73部
「警部、お手紙が来てました。
ただ、差出人の名前がないのですがどうしますか?」
「なんか危なそうなもんでも入ってそうなのか?」
山本が聞くと署員は手紙の封筒を触りだし、
「いえ、紙しか入ってないですね。」
「じゃあ、貰っとく。」
「あっ、よろしくお願いします。」
そう言って署員は手紙を渡して戻っていった。
山本は封筒を開けて手紙を取り出した。手紙には
『拝啓、山本様お元気でしょうか?
私も色々とあり、お顔を見せてお話しさせて頂く機会を得られないほどに忙しくしております。
お電話を頂く事もあるかもしれませんが、以前使っていた携帯が水没してしまい番号が変わってしまったので繋がらずにお困りの事もあったかもしれません。
また、折を見てこちらからご連絡致します。
どうかご壮健でお過ごしください。』
結局、誰からの手紙かもわからない内容で無難な事しか書かれていない。よく見ると手紙がセロハンテープで止められていて二枚目があった。余白の部分で止めてあるのでハサミで切ると二枚目が見られるようになった。
『簡単な仕組みなので気づいて貰えただろう。
私には今、貴方に名乗る名前がありません。
貴方が私の残した謎をすべて解き、私の目の前に表れたならすべての答え合わせをしましょう。
これまで起こった事件の事、この国に関する事、私の事そして貴方の事。
あなたが私に謎解きを自信満々にしてくれる姿を私は待っています。
P.S 今の住居が気に入らなければ一緒にいった不動産屋に言えば新しい所を見つけてくれます。』
なるほど、俺の住居の心配をするのは土屋と名乗っていたあの人だけだ。あの人はどうやら謎解きをさせたいらしい。あるいは、絶対に見つからない事を確信して煽りをいれてきているかだ。
やる気にはなったが、現状ではシッポどころか足跡も見つけられていない。
この最後の一文が何かのヒントなのかも知れない。
時間をとって行ってみることにした。




