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剣魔未来〈 剣に触れるもの 〉  作者: 数間サハラ
始まりの異変
3/13

始まりの異変 03

始まりの異変もいよいよ佳境へ。それぞれの葛藤と、選択の行方は。

「それにしても、レオーネ防衛士長が自ら来てくれるなんて、先輩ってどんだけ顔が広いんですか!」


 気絶したガクを拘束し、マシューらは山を降りていた。


「当然だ! マシューのた....困っているもののためなら私はどこであろうと前線を恐れずに立つ。それが、防衛士長というものだ!」


 レオーネが胸を張って答える。レオーネは僅か15歳で鋼魔防衛部に加入し、マシューが人事部に加わった一年後に欧州支部の防衛士長に任命された。

 父親が前防衛士長であるということから、当初はあまり良い目ではみられなかった。しかし、それを全て跳ね返すかのように害悪魔獣を何頭も討伐し、ギルド間の闘争収束の功績を挙げた実力は折り紙つきだ。


「それで、マシュー。これからどうする?」

「そうですね。....相手の出方次第と言うしかないです。最初に返り討ちにした5人には、フレディ博士のレコーダーを仕掛けています」

「え! あれ人間でも機能するの!? さすが変態博士の考えたおもちゃだけはあるわね」


 フレディ博士への偏見は置いといて、マシューとしては村の安全さえ確保出来ればそれでいい。マシューは人事部だからその後の捜査はレオーネ率いる防衛部に任せたい。


「私としては犯罪者を必ず捕まえる必要がある。奴らがボロを出せばいいが、その前に、このノビてるガクっておじいさんから聞いた方が良さそうだな。転移魔法を使う。全員魔法陣の中に入ってくれ。」


 レオーネが唱えると大きな魔法陣が出現する。転移魔法は設置型、難関レベルの光聖魔法だ。マシューは使うことが出来ない。

 帰って来たのは村長の家だった。村には既に数十名防衛士が派遣されていた。

 家にいた村長がルイスの安否を両親に伝えすぐに駆けつけてくれ、再会を涙を流して喜んでいた。

 村長も、ルイスも、村の人みんなが無事で良かった。連合ギルドに庇護されている雰囲気が村全体を安心感で満たしているようだった。

 当事者であるマシューとルーナはもちろん捜査を外れる訳にはいかなかったが、これからは鋼魔防衛部を中心に、村に捜査本部がたてられるらしい。そう、()()()()()を中心に。



「なんであなたがいるんですかフレディハカセぇーーー!」


 レオーネがフレディ博士を見た瞬間に叫んだ。


「なんで僕が居ちゃいけないのかなあー笑。レオちゃんが愛しのマシュー氏に会いにいってる間にあのガクって男の家を調べたらさあ、ものすんごい武器の作りかけが出たんだよ。ガクが怪しいのは知ってたんだけどあんな武器見せられたらもう科学者の血がうずいーー」

「ストップ! ストップ!」


 フレディ博士の早口をたまらずルーナが止める。


「フレディ博士には情報は教えてませんよね。なんで私とマシュー先輩しか知らないことさっきからペラペラ喋ってるんですか!」

「あれ? マシュー氏に言ってなかったっけ? 僕、()()()()()()()()が趣味なんだよねぇ〜」


(そんなこと他の人に言えるわけないでしょ)

「うわっ....まさか盗聴?きもちわる」


 ルーナが服を漁った。


「探しても出ないよ。まあ、今回はマシュー氏に渡した僕の傑作品がちゃんと機能しているか確かめたかっただけだよ。普段はレオちゃんのポエムしか聞いてないから」

「え! レオーネ先輩、詩を書くんですか。意外ですね」


 ルーナがふむふむと頷く


「は? 適当なこと言ってると流石のフレディ博士でもーー」

「ああ、私の愛しの麗しきマしーー」

「どわあああああ!やめろ! やめろぉ!」


 ....なんだこの茶番は、


「あの!」


 ルイスが騒がしい声を中断した。ナイス!ルイス!


