42部
会見場に北条は10分くらいで戻ってきて、
「それでは質疑応答に入ります。
先ほど発表しました政策の内容から優先的に質問して頂けるとありがたいですが、時間を限って行いますので各社の質問は一つぐらいになりそうです。
まぁ、皆さん聞きたいことはきっと同じだと思うので回答を使い回して頂けたらと思います。」
司会者が挙手した記者を指名した。
「東日新聞です。
先ほどの政策についてですが、カードを忘れてしまった場合は就学に必要なものが買えない、あるいは小学生などは私服での登校になりますが洋服を買った場合は不正利用に当たるのかなどの線引きを教えてください。」
「まずカードを忘れてしまった場合ですが、現金がある場合はそちらで支払って頂き、後日使った分を口座からおろして下さい。
レシートを保管した上で管理ノートや管理アプリ等を併用しつつ立替金として処理していただけば問題ありません。
次に学校に着ていく洋服ですが、例えば一万円もするTシャツを学校に着ていく必要はありませんし、何万円もするスニーカーを履いていく必要もありません。
毎日同じ服を着ているだとか、他の子供達と比べて明らかにボロボロの服を着ているような事が起こり得ないようにして頂ければと思います。
その洋服を買う必要性があったかどうかは使用目的の査定時に判断されますが、不必要であると判断された場合は洋服代の補填をして頂きます。
なお、この給付金の使い道はあくまで子育てに使うものなので親の物を買った場合は不正利用になります。
使った項目の査定は厳正に行いますし、地域により物価の違いもあるので総合的な判断はされるものとお考えください。
次の質問に移りましょうか?」
北条が言うと司会者が次の記者を指名した。
「N局社会部です。
昨日、黒木議員が政務天皇の独裁政治なのではないかと北条総務政務官にお聞きになられたようですが、それについてはどのようにお考えですか?」
記者達が一斉にメモの準備をしたのを確認してから北条が
「聞き手側のニュアンスも含まれると思いますが、黒木議員は独裁政治だと批判したつもりはないと思います。
確かに政治判断のすべてを政務天皇にお願いしておりますので、独裁のように見える部分はあります。
しかし、現在までの政治改革において、辛い思いをされながら政治が救済できていなかった人達が救済されている事からおわかり頂けると思いますが、政務天皇は従来の政治では見向きもされなかった様なところの改革をされています。
選挙に勝つために票田となる大企業や連合等の優遇をするのでもなく、献金を受け取った業界の保護を第一にするのでもない。
政務天皇は国民のための改革をされています。
資格認定試験を突破したとはいえ、私のように旧体制からの政治家もまだ残っている中では、我らに対する信頼もまだ得られてはいないのかも知れません。そのために我々は未だに政務天皇に試されているのかもしれません。
政務天皇より我々議員に日本の抱える問題点の提起と解決策を自ら考え、今月末までに提出せよとの指令が来ました。
これはあくまで企業における業務命令のようなものですが、我々が感じる問題点と政務天皇が感じておられる所のすり合わせや政策提案能力を試されているのだと思います。
ついでに申しておくと、私と黒木議員との確執はありません。
昨日も言いましたが、どこの記者さんもあまり採用してくれなかったので言いますが、意見の対立はあったりもしましたし、それがきっかけで距離があった時期もありますが、自分の意見をぶつけ合ってより良い政治を目指すのが政治家ですから確執なんてものではありません。
他に何か質問はありますか?」
挙手した記者が
「子育てバンクに関してですが、寄付金により成り立つとするとすると寄付金が集まらなかったらどうされるんですか?
所得税率の軽減だけでは寄付者は少なくなるのではないですか?」
「もちろんその通りです。
原則として寄付者の要件は先ほどお話しした通りですが、寄付金の確保への地盤をしっかりとするためにも、我々国会議員は最低でも年に100万円は寄付し、大臣格である政務官に関しては年150万円は寄付することとします。だいたい100人くらいいますので、一億円の財源は確保されます。また、若者の育成という観点では伝統芸能の継ぎ手がいない等の問題とあわせて、育児状況や本人の希望なども踏まえてではありますが、養子や部屋住みのような形で技術を残していく取り組みも考えてはいます。
また、総務省からの積極的な寄付協力を行っていきます。
強制ではありませんが、未来への投資としてお考えいただけたらと思います。
えーと、他には……」
北条が言いかけたところで司会者が
「総理、お時間です。」
「ん?ああ、そうだね。
最後に一つだけ、先ほども総理と呼ばれましたが今後は筆頭政務官という立ち位置なので、筆頭くらいで呼んでいただけたらと思います。また、何かありましたら質問をしてもらえたらと思います。」
北条は頭を下げて、会見場を後にした。




