68部
10分くらいで北条は会見場に帰ってきた。
「それでは先ほどの話からさせていただきます。
宗教の扱いに関する新制度として、日本では宗教活動の禁止を基本軸とする事にいたしました。
偶像崇拝による宗教家の詐欺的行為が信仰の自由の名のもとに横行し不幸となった国民は多く、何もしてないのに神社にお金を払わなければいけない、10分そこらのお経を唱えて貰うのに何千円も払う?宗派により時間に差があったとして何の意味があるのかわからない行為に毎月支出しなければいけないなんて事もあるわけです。悪徳宗教を排除するだけでなく、従来からの三大宗教等に対しても意味のある行為に払いたい人間だけが金を払えば良い制度にしていきます。
具体的には根拠を科学的に明示できない新興宗教は宗教法人としても個人としても許容しません。心理学、歴史学的に宗教として認められないものは詐欺的行為として摘発の対象とします。
同時に現存する寺、神社や教会、モスクも含めて、その建物の歴史的・建築的価値のない場所での布教・宗教活動を禁止します。
それにともない現在は宗教法人となっている団体も解体し価値のある建物を維持する役割を担っていただく事になります。
わかりやすく言うとお寺のお坊さんは寺という歴史的価値のある建物を次代に残すための建物の管理人という立場になります。
また、従来の慣習として行われている読経に関しては、葬儀会社等へ就職頂き職業僧侶となっていただきます。お寺の維持業務との兼業もできるような雇用形態を葬儀会社全体に用意させておりますので、より条件の良い企業を選択頂きたいと思います。お経を読んだり宗派のイベントを行われる際には、葬儀会社の仕事の一部となるので宗派を問わずに一律の料金体型を国が決めております。必要なら葬儀会社に依頼する形になります。
寺社に関しては老朽化により建て直した所もあると思いますが、原則として歴史的な価値のある建物が保護の対象となります。
対象にならない場合は建物、土地に固定資産税が加算されますし、その場所での宗教的活動は取り締まりの対象になりますので現実的に継続する事は困難になるとお考えください。
寺社の管理を行う者については準国家公務員となり、月給20万円を支給します。兼業は可能ですので必要なら葬儀会社や一般企業でお働き頂くこともできます。
もちろん、保護管理に必要な知識や技能がなければ寺社管理人にはなれませんし、兼業により保護管理がずさんになった場合は解雇もあり得ますのでそのつもりでお願いします。
先ほど原則としてと申し上げた歴史的な価値のある建物以外にも重要文化財を保存している寺社に関しても保護の対象となります。どの場所においても布教活動は禁止ですし、違反した場合は詐欺や脅迫、恐喝罪に問われる事になりすので御注意ください。
既にどの寺社が保護対象になるのかは決定していますし、政治と癒着し続けてきた宗教団体も解散命令を出す準備が整っています。人の心を助け支えになるべき信仰が経済活動になった時点で取り締まっておけば起きなくて良かった悲劇も今までにいつくもあったでしょう。なお、本日時点で多額のお金を宗教団体に寄付したという方は国の機関にお申し出ください。満額返済されるように国が請求いたします。
それではこれで本日の会見を終了します。」
北条はそう言い残して返っていった。




