4話 騎士達の小話
魔獣騒動から少し時間が経ち、今は月が暗闇を照らしている。
騎士達が現場に駆けつけ、状況を把握する。
そして騎士より少しランクが高い上位騎士は話し出す。
「魔獣は既にアリル様により一掃された。そこに出くわした住民の話によると魔獣は他の人を狙わずアリル様だけを狙っていたと。」
「魔獣というのは人を選り好みしないのでは?」
上位騎士は腕を組み「そうだな」と言い。
「本来の魔獣は目につく全ての人間を喰らう。誰かの指示に従っていればそれはない事無いのだがな。」
「それって……!」
上位騎士の話に騎士は動揺し、それがもし本当だった場合を想像し、体が震え始める。
「魔人。」
上位騎士は『破壊の魔人』の存在を告げる。
600年前に封印された破壊をもたらした魔人。人々から恐れられ、誰にも理解されなかった狂人。
「だが魔人は今も果ての氷河に封印されている。」
「じゃあ魔獣が暴走したって事ですかね?」
「いや、魔獣が現れたのは町の中央と聞いた。おそらくこれは意図的なもの。」
「それじゃあ、新たな魔人の誕生って事ですか!?」
「……その可能性もある。」
「まずいじゃないですか……!」
「あぁ。そうだな。だから俺達も気合いを入れて捜査しなくちゃな。」
「そ、そうですね。」
上位騎士はそう言い、今一度現場の捜査を再開するのだった。