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40部

「北条総理、一部では鈴木法務政務官が法律に対する理解が足りないのではないかとの声がありますが、その点についてはどのように思われますか?」

国会内の廊下を歩きながら記者の質問に色々と答えていた中である記者が聞いた。

「鈴木さんはあまり人前に立つのが得意な人ではないので、少し緊張していたんじゃないですか?

彼はどちらかと言うと民法に強い政治家だから刑法について多少の言い間違いがあったんじゃないですか。」

北条は真剣な顔で答えた。記者の一人が

「それなら刑法に強い政治家の方が会見された方が良かったんじゃないですか?」

「そうですね。

会見を行う政務官を決めるのは政務天皇ですので、進言はしてみようと思います。」

北条が笑顔で答えを返すと、向かい側から黒木俊一が歩みより、

「北条総務政務官、鈴木氏の事もですが最近の改革の発表の仕方や政策決定までの過程が不透明すぎます。

今はまだ国民の理解を得られていますが、私には政権が暴走しているように見えます。

何より、資格認定を受けて国会議員になった人は私も含めてですがほとんどが政務天皇に会ったこともないというのは、いかがなんでしょうか?」

「やぁ、黒木くん。突然、どうしたんだ?」

北条は笑顔で返し、黒木は真剣な顔で

「あなたにもなかなか会えないので、この場で聞かせて貰いたかったんです。制度作りは各省庁が準備を進めていたからできていたのかも知れませんが、じゃあその準備はいつから始まっていたのか等の問題もあるじゃないですか。

政策決定に助言をするはずの我々が一度も会わずに作られた政策に国民の意見は反映されていないのではないですか?」

「官僚の皆さんはとても優秀です。

今までは指示を出していた我々政治家が、意見の取りまとめができずに中途半端な指示を出していたために、その能力を発揮しきれていなかったというだけの事です。

黒木くんだって、政策を考えて、それを提出したらすぐに制度化できたという事はありましたよね?

それに政務天皇は元々が一国民だった訳ですから、これまでの生活の中で感じてきた事を政策として実現されているだけだと思います。」

「そんな説明だけでは納得されない国民もいますよ。

政務天皇を世間から隔離するのは、一部の国民に利益が集中しないようにするためにも必要な措置だとは理解できます。

ですが、議員も関われないというのはおかしいです。」

「なるほど、あの方も多忙なので一通りの改革が終わってから皆さんと交流しようとしているのかも知れません。

一度、議員とも交流を持たれるように進言はしてみます。」

「………わかりました。よろしくお願いします。」

黒木はそう答えて、北条を睨み付けてからその場を去っていった。

「北条総理、今のお話は本当ですか?

議員も交流できていないというのは?」

「ああ、そうですね。

日本が解決すべき問題は山積しています。改革には時間がかかるので、色々と忙しくされていて、未だにほとんどの議員が会えてません。それは事実ですが、政権が暴走しているという事はありません。

私も上申書というものを使って意見をお伝えしているくらいですが、取り入れてもらえる意見もありましたし、時間がたち余裕ができれば他の議員とも交流できると思いますよ。」

「なるほど。

黒木議員は政務天皇に対してあまりよく思われていないように感じますが?」

「どちらかと言うと私だけが政務天皇と繋がっているような誤解を与えてしまっている事に問題があると思います。

まぁ、時間の問題だと思います。」

「総理、黒木議員との確執があったとの噂もありますが?」

「アハハ、ありませんよ。政策上の対立はあったかもしれませんが、政治家は意見をぶつけ合ってより良い、政策を作っていくものですから、確執なんてつまらない事にこだわっているようでは三流の政治家ですよ。」

「そ、そうですか。」

記者が言うと北条が何かを思い付いたように

「ああ、そうだ。」

「どうかされましたか?」

「皆さんが先程から私を総理と呼ぶのも直してもらいたいですね。

役職がもう変わってますからね。」

北条は柔和な笑顔で言った。


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