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9話 再会

 屋敷の中に入ったハルタ達は、中年の男の後をついて行く。


 その男は黒髪だが、あちこちに白髪が生えており、服の上からでも鍛えているのがわかる程ガッチリとした体型だった。だが。


 彼の右腕。そこにあるはずの物が無いのだ。


 ハルタは腕の事が気になったが、もしかすると聞かれたく無い理由があるかもと思い、聞く事はなかった。



「どうぞ。こちらです。」


 男はそう言い、扉を開ける。


 扉の向こうには、赤髪青目の美しい女性が座っていた。



「久しいな、アリル。」

「–––––アル!!」


 アリルは微笑む彼女のもとまで駆け寄り、抱きしめる。

 彼女もそれに応え、アリルの背中に手を当てる。


「……久しぶり。アルミナ。」

「あぁ。少し背が伸びたか?」

「まぁ、少しだけね。」



 ハルタはこのアリル達の光景を見て、妹が姉に甘えてるいるのを見ている気分でなんだか、微笑ましかった。


「あっ、そうだ。あの人達は私の屋敷で一緒に住んでる従者のカイドウ・ハルタとエレナよ。」

「そうか。よろしく。カイドウ・ハルタ。エレナ。」

「はい。よろしくお願いします。アルミナ様。」

「よろしく。アルミナさん。」


 ハルタとエレナはアルミナと握手を交わした後、アルミナは背後にいた男を手招きし、隣に立たせる。


「こっちは私の騎士と言えばいいのかな?名前はジレイド・マークスだ。」

「どうぞよろしくお願いします。」


 隻腕の中年はそう言い、左腕を差し出す。


 三人は握手を交わした後、ハルタは提案する。


「ジレイドさん。俺とエレナを部屋まで案内してもらってもいいですか?」

「ハルタ?」

「積もる話もあるだろ?後は二人で話し合ってくれ。」


 ハルタは笑顔でそう言い、親指を立てる。


「ん。ありがとう。ハルタ。」

「礼を言おう。カイドウ・ハルタ。」

「それではハルタ殿。エレナ殿。ご案内します。」



 ***


 ハルタとエレナはジレイドの案内のもと、今日から一時的だが住む事となる部屋に辿り着き、今はそれぞれ自分の部屋で休んでいる所だった。


「今日は疲れたし、ちょっとだけ寝るか?いや、でもなー。」


 観光も捨てがたい。

 水の都。そんな幻想的な町に来ているのに初日から寝るのは何かもったいない気がする。


「少し疲れてるけど外に出るか。」


 ハルタは部屋を出て、隣の部屋。エレナの部屋の扉をノックする。


「俺だけどちょっといいか?」

「ハルタ君?どうしたんですか?」


 扉越しからエレナの声が徐々に大きくなっていくの感じていると扉が開かれ、エレナが姿を表す。


「っ–––––。」

「どうかしました?」

「えっ、あぁ。その白いワンピース。似合ってるな。」

「そうですか。えへへ。ありがとうございます!」


 エレナが着ていたのはメイド服では無く、エレナの私服だった。

 いつもは仕事と言う事でメイド服を着ている時間が長い分、エレナの私服を見ると新鮮味を感じてしまう。


「それで、私に何か用ですか?」

「あぁ、これから町を見てまわるんだけどエレナも着いて来るか?」

「はい。お供します。」

「そ、そか。決断が早くて助かるよ。」

「それでは行きましょうか。」



 そうしてハルタとエレナはジレイドに話した後、外に出る。


 そして屋敷を出た先でハルタ達は再会する。


「ん?おぉ!トレイタ!!」

「おぉ。ハルタとエレナじゃねーか。久しぶりだな。お前たちもネルエルに来ていたのか!」

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