「あ、ごめんねぇ。すっかり空気にしていたよ。確か貴殿は....」

「ルイスです。それより、マシューさんが仕掛けたレコーダー、聞いて見ませんか?」


 ルイスの言う通りだ。マシューはパソコンを開いて録音内容をスピーカーにして流した。



「で? その男にボコボコにされて、大人しく帰ってきたってわけか」


 武器商人のボスらしき男の声が聞こえた。


「すみません。なんせめちゃくちゃ強くて歯が立たなくて。」

「俺たちの光聖魔法が全部その男に跳ね返されたんですよ」


 敵でも評価されると少し嬉しいもんだな。....って何を言ってるんだ。


「ルーナ。マシューはその時、カッコよかったか?」

「はい!それはもう」

「そうか、ならよかった」


 あなたも何を言ってるんだ....


「男たちの身なりは」

「はい、男が青、女が緑の登山服でした」

「....そうか、確かあの村はギルド申請をしてるんだったな。その二人組みが連合ギルドの連中って考えもある....か。今回のことはおおめに見てやる。次の指示を待て」

「はい! ありがとうございます」


 そこからは意味のない会話が続いたためスピーカーを止めた。レオーネが指示をする。


「まだ具体的な作戦は立てられないが防衛士は小隊を組んでいつでも出撃準備が出来る体制で村人への事情聴取。ルーナとルイスは引き続き録音内容を確認し、重要な情報はすぐに届ける。マシューはガクの事情聴取を頼む。フレディ博士は....好きにしてて下さい。」


「はぁーい。好きにしてまぁーす」


 勢いよく出てガクの家へ一直線に向かった。他もそれぞれの持ち場へ向かった。



 次の日


 ガクが目を覚ましたので、ロープでぐるぐる巻きにしたまま事情聴取を開始した。


「こんにちはガクさん。潔く吐いてくれますよね」

「へっ!わかったよ。話したらいいんだろ」


 それからガクに色々聞いた。村に入ったのは30歳の時。受け入れてくれた村のために電気や水道の整備を施していた。あれ、普通にいい人じゃないか。


「5年間は平和に暮らしていたあなたが、どうして急に武器商人なんかと取り引きしちゃったんですか」

「決まってるだろ。平和じゃなくなったからさ」


 ガクによると、フレディ博士が言っていたものすんごい武器が関係あるらしい。


「俺はこの村には来る前はとある工場で働いていた。そこで師匠に出会った」


 師匠はガクに鋼魔生産のあらゆる技術を教えてくれた。鋼魔の培養や抽出など、最先端に近い技術までだ。

 凄いな。その師匠。


「だが師匠は病気持ちだった。そしてあるものを完成させる夢も持っていた。それがーー」


 ものすんごい武器ってわけか


「師匠は死ぬ前に何とか設計図だけは完成させて、俺に託した。そして死んだ」

「それはご愁傷さまでした。でも、そこで作らなかったのですか?」

「俺のとんだミスで出ていかざるを得なくなった」


 ガクによると、設計図をコピーした後に、師匠が死んだことを知らなかった客がこっそり持ち出してしまい、武器のことが武器商人の間で広まってしまったらしい。

 そのものすんごい武器は鋼魔のエネルギーをふんだんに使う圧縮砲で喉から手が出るほど欲しい武器商人から逃げ回り、辺境のこの村に辿りついたのだという。

 武器商人から逃げていたのはその武器が悪用されるのを望んではいないらしく、武器を作ることもあくまで、ロマン!!!らしい。ロマン凄い。


「この村は最高だった! 邪魔者は誰も居ないし、山の中には上質な鋼魔が生成されている洞窟があった。ここで死ぬまで設計が出来ると思った。なのに」

「あの武器商人らが接触してきたんですね」

「ああ、俺の秘密の洞窟を勝手に占領しやがった。あの洞窟がなかったら俺と師匠の悲願は達成出来ない。だから俺は」

「村を売った。ってことですか」


 ガクは静かに頷いた。村を武器製造の工場にすることを提案したのは武器商人側だったが、ガクは二つ返事で承諾し今に至る。


「受け入れてくれた村人たちに申し訳ないとは思っているのですか?」

「悪いことをしたとは思っている。だが俺の目的はただ一つだ。それを達成するためなら何だってするさ。善人捨てるのが怖くてこんなことやってられるか!。俺の野望をナメるな! 」


