プロローグ
ぱっと思いついたのを、何も考えずに書き留めたものです。
拙い文ではありますが、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
いつものように設けられた婚約者との交流時間。
いつものようにほとんど会話のないまま、自然に耳を傾けて過ごす心安らぐはずだった。
「あの、アルべリック様……、」
「?」
僕の婚約者カティア・ベランジェが、鈴を転がしたかのようなかわいらしい声で僕の名前を呼んだ。
「お話がありますの。…………聞いて頂けますか?」
コテンと首を傾げ、憂いを帯びた瞳で僕に問う。
僕は首肯し、続きを促す。
「私との婚約を破棄して頂きたいのです」
◇ ◇ ◇
俺アルベリック・ロランとカティア・ベランジェの婚約は、生まれた時から決まっていた。
どうやら僕の曽祖父がベランジェ伯爵家に恩があるとかないとか。
同じ年の子孫が生まれたら結婚させてほしい、というのが当時のベランジェ伯爵家の願いだったわけで、それが今の僕らにあたる。
カティアは大人しい令嬢だった。
逆に言えば、何にも興味を示さないのだ。
ずっと仮面を被った――いや、被らされたの方が近いかもしれない――かのような顔をしていた。
しかし、たった1度だけ、カティアの仮面が崩れたのを見たことがある。
それは僕の8歳の誕生日パーティーの時だった。
たまたま、第1王子が顔出しに来たのだ。
第1王子の顔を見た瞬間、カティアはものすごい動揺を見せた、――無論、日頃から顔を合わせていた僕とカティアの身内、メイドぐらいにしか分からなかったとは思うが。
その日からカティアはずっと何かを考えているようだった。
僕が声かけてもうわの空だったり、見たことない記号を紙に書き始めたり。
それから4年、未だにカティアの心にあるわだかまりの原因は分からないままだった。
それが、まさか僕との婚約を破棄したいということだなんて誰が予測できただろうか。
◇ ◇ ◇
「えっと、カティアはどうして僕との婚約を破棄したいの?」
恐る恐る、僕は口を開いた。
「ずっとずっと考えていたのですが、アルベリック様と私は釣り合いませんもの」
どこか形式じみた破棄理由に引っ掛かりを感じた。
特段気にするようなことはないはずなのに……、と。
それと同時に、僕はカティアの肩が小刻みに揺れていることに気が付いた。
「……カティア?
僕に隠していることを、話してくれないか?」
「どうして、それを……?」
「カティア、君が僕に隠し事できると思ってたの?」
悪戯っぽく微笑んで見せた。
「……っ?!」
僕の瞳に写るカティアは頬をほんのりと赤らめて、あの日以来の動揺をみせた。
誤字脱字、感想等お待ちしております。




