9部
「本日は北条元総理大臣に変わりまして、私が改革の内容を発表いたします。
前もって説明させて頂きますが、今回の会見を私が担当するのは私が旧制度下における厚生労働大臣の役割を担う厚生労働政務官となり、厚生労働省と共に国民の皆様の生活の基盤となる労働ならびに福利厚生を充実させるべく法案作成や制度の潤滑な運営に向けて努力精進させて頂くことになり、その発表をかねての会見となります。
他の担当政務官も決定次第発表させていただきます。
今後も専門性の高い改革の内容を発表させて頂くさいには各担当の政務官による発表がされるのだとお考えください。
基本的には北条総務政務官が会見に立ちますが、改革の内容、制度の大きな変化を必要とするべき改革に関しては、政務官が担当します。
それでは改革の内容に移らせて頂きます。
働き方改革としまして、まず最初に就職時の新卒と呼ばれる縛りを無くします。
18歳から28歳までを第一次就労期、28歳から35歳までを第二次就労期とします。
教育改革の内容に少し触れますが小学生時より将来の希望職種を多数選択し、その職種の関連知識を学ぶような制度の構築が進んでいます。
これに関しては、担当政務官よりの報告をお待ち頂きますが、それは将来的な話であり、現在の中・高等学校、大学生は含まれません。
そこで今、申し上げた対象の国民の皆様に関しても中学生には出来る限りの新制度下での教育を受けて頂く事になり、高校・大学生に関しては就職サポートを国が行う事になります。
夢を追いかけられている方を除いて、やりたいことや成りたいものが見つかっていない人も就労期を迎えた段階で一度就職していただきます。
その中で、自分に合わない、あるいはやりたいことが見つかった場合もサポートをしていきます。
働かない人がいない社会を目指すことになります。
そこで問題となるのが女性の就労になります。
男性と女性では人間としての役割が大きく異なります。
働くことは男性はできても出産することはできません。
同時に高齢出産になるほど母体へのリスクも高くなります。
そのため、男性と女性で就労期をずらして就職活動を行って頂きます。
結婚、出産を国が強制するわけではありませんが、働く事を望まない人も現在の状況では働けと強制しているわけです。
そこで早期の結婚・出産を推奨し、子育ての余裕が生まれる5年後をめどに就職活動をして頂けるようにします。
結婚・出産を考えていない方は男性と同様の就労期で就職活動をして頂きますが、就職後の結婚・出産後も再就職のサポートはさせていただきます。
家計の足しに就職したい、自分の人生として仕事をしたいという女性を応援し、子供を育てたいと願う女性も応援します。
女性の就職を強制する事はしません。
母親になるということは、どんな仕事よりも大変なことであり尊重されるべき重要な役割だからです。
ただ、国の経済は安定するものではなく生活するためにも働かなければいけない現状はあります。
現在、保育士不足が基で待機児童問題も深刻的な状況です。
そこで出産後、保育士資格取得のための参考書を無料配布し、同時に出産から子育てに必要な情報を簡略化、わかりやすくした冊子もお渡しします。
子育てが5年を経過された方の中から希望者に保育士資格を取得してもらうための試験を受けていただきます。
試験の内容も自らの子育ての経験と出産時に渡す参考書、冊子から出題しますので、子育てに必要な情報を学びながら、学んだことがそのまま仕事に直結するようにしたいと考えています。
共働き世代を助けるための保育士を子育て中の母親にお願いしていきたいと考えています。
当然、保育士以外の仕事への就労を希望される場合はそのサポートも行います。
自分のやりたいことやできることを仕事にする。
働き方改革以前の段階として就職期のあり方を見直すところから改革を初めているところであります。
男性と女性が同じように扱われなければいけない。
これは間違いです。国が認める権利に関しては平等でなければいけませんが、それぞれに持つ役割は必ずしも平等にしていてはいけないのです。
差別ではなく区別をつけ、男女双方が幸せになれるような社会作りのためにも働き方は今一度考え直さないといけません。
今までの国の働かせ方は、男女平等に労働を強制し、その結果として晩婚化や出生率の低下を引き起こしてきたいわば愚策であり、国民を奴隷のごとく働かせる、『国のための労働』でした。
これからは『個人のための労働』をしていただくための改革を行っていきます。
他にも在宅就労の基準化や有給制度の見直し、出産・育児休暇等も見直しを初めております。
働き方改革以外にも、制度がほとんど崩壊しているにも関わらず、誤魔化してきている年金制度についても制度自体の再構築や新制度についても進めておりますので、形として成立次第、報告をさせていただきます。」
大久保は頭を下げた。どうやらニュース番組が記者会見の様子をそのまま流していたようで、VTRが終わり、会見の内容について討論が始まった。