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45. マデリーンの魅力(※sideジェラルド)

 俺は困り果て、メソメソと泣くマデリーンを見つめた。一体どうしたというのか。つい先日まで毎日あんなに楽しそうに暮らしていたのに。高価な宝石もドレスも、ねだられるままに買い与えてきた。それを心から喜び、満面の笑みではしゃいでいたじゃないか。明るく朗らかで、いつも俺のそばで笑っているマデリーンが、たかが護衛騎士のことでこんなに落ち込むとは…。


「……。」


 だが、マデリーンにとっては“たかが”で済む問題ではないのだろう。

 俺が気付かなかっただけで、正妃に対するコンプレックスは常にこの愛しい女の心を縛って苦しめ続けてきたのかもしれない。毎日楽しそうにはしゃぎながら王宮での贅を尽くした生活を謳歌しているように見えたが、心の中ではいつも正妃の存在を意識していたのだろう…。


「……ひっく……、う……、うぅっ…」

「…マデリーン。護衛騎士たちの配置替えを行い、正妃の方にいる専属護衛らを数人、お前の方につけるよう命じておこう。それでお前も安心できるのだろう?」

「……ひくっ。……ほんと?ジェリー」

「ああ。向こうは人の出入りの少ない離宮にいるんだ。そんなに手練れの者を大勢つける必要もなかろう。騎士団の詰め所もすぐそばにあり、何かあれば騎士たちがすぐさま駆けつけることができるのだから。それよりも多くの者が出入りするこの王宮に住んでいるお前に、より手厚い警護が必要だ」

「…ジェリー…ッ!」


 俺の言葉を聞いた途端、マデリーンは涙に濡れた顔をぱあっと輝かせて俺の首に強く抱きついてきた。


「嬉しいっ…!ジェリー、あなたってやっぱりあたしの気持ちを誰よりも分かってくれる人だわ…!あたしを不安にさせないように、望みをすぐに叶えてくれるなんて…、あなたに大切にされているんだって実感できるわ。あたし、幸せ。あなたって本当に頼りになるのね」

「はは。当然だ。俺はこの王国の国王だぞ。お前の望むものは何でも与えてやれる。お前は誰よりも可愛い、俺の最愛の女なのだからな。…お姫様のご機嫌を治した俺に、褒美はくれないのか?」

「たっぷりあげるわ」


 マデリーンはそう言いながら妖艶に微笑むと、ドレスをふわりと持ち上げ俺の上に跨ってきた。豊満な胸元を押し付けるように密着すると、ためらうことなく俺の唇を奪い、熱烈なキスを繰り返す。しばらくすると、今度は互いの熱を楽しむようにゆっくりと唇を押し当て、少し離し、そんなことを数回繰り返した後突然全身で強く俺を抱きしめながら、柔らかい舌で俺の口内をまさぐりはじめた。


 可愛い女から与えられる熱に身を委ねているうちに、俺の体温も一気に上がっていく。無意識にマデリーンの腰に両手を回しながら、判断力の鈍る頭でぼんやりと考える。…本当に、こんな女は二人といない。これまで俺の周りにいた貴族の女たちとは全く違う。積極的に俺を求めるこの大胆さ、可愛らしい顔とはアンバランスなまでの妖艶な肢体。恥じらう女たちを暴いていくのもそれはそれで良かったが、素直に己の快楽を追求するマデリーンは俺にピッタリの女だった。


 巧みに与えられる刺激に、たまらず俺はマデリーンの体をソファーに押し倒し、覆い被さった。

 彼女の首筋に顔を埋め愛撫を繰り返していると、俺の体に両手を回したマデリーンが耳元で囁く。


「…ね、ジェリー。絶対にお願いね。特にあの人…、筆頭護衛騎士の、金髪に翠色の瞳の人よ。あたし、あの人だけは絶対に欲しいの…。お願いよ…」






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