 マシューは僅かながら同情していた。この男は決して善人ではない。しかし、亡き師匠に対する尊敬の念は嘘には見えなかった。人生の半分以上をその約束に捧げたのだから。だが、それでも。


「あなたがただの野望を持っていないことは分りました。でもあなたは犯罪者だ。これから連合ギルドの司法によって裁かれ、もう二度と武器はつくれない」

「....っ! くそぉ!」


 ガクが床に足を叩きつける。悔しいはずだ。一度ならず、二度も失態をし、約束を果せなかったのだから。


「武器の威力次第では余罪が加えられる可能性があることを覚えておいて下さい」


「ふん、もうそんなことはどうでもいいさ。もう、俺は終わったんだ。」

「....連合ギルドにフレデリックというあなたの武器に興味津々な物好き科学者がいます。許可が出るかは分かりませんがーー」


 もし、許可が出た場合、研究目的に違法武器を製造することが出来るかもしれない。

 武器はC級から、B、A、S級の段階があり、過去の地球に存在した核兵器級の武器をS、それ以降は人を殺害出来る危険度を段階化して分類される。

 S級武器は連合ギルドでも製造することを禁じている。だが、A級武器なら先程の理由で認められる場合がある。


「もし、許可が出て製造に成功して、あなたがまだ生きていたら、僕が必ず完成を見せます。約束します。」


 せめて、これくらいはしてもいいだろう。


「へっ、あんまり犯罪者に同情してると降格されちまうぜ」

「そうですね。僕としたことが」


 ガクの事情聴取はこれで終了だ。マシューは連合ギルド加盟に関わることまでなので、これ以降は鋼魔防衛部に委託される。ガクとは一旦お別れだ。その後、


「あなたがガク氏ですかぁ。一言で言おう。あなたは天才だ! あそこまで高性能なのに無駄を一切排除したあのフォルム! 圧縮率500パーセントを遥かに超えた圧倒的高出力! そもそも! 基本圧縮倍率が25倍という芸術的数字! どこで! どこでその技術を!」

「あっはっはっはっ!分かるか! 師匠の設計図を改良したんだ。今じゃ25コンマ00だぞ」

「そんな変態的数字! 私なら卒倒ものです!」


 後から来たフレディ博士とガクがよく分からない話を展開していたが、楽しそうだから良しとしよう。ひとまず防衛士の監視下で部屋にいてもらうことになった。



 その頃、ルーナとルイスはパソコンの前で会話を聴きながら話していた。


「ルイス君ってさー。これからどうするの?確か強くなりたいんでしょ」

「そうですね....そう言われると、何も考えてませんでした」


 今まで自分だけで、自分流に特訓してきた。今は他の同年代と比べれば多少は鍛えられている感覚はある。

 でも、それだけだ。ここにいるままでは、スタートラインにすらたてない。それは分かっている。でも、どうすれば。マシューさんが言っていた自分に働く謎の力だって....


「そもそも、どうしてそんなに強くなりたいの?強くなってどうしたいの」


 つい、聞いてしまったが、男の子にこの質問は意味がなかったとルーナは思った。

 どの時代でも、強くて、それで好きな女の子とか、女の子じゃなくてもいいけどとにかくヒーローみたいに守れる男がカッコいいものだ。

 男の強さに理由なんかいらねぇ。みたいなマンガもあるし。


「....マシューさんとルーナさんがこの村にくるまでは村にも子供が通う剣術クラブみたいなのがあって、俺も入っていたんですけど....」

「入っていたけど?」

「この力のせいで剣を落とすから、試合の前に練習にすらならなかったんです。仲間は馬鹿にするよりかは同情してくれたんですけど、やっぱりそれが自分の弱点みたいに思えて。でも引きずってばかりは嫌で。だからーー」


