として夏休みに遊びに来る程度の建物だったが両親の死後、叔母の麹車清菜が相続し今では清菜とこの街の大学に通っている琴斗と一人の執事が生活している。
家に入ると執事が私の荷物を持ってくれた、私たちが家に入った直後に雨のポツポツという音が聞こえてきたが私はおばさんたちについていき1年ぶりのに私の部屋の前に立った。「ただいま、おとうさんおかあさん」
ドアを開けると生活感を残したままの部屋があった。
「執事さんが綺麗にしてくれたのかなぁ」「あとでお礼言わなくちゃ」
今日はお父さんとお母さんの命日、いつもならお坊さんが来てくれるが今年は来ないらしい。
「はぁ、もうこんな時間か」
夕食の時間になったらダイニングに来いという叔母の命令に従い、食卓に向かおうとスマホをいじりながら階段を下っていると
「ぃだっ」
何かにぶつかった、なんだ、人か、
「え」
そこには駅でピアノを弾いていた。好青年が立っていた。
「İyi misin」「Üzgünüm」
何語だ、英語なら喋れるが英語ではないらしい。
好青年は胸のポケットから薄い本を取り出した。
「Japonca defter」
ジャポンカ、ん単語帳か?
「大丈夫ですか、すいませんでした。」
めっちゃ訛った日本語だが聞き取れないこともないな
「大丈夫ですよ」
ゆっくり言うと彼は薄い本のページを数ページを捲り、見つけた単語を読んだ
「ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセン」
「今喋っとるやないかぁ」
彼は少し黙ってしまった。
「you speak English」
「?」
英語じゃないかじゃ何だドイツ語?フランス語?スペイン語?
彼はまた単語帳を漁った。
「Kuyu,ワタイチ、トゥーキィージン、デス」
「トゥーキー?トルコ人か」
その後スマホを取り出しgoole翻訳の音声でこういった。
「私の名前はオーディオです。」
「こんにちはオーディオ。あなたがここに一番のりだったわよ」
1階にいる清菜の声が聞こえた。
「清菜さんこんにちは」
オーディオは下を向きながら階段を上っていき
「あのあんた。」
オーディオは振り返りこういった「君の名前は!」
「えっと 果菜だけど」
「え、ぇぇそなのモーそこはちゃんとハモってくださいよあのめーしんを知らない日本人なのはてな」
「オタクかこいつ」
「やったーオタクって言ワれた。」「ありがとうございます。はてなさん」
知らない人に声かけられて名前教えるとかヤバいだろ、ン?
「ていうか、清菜なんでこんなのが家にいるの?」
大声ではっきり言うと、
「夕食に呼んだんだよ」
遠くから清菜の声が聞こえた。彼は清菜のいるほうへと歩いて行った。
「夕食?」
私はダイニングについた。
ダイニングには琴斗が居て、琴斗は真剣な顔でスマホをいじっていた。
「琴斗、見たぁあのトルコ人マジうざいんだけど。」
「ふ~」
「ねぇ琴斗、彼女できた?」
「いねぇよ」
「そういう果菜はどうなんだよ」
「私はまぁ~」
「ていうか、まさかあの人とお見合いとか」
「だったらどうする」
絶対に無理、顔が良くても性格が悪そうな外国人とか絶対DVしてきそう
「まぁお見合いじゃないけどね」
清菜の一言に私はとても安心した。
「で、あの人は一体何なの?」
「まぁそれはまた夕食のときに」
19:00「夕食の時間」
「この人たちは誰?」
夕食会場の大広間には大きなテーブルが出され、ランプと食器が綺麗に並べられていた。
テーブルを囲むのは合計14人
そのうち9人は知らん奴、しかもあのトルコ人もいる。
「はぁ」何なんだよこいつら、私のため息の後に少しの沈黙がテーブルを覆った。
約10秒後に清菜の一言で時は再び動き出した。
「皆様ようこそお集まりくださいました。こちらの黒髪ロングで低身長のOLが今夜の保護対象、私にとても似ている姪の灰田果菜でございます。」
「まぁ、このようなことはサプライズですので、彼女も少しびっくりしておられるでしょう、ねっ果菜さん。」
「何を言っているんだ清菜、保護対象だと、私が?」
「そうです。あなたは今、命を狙われている可能性が非常に高い」
そうトルコ人が高らかに言った。
「私を狙う?」
「はい、果菜さんのお父様お母様が殺害された今日10月24日は世界各地で毎年、富豪たちが暗殺または行方不明なる日なのです。」
「果菜さんはその神をも恐れる金融のスキルで、5年間で巨万の富を築きました。そんな貴方を彼らは狙うでしょう。」
「彼ら?」
「そう、彼らの名前は…NFM」
「NFM?」
「The Nazis' Final Meetingの略」「ナチスの最終会議」
そう琴斗が教えてくれた。
「第二次世界大戦後混乱の時代に、ナチス党の精鋭部隊の生き残りがベルリンの地下に眠っていた財宝を見つけ、財宝を持ち中国に亡命した記録が残っている。その生き残りたちは中共政府に見つかったものの財宝をすべて政府に献上した。後に一行はソ連に移されたが殺し屋としての腕を買われ西側諸国の投資家たちを殺している。」
「で、そいつらの後継者たちが私の両親を殺し、今度は私を殺そうとしている。ってこと?オーディオ」
「そういうこと」
トルコ人と私の会話を真剣に聞いている9人は少し退屈そうな顔をしていたので、彼らに話題をかけてみた。
「君たちの名前は?」
右から「zigen」「elmar」「星宇」「audio」「金」「gain」「ichiichiq」「Detonics」「kasumi」「call me meg」
と名乗った。
「私は灰田果菜。よろしく」
灰田果菜29
灰田琴斗22
麹車清菜57
zigen
elmar
星宇
audio
金
gain
ichiichiq
detonics
kasumi
call me meg