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10話 でーと

 約一ヶ月前、森の中で共に戦った仲間のトレイタに、偶然にも北の王国ネルエルで再会する。


「それで、トレイタは何でネルエルに?」

「––––仕事の依頼で来たんだよ。お前達は?」

「あぁ、うちの屋主がここに用があって従者である俺達もこうしてついて来たってだけ。」

「屋主って確か、アリル様だったよな?」

「あぁ。そうだけど。」

「やっぱり………」


 トレイタは真剣な表情し、何か言っているようだが、声が小さくて聞き取る事が出来なかった。


「––––––それじゃあ俺は今から行かなくちゃ行けない所があるから。じゃあな。」


 トレイタは手を振り、どこかへ去って行った。


「懐かしかったな。あれから一ヶ月か。ここに来るまでの十日間の方が長く感じたな。」


 ハルタは苦笑し、エレナと町を歩き始める。


「–––––気付かなかったけど、これってデートじゃね?」

「でーと?」

「そっか。この世界じゃこの単語は無いのか………。デートは仲の良い男と女でお出かけする事を言うんだ。」

「そうなんですね。それじゃあこれはデートに入るんですか?」

「入るね。………こんな素敵な女性と歩けるなんて、僕は幸せだよ。」


 おどけながらそう言うと、エレナは微笑み、


「そんな事言って大丈夫なんですか?アリル様に言いつけますよ?」

「すみません。許してください。……ってかその表情で言われるとなんか怖いからやめて。」


 エレナは時々、冗談なのか本気なのかわからない事がある。これもそうだ。もし、これが本気だと思うと、ハルタは焦る。


「……冗談ですよ。」

「は、ははは。そうか。……まぁ、アリルにとって俺はまだ、ただの従者ってだけだし、別に問題はないんだけどね。」


 そんな話をしている内に、ネックレスを売っている店を見つけ、立ち寄ってみる。


「おぉ。綺麗な宝石だな。」


 ハルタが手に取ったのは中心に青い宝石が埋め込まれたネックレスだった。


 この青い宝石の煌めきはアリルの青い瞳ととても似ていた。


「これ、アリルにプレゼントしよう。」

「えぇ。きっと喜びますよ。」

「あぁ。そうだな!」


 ハルタはネックレスを持ち、他の商品も見てみる。


 そしてハルタは緑色に輝いているバングルに目が行き、手に取ってみる。


「これ、買ってあげるよ。」

「えっ?いや、そんな………」

「買わせてくれ。日々のお礼だ。」


 ハルタは微笑んだ後、店の人に渡し、会計を済ませる。


「ほらよ。」


 会計を済ませたハルタは早速緑のバングルをエレナに渡す。


「あ、ありがとうございます。」

「ん。つけてみてくれねーか?」

「はい。わかりました。」


 エレナは俺の言葉に従い、腕にバングルをつけてくれた。


「どうですか?」


 エレナは一度くるっと回り、手を前に出す。

 ワンピースがふわりと上がり、その瞬間、とても魅力的に見えた。


「うん……。めちゃくちゃ似合ってるよ。」

「ありがとうございます。」


 エレナは微笑みながらそう言う。


 もし、アリルより先にエレナに出会っていたなら、俺はエレナに惚れていたと思う。


「–––––いかんいかん。こんなのいつも俺じゃねぇ。言いたい事ははっきり言うもとの俺に戻らねぇと。」


 ハルタは頬を軽く叩き、気を取り直す。


「よし、エレナ。他見てまわろうぜ。」

「はい。わかりました!」


 いつもの調子に戻り、ハルタ達は町の探索を再開させた。


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