「ちゃんと胸を張って歩きたい。って感じですかね」


 〜〜〜

 結構前の日の休憩時間


「マシュー先輩って結構強いのに、鋼魔防衛部に入ろうとは思わなかったのですか?」


「んー。連合ギルドに入ったのは、勿論色んな人の味方になりたいって思いが1番だけど、親を安心させたいのもあったからなー。防衛部は稼ぎがよくて名声を得やすいけど、ハイリスクだし」


「じゃあなんで強くなろうと8年も修行をしたんですか。人事部に入るなら、そこまでしなくても」


「....そうだな。じゃあルーナ、君は元々仕事が早いのになぜわざわざ高レベルの魔法を使うの?」


「なんでって、高レベルの方が先輩の大量の仕事を早く片付けられるし、それが私の売りというか自信というか」


「うん、まあそれに似てるよ」


「え?」


「僕が当時どう思っていたかはよく覚えていないけど、昔の僕は今と比べると呆れるくらい弱くて、光聖魔法もからっきしに使えない駄目人間だった。でもこのままじゃ何かあっても、言い訳をして泣き寝入りするだけだ。だから、前を向ける何かが欲しかったんだと思う。まあ要するに、


 ちゃんと胸を張って歩きたい。って感じかな。」


 〜〜〜

「....そっか、いいね。そういうの。」

「ありがとうございます。」

「そうだ! マシュー先輩に、師匠になってもらうってのはどう? 先輩かなり強いし、なんかルイス君と境遇も似てるし、いい関係になれるんじゃないかな。」

「そうなったらとても嬉しいですけど、迷惑じゃないですかね」

「大丈夫大丈夫! 勢いで押せば何とかなるから。というか、多分向こうから提案してーー」


「こら! 私語のし過ぎだ。ちゃんと聞いているんだろうな」


 レオーネに見つかってしまった二人は慌てて謝った。一応話していた時間分早送りで聞いたが、特に重要な所はなかった。しかしその1時間後、事態は進行する。

 レオーネの指示で再びパソコンの前に集められた。先程の面子に加えて、防衛士の各部隊長が加わった。



「これからお前らに重要な指示をする。」


 話し始めたのは先程聞いた武器商人らのリーダーだ。


「先日、ガクとの取り引きに失敗した。妨害した奴らの正体は分からないが、ガクの村が連合ギルドに加盟しようとしていたことを踏まえると、連合ギルドの連中という可能性を拭えない。

 そこで会議をした結果、このアジトからは撤退することにした。ガクとの取り引きは前リーダーからだが、捕まってしまえばそれこそ本当におしまいだ。今から1日で全てのブツを片付けろ。3日目がくる前にズラかれるようにしとけ。」


「はい!」


 全部下と思われる声が返事する。そして。

「アルファ、ベータ、ガンマ。」


 コードネームだろうか。リーダーが三人の声を呼ぶ。


「お前たちを中心に、アルファは資金、ベータは剣武器、ガンマは銃火器武器を担当しろ」

「はい」

「了解」

「承知」


 それぞれが返事をする。副リーダー的存在なのだろうか。


「以上だ。散れ!」



 その一声と共に作業をする音が聞こえる。このグループの規模は中々大きそうだ。統率力も十分にある。録音を聞いていた一同に警戒の念が現れた。


「それで、フレディ博士。奴らの位置情報は」

「はいはい、今モニターに出すよ。あ、ちょっとマシュー氏のパソコン借りるよ」


 フレディ博士がパソコンに何かを打ち込むと、モニター上の地図に赤い印が出る


「ここから15コンマ4キロ。山一つ挟むけど結構近いね。まあ、そこに奴らがいる。録音人間から通信を介して近くのパソコンらしき情報機器に逆探知したんだよ。録音人間たちからの距離は50メートル圏内だから奴らのパソコンと考えて問題ないと思うけど」

