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58部

テレビでの討論会で流れた映像は大きな反響を呼んでいた。

もう十数年前の話ではあるが、現役の総理大臣が小学生に暴行するという事件はかなり問題となり、森川に対して政界からの永久追放を求めた上で、各役職であった経歴の削除も求められている。森川が総理大臣だった期間の話題が扱われるさいに森川総理とはせずに総理とのみ使う等の森川の名前が一切出てこないようにするように求められている。

森川のやった政策の全てにおいて名前を使わない事は、功績を全て剥奪される事を意味するとの主張もある。

森川はあの討論会以降、人前に現れておらず何の反論もしていない。

「どう思います?」

上田がニュースを指差して山本に聞いた。

「あの番組はやらせだったらしいぞ。」

「森川もグルって事ですか?」

上田が驚いて聞くと山本は

「森川だけが何も知らない感じだろうな。

番組のプロデューサーもスタッフもカメラマンも司会者もそして黒木も打ち合わせを重ねて森川を追い込んだんだろうな。」

「なんでそんな事がわかるんですか?」

「片倉が色々調べて教えてきた。

まず、番組のプロデューサーは映像に声が出てきた一人で、番組のカメラマンと一緒に例の映像を撮っていたが圧力がかかってお蔵入りになってた映像を公開する場所を求めてた。

次に司会者だが、若い男性のアナウンサーだっただろ?」

「そうでしたね、ああいう番組ってベテランの人とか解説してるような人が司会をすると思ってましたけど、若い男性でしたね。」

「あのアナウンサーが映像で暴行を受けた小学生だったらしいぞ。

そんで、あの映像に関係ある3人が黒木に話を持ち込んで実現したのがあの番組だったわけだな。」

「今後、どうなるんですかね。

あそこまではっきりと顔も出てたら、言い逃れもできないしもう何年も前だから今さら暴行罪で告訴もしないでしょうね。」

「社会的地位を失っただけで充分な罰なんじゃないか。

黒木はこういう事を許さないやつだから、他の前政治家だった奴らまで取り締まる気がするな。」

山本がそう言うと後ろから、「さすが山本警部ですね。」と声をかけられた。

後に立っていたのは大久保だった。

「厚生労働政務官様が警視庁で何をされているんですか?」

山本が聞くと大久保は笑顔で

「警察官の労働環境があまりに良くないとご家族からご指摘を頂きまして、視察に来たんですよ。ついでにあなたにもお会いしたかったですしね。」

「それは光栄です。

それで、さすがとはどう言うことですか?」

「黒木議員は、国家信用棄損罪という新設の犯罪を追加する法案を提出されました。内容は主に政治家や官僚に対する汚職や日本の国家としての信用を貶める行為を行った者に罰金や懲役、最悪の場合に死刑までの処罰を規定します。

例えば、今回のように政府の重職にありながらクズみたいな事をした人が日本の信用を貶めたとして罰を受けたり、国会で謎な発言で説明責任を果たさずボロを出したような政治家も対象になりますし、最近ではどこの国の人とは言いませんが外国で日本人のふりをして迷惑行為をしているようなクズどもにも適用されます。外務省との連携で迷惑行為を受けた国側から日本大使館に逮捕権を認めて頂き、日本へ強制送還した上で懲役刑以上の処罰にする事まで条文に書いてましたよ。

これまでの腐敗した政治家をまとめて処分する上に、日本を意図的に貶めようとする奴らまでまとめて排除する凄い法案ですよ。」

「そんな法案が成立したら、テレビで政権批判してる旧国会議員は誰もテレビに登場しなくなるだろうな。」

「やましい事がなければ出れるでしょうし、批判が正統であれば発言を抑圧される事もありませんよ。」

大久保が笑顔で言った所で大久保の後ろから人が走ってきて

「大久保政務官、ここにおられたんですか。

官邸の方よりお電話があり、相談したいことがあるから至急戻って欲しいとのことです。」

「わかりました。

それでは、山本警部。

また機会がありましたらゆっくりとお話しさせて下さい。」

大久保はそう言って頭を下げて去って行った。


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