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43部

「それにしても、事件という事件は増えてないですよね。」

 上田が呟き、山本が

「誰も悲しんでないんだからそれが一番だろ。」

「全体的に犯罪件数は減ってますし、治安が良くなったと考えればそうですけど、今までみたいに世間を賑わすような事件もないですし、反政策デモも起こってもすぐに沈静化して続きませんし、その裏に何かあるわけでもなさそうですし。」

「何もないに越したことはないだろ。

でも、海外では行方不明事件とか殺人事件が増えてるらしいぞ。」

「そうなんですか?

何でそんなこと知ってるんですか?」

上田が聞くと山本は首をかしげて

「上杉さんからどんどん情報が入ってくるんだよ。

世界情勢も把握しながら日本の変化に留意せよみたいな命令つきでな。」

「何か特別な事情があるって事なんですかね?」

「例えばK国の反日派のリーダーが行方不明で、日本の策略だとメディアに言った反日派の議員が次の日に首を吊って死んでるのが見つかったなんてのもあった。

他にも日本に対して、無意味な武器売り付けて儲けようとしてた企業の倉庫が爆発してその会社の人間全員が犠牲になったとか、日本に対して強硬にイチャモンつける人が消えてるのは、誰がどう見てもやばそうだよな。」

「そんな事件あったんですか?

ニュースでは見たことないですよ?」

「ニュースではやらないからな。

なんの根拠もない話だからってのもあるけど、日本がそんなことできると相手国の政府も思ってないらしい。

一部で反日を煽りたいやつらが勝手に言ってるだけだし、死んだ議員には汚職の疑いがあって、既に検察が捜査して完全に黒だったと表明している。

他にも大事にすると国の信頼が大きく損なわれるような暗い部分が山ほどあるから公表を避けてるらしい。」

「警部は何か気になる事でもあるんですか?」

「高杉元防衛相の作った暗殺部隊ならこれって事実にできないか。

政治家の悪事をばらして口封じをするこのやり方は報道ジャッカーの時の手法に近くないか。」

「そ、それはできそうですけど、世界各地で色んな事件を起こしてるなら人が足らなくないですか?」

「そうか?

影山の最後の事件で別人になったやつらの中には海外に出国して居所のつかめてない奴がたくさんいるぞ?

他にも暴力団解散令で事務所からあっさり消えた元暴力団員は今どこにいるか把握されてるのか?」

「そんな日本で暴力団ができなくなったからって、外国でマフィアにでもなって日本のために働いてるとでも………………」

上田はどんどんと声がゆっくりになり、何も言えなくなった。

「あくまで仮説だがな。

そんなことになってたら、上杉さんが俺にこの情報を流してる意味がわかるだろ?」

「でも、海外では日本の警察の権限がほとんど使えないじゃないですか。捜査のしようもないし、それと一連の制度改正にも関連は見受けられませんよね。」

「関連はないと思う。

でも、これはあくまで仮説だが、海外に目を向けられないようにするために改正を次々に発表する事で目眩ましになってる部分はある。

これが意図的になされてるなら、上杉さんが俺に情報を流して来るのにも納得できる。

つまり、政策がどうのじゃなくて、政府が隠したがってるのは海外での秘密工作なんじゃないかってな。」

「確認はできるんですか?」

上田が心配そうに聞くが山本は首をふる。

「誰が本当の事を答えてくれると思う?

北条総理か?黒木か?政務天皇か?

きっと誰も知らないって言うだろうな。」

「そうですね。

日本に責任の追求が来ることはかんがえられないですか?」

「政府が知らないって言えばそれ以上の追求はできないだろうし、そもそもの話が足がつくよう犯行はしないだろうな。」

「迷宮入りですね。」 

「仮説だからな。

本当だとしても何の権力もない一警察官が言ってる妄想じゃあ、犯人はあげられないしな。」

「次は何が起こるんですかね?」

「わかってても止められるレベルの話じゃない気がするな。

注意だけして、最低限に被害を減らす事だけ考えるべきだな。」

「そうですね。」

上田は答えはしたが釈然としないものを感じた。

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