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北条と黒木が国会内で議論した翌日の新聞各社は見出しで『北条総務政務官、黒木議員との確執を否定』、『議員でも会えない政務天皇』、『総理と呼ばないで。北条総務政務官の嘆き』等が並んだ。
特に注目を集めたのは北条と黒木の確執についてで、師弟関係であった二人の現在の関係性が多くの関心をよんだ。
北条でもあまり会えない政務天皇と言うのにも関心は集まり、政策決定が政務天皇一人の意見で行われているという所に独裁だと批判も出ている。親和天皇も未だに政務天皇にあった事がないと答えたとする記事まで出ていた事から独裁ではないかとの批判はさらに強まった。
しかし、政府としてはそれに対する反論はなく、いつも通りに政策発表の記者会見が行われた。会見に立った北条は
「皆さんが聞きたいと思われている事があると思いますが、まずは政策の発表をいたします。
少子化対策として、また親による子育ての放棄、ネグレクト等を防ぐために子育て支援バンクを日本銀行直属の下部組織として設立し、財務省・文部科学省・総務省の職員からなる国営の銀行とします。
子育て支援バンクの役割は、未婚者や高齢者からの寄付を集め、シングルで子育てをする親に経済的な支援を行う事です。
総務省職員による支援が必要な世帯の調査、文部科学省職員による子供の就学状況や学費の調査を行い、財務省職員による必要な金額の査定・配布を行います。
当然の話ではありますが、子育てを支援するためのお金である以上、それ以外の使用は認められず、支援金を受けとる口座は専用にお作り頂きますし、口座内の金額以上は使えないクレジットカードを作成して頂き、支払いは致し方ない事情を除いてこのクレジットカードで行ってもらいます。
購入した物のレシートは保管して頂き、年に一度カードの利用履歴とレシートの金額の調査を行います。
もしも不正利用があった場合は、支援金の減額・支給停止となります。
支援金の受け取りに関する基準は経済的な理由から子育てに行き詰まっている事、世帯年収額が低く将来不安を抱えている等があります。
支援金を受け取れるかはお近くの県庁や市・村役所にご相談ください。専門の説明要員を派遣して対応させて頂きます。
相談は無料となっているので、将来に不安を感じている方はお気軽にご相談ください。
次に、寄付者に対する国からの優遇措置をご説明致します。
子育て支援バンクは寄付金から必要な世帯への給付を行いますので、寄付金がなければ成り立ちません。
寄付者は子育て世帯ではない、単身者で養う家族がいない、収入に余裕がある事などの条件があります。
子育てを終了したが孫がいない高齢者の方や未婚のままである方などが対象になります。
ご寄付を頂く事により所得税からの控除を行います。
寄付金額により控除割合も変更となりますし、寄付による控除の期間は寄付された年度の税額にのみ有効です。
最低寄付金額を10万円とし、一年で最大240万円を上限に致します。
控除割合は会見終了後、政府のホームページにて文書で発表します。無理のない範囲で子育てをする世帯を応援していただけたらと思います。なお、個人情報保護の観点から頂いた寄付金が誰にいくら支払われたかの公表は致しません。
しかし、制度の透明性を保持するために使用とした事は仮名で公表します。
なお、こちらの制度は日本人である事、外国人でも永住権を保持している事が前提となります。
戸籍がしっかりしている事も前提となるため、望まずに妊娠して出産した場合でもきちんと手続きを行っておいて頂ければ様々な支援ができますので、一人で悩まず行政にご相談ください。
それでは政策の発表を終了します。
少し休憩を挟んでから皆様のご質問にお答えします。」
北条は一礼して、一度会見場をあとにした。




