77部
『税金の使い道というのは、ブラックボックスでした。
どの財源でどの事業者にいくら払われていたのかも不透明でしたし、一部ではキックバックを求める官僚がいたりなどの汚職の巣窟だったわけです。
必要だからと徴収していた税金のほとんどが政治家や官僚、大企業のおこづかいに成り果てていたわけです。
国の信頼を貶め私腹を肥やす人間達が政府の舵取りをしていた。ただ、これが日本だけでなく世界中のほとんどの国で行われてきたからこそ、下らない紛争や戦争が未だに残っている。自国を守るために手にする武力は盾であり正義の槍となります。しかし、身勝手な武力は暴力でありその国を燃やす火種でしかありません。
政治を行う者に必要なのは知識でも財力でもなく、国民のために自らの自我を捨てでも尽くす事を厭わない排自思想だと思います。
自らの出世にこだわる者は、効率や上司の顔色をうかがうことに時を費やし、尽くすべき国民の方に視線が行かない。金を求める者は、金になる事に時間と人手を浪費し、経済弱者からより搾り取る手段の模索しかしない。
こんな者達が政治を行っているから世界は汚れていき、そこに住む者達も汚染されていく。
多くの変化が、起こっている今だからこそより多くの要望が自分の身近な問題を解決していきます。
政府に望む政策を具体的かつ皆様の望む形でご提案下さい。政策の参考にさせていただきます。
なお、このご提案はすべての日本国民が目にできるように公開します。見られて恥ずかしいようなご提案や売国主義的な政策を提案してしまうと自らの首を絞める事になりますのでご注意ください。』
ニュースの合間に流れたCM では、国民が作成した政策を募集していた。こういう事に困っているから、どう変えて欲しいという内容を政府に対してメールや投書する。国営放送が刷新され、外国のドラマや番組、誰が見ていたのか謎な多くの番組が削除された。
放送されている地域のニュースを中心に政府の新政策や全国的に重要なニュースのみが放送される事になり、そのニュースも偏りなく選ばれたものが放送されている。
受信料が払わなくて良くなった点でも国民から、より信頼できるテレビ媒体と認められるようになった。
信じられる情報は自ら選び活用する情報リテラシーが大事になってきた時代で中立かつ公正な放送媒体になる事こそが放送局に求められ、それを真っ先に国営放送が先導できたのは良かったと北条総務は肩肘をついた状態で眺めていた。




