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8話 北の王国 ネルエル

 ハイエルから出発して十日が経ち、ようやく旅もあと少しで終わる。


 辺りからは潮の匂いがし、ハルタはその匂いに懐かしさを感じた。


「あそこがネルエルか。」


 窓を開け、前方にある巨大な壁を見る。あの壁の向こう側にアリル達の目的地。北の王国 ネルエルがあるのだ。


「二年ぶりかな?ネルエルに来るの………。」

「そっか。知り合いがいるんだし、行った事はあるのか。」

「うん。何回かね。でも、そんなめったに行かないから、来るたびに新鮮に感じるけどね。」

「そか。……エレナは来た事があるのか?」

「いえ。今日が初めてです。ですから少しワクワクしています。」

「そっか。俺と一緒だな。」


 ハルタとエレナはお互いを見つめて微笑む。そしてエレナがワクワクしていると言う事からネルエルはいい町なのだろうとハルタは期待していた。


「お客さん。ネルエルの中に入りますよ。」


 御者の声と同時に馬車は門を潜り、ようやく、目的地へと辿り着いたのだ。


「それでは、止めやすい場所に行ってから皆さんを下ろしますね。」


 そう言い、広い場所に移動し、俺達を下ろした。


「はぁーー。やっと着いたな!」


 大きく息を吸い込み、潮の香りを堪能する。


「でもこれからまた移動だけどね。」

「いいの。いいの。観光気分で行けるからな。」

「そうですね。水の都。歩いてるだけで新鮮な気持ちになるかもしれません。」


 エレナは微笑みながらそう言う。ハルタはこんなにワクワクしているエレナを見るのは初めてで少し嬉しかった。


「んしゃ、じゃあ案内してくれ。アリー。」

「うん。わかった。」



 それからハルタ達は移動がてら観光を楽しんだ。

 町のあちこちに水が流れており、そこは主に船で移動しているらしい。


 ハルタ達も船に乗り、町を移動する。


「よかったー。船酔いとかしなくて。かっこ悪い所見せたくないからな。」


 苦笑し、船にもたれかかる。船酔いはしなくとも、旅の疲れが溜まり、目眩がした。


「大丈夫ですか?ハルタ君。」

「お、おう。ちょっと疲れが一気に来ただけだ。多分大丈夫。」


 それに、こんな綺麗な町に来ているのに疲れて寝ている場合では無い。もっと観光したいと思っていた。


「–––––おっ。水の中に魚が見えるぞ。」

「ここは海と繋がってるしね。そこから流れて来たのかも。」

「へー。こういう自然も楽しめるのか………。本当にいい町だな。」

「そうですね。今回だけじゃなく、何度も行ってみたいです。」

「あぁ。そうだな。」


 ハルタは頬を緩めてそう言うと、いつの間にか船は目的地へと辿り着き、ここからは再び徒歩での移動となる。



「やっぱすぐそこに海があるから魚介類が市場に多いな。」

「えぇ。この町のお魚や貝は新鮮な物が多くて美味しいわよ。」

「へー。じゃあ、暇な時が出来たらみんなで食べようぜ。」

「えぇ。そうね。」

「はい。行きましょう。」



 それから、またしばらくハルタ達は歩き続け、住宅街と思われる場所に着き、その一番奥に、アリルのと同じぐらいの大きさをした屋敷が見えてきた。


「あれが、私の知り合い……アルミナの屋敷よ。」

「へー。これはまた凄い大きいな。って入り口に誰かいるな。」


 アリルの知り合い………アルミナの屋敷の入り口付近に中年の男が立っていた。


「お待ちしておりました。アリル様とその従者様達。さぁ、中へどうぞ。」


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