第二話 寝ぼけた登校
二話です!
昨日続けて投稿しようと思っておりましたが、寝落ちして今日になりました…。
とても平和なシーンが続きますが楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
ライは、家を出るとのんびりと歩き始めた。
正確には、そう見えるだけで本人としては全力疾走くらいのエネルギー消費だった。ライ自身は必死なのだ。
ただとにかく遅いので、周りの景色は楽しめた。
今日も花壇のお花が綺麗だなあと思いつつ広場を(本人的には)走り抜ける。広場の子供たちはいつもの人だなという目で見ている。
そのまましばらく歩いていると、学園へ向かう大通りに出店している露店の店主に話しかけられた。いつも走るのが遅いので覚えられているし、通りすぎるのが遅いので話もできる。
「ライちゃん、今日はいつもより早いんじゃないか?」
「…は……い……!」
息も絶え絶えになりながら誇らしげにするライに店主は呆れ顔だ。
「どっちにしろ遅刻には変わりないけどな」
既に始業時刻は五分過ぎている。
(なかなかに痛いところを突きますね、この店主は…)
ライはそんなことを考えていた。店主は普通である。
「まあ学校頑張れよー」
店主の声かけに返事もできず、なんとか頭だけは下げ走っていくライ。
…頭を下げる動作も遅いので意味が伝わっているかは微妙である。
ライが店主に会うときは、常にもう力尽きかけているので話しているというよりは話しかけられているだけかもしれない。
またしばらく走ると、別の店主にも話しかけられる。露店だけでなく店を開ける準備をしている人もいる。
それを五回ほど繰り返し、しばらくすると登校の最大の難所に差し掛かった。
精霊たちの溜まり場であった。
大通りを少し外れたところにあるそれは一見普通の砂地なのだが、中を通ると精霊たちが悪戯をしてくる。そのせいで(特にライは)いつも迷わされ登校が余計に遅れているのだった。
今日も例に漏れずすぐに精霊が集まってきた。
「あっ、あの子じゃ~ん!おはよう!」
道端の精霊にまで覚えられているライ。才能がとても光輝いている。
集まってきた彼らは水や海、自然、海の動植物の精霊が大半だ。稀に風や火、土や光などの精霊がいることもあるが本当にごく稀である。
そして、目の前では精霊たちのショーが開幕しようとしていた。
水と海の精霊が、静かに澄んでいる海にそこの部分だけ流れを作る。流れによってできた泡などが華やかな模様を形作り、非常に芸術的だった。基本的に迷惑だとされるこの集まりだが、人によっては魅力を感じるのかもしれない。
自然や海の動植物を司る精霊たちは海草や水中に住む魔獣などを出してくる。色とりどりの生き物たちもまたとても美しい。たまに幻ではなく本物の魔獣がいて襲ってくるのが珠に疵、だと思う。
その日の海流や水温などによっても変わるので、毎日飽きることなく迷っているのだった。
とにかく精霊の惑わしと格闘──時々文字通りすることもある──しながら必死で抜けて歩く。
そこからまたしばらく走ると、ようやく王立第一学園の白亜の城のような美しい校舎が見えてきた。
ここから校舎に入るまでの距離や校舎入り口から教室までの距離もライにとってはとても遠いのだが。
投稿だけでとても時間がかかるライちゃん。
次話から学校の話です。
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