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5部

「それでは、改革についての詳細を説明します。

 改革の内容に関しましては多項目に及びますので、本日は皇室に関する内容をご説明します。」

 北条総理はそう言って、書面に目を落として説明を続けた。

「まず、天皇の皇位継承権の変更です。

 従来、天皇は男系の男子にのみ皇位継承権を認めておりましたが、今後は男系・女系ともに認められるものとし、男子・女子にかかわらないものとします。

 また、天皇を役職で分け、政治を行う『政務天皇』と象徴天皇としての役割を担う『親和天皇』を並立させます。

 国家元首としての役割は『政務天皇』が行い、諸外国との友好関係の構築や従来の国事行為などを『親和天皇』が行うものとなります。

 『親和天皇』に関しての継承権は、在位天皇の嫡子を皇位継承順一位とし、在位天皇の兄弟・姉妹を継承順二位となり、その後も在位天皇に近い方から継承順を割り当てる形になります。

 『親和天皇』に関しては従来の皇族の中から継承権を望む皇族の方から新天皇を決定します。

 皇族であっても、継承権を破棄し一般国民として生活することを望まれた場合は継承順を割り当てられることはありません。

 皇族を離れるかどうかの判断は、15歳以上で離れることを望む本人が申し出ることによって継承順位からの離脱が認められます。

 皇族への復帰に関しては認めないことが前提となりますので、幼少時からの教育において適切な判断をできるような環境整備を行ってまいります。

 次に、『政務天皇』の継承方法に関しての説明に移ります。

 『政務天皇』は、国の政治を行う者として高度の政治能力ならびに国民からの絶大な信頼を必要とします。

 そのため、5年ごとに政治判断を国民の皆様にお願いします。

国民投票を行い、政治の良・どちらでもない・不良を判断いただきます。

 不良が国民全体の三分の二の割合に達した段階で、『政務天皇』は解任され、次の『政務天皇』を選出します。

 また、政治に対する不満が高まればその時々で国民が政務天皇を解任させることができるリコール制度も導入します。

 これは我々政治家に対しても行えるものであり、政権に対してリコール、解任したい人物を提起して頂き、国民署名を行います。2万人の署名が集まった時点で警察官による不正などの捜査を行い、不正が認められた場合は即逮捕、政治家資格の永久剥奪を行います。

 資質に関して、問題がある場合は同署名数で再度の資格認定試験を受験させることになり、合格すれば継続、不合格なら解任となります。

 当然、リコールを求められた人物に対する試験の内容は通常のものよりも難しいものとなりますので、基本的に再試験となった者は解任されるものとなります。リコール請求に基づいた試験に関しては国民の皆様に公表いたします。

 難しい問題を実施したということを示し、リコール請求に真摯に対応したことを示すためです。

 と、少し話がそれてしまったので、話を戻しますが、『政務天皇』の選定基準はまず一つ目、皇族であること。

 やはり、日本国民の代表として伝統的な皇族の血筋であることは外せない要件となります。

 次に、『政務天皇認定資格試験』に合格していること。

 皇族であることに資格は必要ありませんし、『親和天皇』になる上でも資格は必要ありませんが、日本の政治をお任せする上で政治能力の高さがあるかどうかという所は重要になってきます。

 そのため、皇族の中から『政務天皇』になりたい方を募り、候補者が出た時点で試験を個別に行います。

 資格が認定された方から皇位継承順位を付けさせて頂き、『政務天皇』が交代する時に、皇位継承順位保持者の中から一番認定試験の結果が良かった者が次代の『政務天皇』になって頂くという流れになります。

 皇位継承順はつけますがあくまで政治能力の高さでの判断となり、点数が同率だった場合にのみ皇位継承順を基準として選定されるということになります。

 以上が天皇陛下の皇位継承に関する説明です。

次に、女性天皇についてお話します。

 従来の婚姻による皇族の離脱は今後も引き続き継続されます。

しかし、皇位継承順位が高く、なおかつ皇族に残ることを望まれる方が出られた場合は皇族の身分を保持したまま天皇になって頂くこともできます。

 しかし、結婚されたお相手に関しては、身分は一般国民のままで、皇族になることはありません。

お子様が生まれた場合は、お子様は皇族となります。

 結婚相手の方に関しては選定の制限はありません。しかし、女性天皇の夫であることに関しては権限は何もなく、政治に口を出すことも何らかの利益や便宜を図ることも禁止されます。

 上述の内容を強要、あるいは忖度、授受した場合は当該男性との婚姻関係を解消、あるいは女性天皇に辞めて頂くことになります。

 婚姻並びに婚姻相手に課される制限に関しては男性天皇のお相手にも同様に適応されます。

 改正皇室典範は、来週にも文章化して正式に発表し、施行してまいります。

 順次、憲法の内容である統治機構に関する説明や憲法9条に関すること、教育改革など国民の皆様がより生活のしやすい国にするための改革を行っておりますので、重要度の高いものはこのように会見でご説明させて頂きますし、国民の皆様のご要望に応える形で会見をさせて頂きますので、首相官邸の方に要望をお届けください。

 最後になりますが、何かご質問はありますでしょうか?」

 北条総理が聞くと、一人の記者が手を挙げて、総理が指名すると

「現在の天皇陛下は今後どのような扱いになられるのでしょうか?」

「天皇陛下におかれましては、このまま『親和天皇』になって頂くという選択肢もありますし、皇族として皇太子として歩まれてこられた人生に敬意を表しつつ、陛下御自身が望まれるのであれば新たな仕事について頂くという選択肢もございます。

 それはこれから陛下がお決めになられることですので私からどうこういう話ではありません。」

「陛下が『親和天皇』になられた場合は元号はどうなるのでしょうか?」

 記者が聞き、北条総理が

「新たな日本の始まりということになりますので、元号の方は新しいものに変更しようと考えております。」

別の記者が手を挙げたので総理は指名して、記者が

「『政務天皇』になられる方はいつ表に出てこられるのですか?

 即位式などは検討されていますか?」

「即位式は検討していません。

 今後も『親和天皇』の即位式は行いますが、『政務天皇』の即位式は行わないものとします。

『政務天皇』がテレビなどを通さずに直接国民の皆様と接することはないとお考え下さい。

 国民の皆様との接触はあくまで『親和天皇』の役職となり、『政務天皇』は政治を公平に行うためにも国民の声を政治に反映させることはあっても直接お聞きになられることはありません。

 我々、政治家と『親和天皇』から国民が望んでいることを聞き、中立公平な立場で政務にあたって頂くための処置になっております。

 就任に関するご挨拶は時期が来ましたら公共の放送で行いますが、様々な用意がございますのでもうしばらくお待ちください。

 申し訳ありませんが時間が来たようなのでここで会見を終了させて頂きます。

本日はお忙しい中をありがとうございました。」

 北条総理はそう言って頭を下げた。


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