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怪奇現象調査部 「霊障」

 ところで、あなたは幽霊を信じますか? この有りがちな問い掛けを聞いて、あなたはどう答えますか? それを信じるも信じないもあなたの自由。いちいち取り上げて話題にする程のことでもないのだろう。だがしかし、その存在を信じざるを得ない現象に遭遇する人達がいるのも事実。そのような人達の訴えに親身に寄り添い、調査し、怪奇現象の解決・軽減に導く。それが、私=怨霊障子が一ヶ月程前に設立した「霊障」という組織の活動だ。でかいビルなんか買えるお金は無かったから、自宅を事務所とした。

 「怨霊障子」という名前は実名ではない。私が組織を設立したときに、それっぽい名前に勝手に変えただけだ。だから、組織のメンバーにはこう呼ばせ、組織と関係のないプライベートの場や本職の場では当然、本名を使っている。そもそも、この組織の存在はあまり知られていない。一応、チラシを配ったり、街の掲示板に貼り付けたりはしているが、それを見ても皆、たちの悪い宗教程度にしか思ってないらしい。だから、まともに活動することもできないのに本職にするなんてもってのほかだ。さらに、お金も取っていない。取ったところで、組織を当てにする人がいないに等しい現状で生活費の足しにすらならないのが現実だ。つまり、一種のボランティアみたいなものということになる。組織のメンバーだって私を含めてもたったの三人。一人が活発で明るい本郷美鈴、もう一人は真面目で優しい真壁零士。二人とも一人暮らしの大学生だ。そして最後に、役にも立たない組織を作ったこの私だ。この二人も、もの好きなものだ。収入もなにもないというのにわざわざこの組織に入ってくるなんて。まあ、ありがたいのは確かなのだが。

「障子さーん!」

「ん? どうした?」

見ると小柄な身体の華奢な手に一枚の紙を持った藤堂がこちらへ掛けてくる。彼女は何故だがご機嫌だ。何か良いことでもあったのだろうか。

「朗報ですー!!」

「まあ、少し落ち着こうか」

「落ち着いてなんていられないですよ!」

「分かった…分かったから! で…何だ?」

藤堂は少し落ち着きを取り戻し、嬉しそうに話し出す。

「ついに…ついに入りましたよ!」

「何が?」

「それはですねー」

「勿体振らないで早く話してくれないかな」

「障子さん、あまりの嬉しさに泣き崩れちゃいますよー」

「…。」

待ちきれなくなった私は乱暴に藤堂の手の中にある一枚の紙切れをふんだくった。

「あ! 障子さん暴力は良くないですよー! 真壁くんに言いつけまーす」

「勝手にしろ」


 ☓☓☓ー☓☓☓☓ー☓☓☓☓

 佐々木琢磨

 ○県○市☓番地 ☓ー☓ー☓☓


「こ…これって…まさか…」

「そう! そのまさかです! ついに依頼が私達の元へやって来ましたー!」

こうして、私達は「霊障」としての本格的な活動を始めるのだった。


                  第一話 完


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