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71部

『一部の外国では現在の日本は独裁国家だとの批判がおきており、その批判をした人が不審死を遂げた等の報道もあります。日本の特殊部隊が日本にとって批判的や敵対的な人間を始末しているのではないかとの噂も上がっています。これについて、黒木政務官はどう思われますか?』

テレビでは昨今の日本政府についての議論が行われていた。政府側として出ているのが黒木俊一である。

山本警部の大学の友人で色々な事件の後ろで暗躍していたのでは?と疑った事もある人物だ。

上田はテレビの中の人物が何を語るのかを注視していた。

『国会議員が資格制になった事により、議員数が減りかつ政務天皇と呼ばれる新しい統治者が表れたので、混乱が起こるのは必須だと考えます。

私も実際に政務天皇にお会いした事がまだないので確実に存在しているとは言いきれません。

北条総務大臣が引き続き政治を行っているのではないかとの疑問も払拭はできません。

しかし、確実に言える事は日本が必要としていた制度・法律は実行されている事です。

今までの利権にまみれた政治体制では手が出せなかった部分も改革が進んでいます。

あとは・・・特殊部隊の存在があるのかないのか、それはわかりません。ただ、人や国を軽々しく批判する人が誰かの恨みを買っている事は良くあることです。

今回たまたま日本という国に対して批判を展開し目立った所で殺された可能性は十分にあるのではないでしょうか?今なら日本のせいにできると考えたり、あるいはそう言う噂を流す事で雲隠れしようとしている人物がいるかもしれません。なので、その国の警察機関にはしっかりとした捜査をお願いしたいですね。』

『黒木政務官でも会った事のない政務天皇は誰なら会う事ができるのですか?』

『北条総務くらいしか思い当たる方はいませんね。

もしかしたら大臣クラスは会ったことがあるのかもしれません。そう言う意味ではまだまだ下っぱの私はこれからの努力精進が必要そうですね。』

黒木は冗談ぽく笑った。世にいう政治家スマイルだ。

本心では笑っていないような気がする。

その後も最近発表された政策についての解説を分かりやすく伝える内容で番組が進んだ。そして、

『黒木政務官はどのようなお仕事をされているんですか?やはり立法案を提出したりですか?』

『そうですね、立法案を出したりもします。

その他の仕事としては法律や制度の条文化ですね。

私は法律の専門家だったので、法律の穴や問題点がないかを官僚や他の政務官と相談しながら抜け道がない法律の作成を行っています。

現在は特にそう言う穴のある法律が回ってこないので、わかりやすい文章で条文を作る作業が中心にはなっていますね。』

『条文になっている形で渡されるんですか?』

『そうですね。政務天皇が作られた法律を我々が審査すると言った方が適切かも知れないですね。』

『なるほど、そろそろお時間のようですね。

長らくご解説頂きありがとうございました。』

番組が終わった。やはりと言えばそれまでだが、テレビでボロを出すような事はない。政務天皇が何者かはわからないが今までに成立させた制度に関して抜け穴のない法律を作り出しているのだとしたら恐ろしい人物だなと上田は思った。

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