「分かった。他には?」

「一応そのパソコンを解析しようとしたんだけど、相手の機器が思ったよりめんどーなんだ。時間がかるけどもうちょっとやってみようかい?」

「それはしなくていい。相手に攻撃されている様子を悟られては逆に警戒されてしまう」


 その後、レオーネと各部隊長の小会議で作戦は決定した。


「作戦を伝える。一番小隊から八番小隊で3ー3ー2編成を組む。武力衝突になれば相手の動きに合わせて陣形を崩すさずに、編成を縮小して捕らえる。村には応援として九番小隊と十番小隊を要請する。相手の撤収作業から考えて転移魔法は使えない。各部隊長は転移魔法で所定の位置で待機し、対象に検閲をかけ、制圧しろ」


「了解!」



 作戦伝達が終了し、一時解散となった。その夜、マシューはレオーネと話していた。


「レオーネ。今回の相手が持っているのは実弾だ。光聖魔法の方が強い。でも相手の方が、残虐だ。いつも以上に警戒した方がいい」


 光聖魔法にも人間を殺傷する威力のある魔法はある。だが基本、魔法攻撃は「固定ダメージ」を与えるものであり、剣や銃のように人体を抉って攻撃するものではない。

 固定ダメージというのは細胞内の体内魔力にダメージを与えることにより、機能停止にすること。

 一定の体内魔力が機能停止になると、体の運動機能にも影響し、気絶してしまう。

魔法での戦いは物理攻撃より長期戦の削り合いの戦いだ。

 連合ギルドはこの弱点に見える魔法を採用し、世界に広めてきた。なぜなら、良い言い方をすれば、比較的安全に戦闘行為が出来る。

仮に戦争が起こったとしても、死者が激減するからだ。

 科学が生み出した、一瞬で人を殺す兵器や武器は過去の悲惨な戦争の歴史を二度と繰り返さないために、全世界中での製造を禁止されている。でも、奴らはそんな武器を使ってくるのだ。


「ああ、これまでにないくらい警戒しているよ。私は防衛士長になってまだ浅い上に、こんなケースは初めてだ。死者が出る覚悟....ああ、怖いな。自分が死ぬことより怖いよ。私の父は、どうやって克服したのだろうな。全く、魔獣殺しだけで防衛士長を決めては行けないと今良く分かったよ」


 マシューが鋼魔防衛部を選ばなかったのは、レオーネが直面している「上に立った時の覚悟」がなかったからだ。仲間が傷つき、死んでしまう。それに耐えられないことを恐れたのだ。


「でも、怖いなんて当たり前だ。私が怖気づいて前線に立てないようでは防衛士長失格だからな」

 

レオーネがさらに続ける。打たれ強さこそが彼女の真の武器であるとマシューは思った。僕なんかよりは何倍も強い世界に立っている。


「レオーネは僕より強いから、大丈夫だ。こっちはこっちで出来ることをやっておく。だからいつも通りにすればいい」

「そうだな。ありがとう。もう遅いから寝ることにするよ。マシューも休め。明日が正念場だぞ」

 

レオーネが部屋へと戻り、マシューも部屋へと歩いていった。



 次の日の昼頃、アジトへの移動ガク開始された。奴らが撤退を開始する前を狙い、アジトの建物内で逃げ場を無くして動きを封じる。

 念のために、作戦の中核はモニター上の文字で伝えられた。マシューらは作戦本部でレオーネの指示が聞けるように待機していた。

 そして、p.m6時。作戦が実行された。レオーネの合図とともに前線の盾班が一気に突入をする。


「防衛士長!」

 

前線の一番部隊長がレオーネに通信を繋げる。


「どうした」

「それが....5人しかいません。」

「は?」


 5人しかいない? どういうことだ。本部にも動揺がはしる。

 レオーネがアジトを確認すると、5人はチェーンで拘束され、中央にパソコンが一台置かれていた。パソコンにはマシューらが聞いた会話の録音が流れていた。


「一体どういうことだ。....最後部隊!」

「はい! 奴らは包囲網内にはいません。恐らく、逃げられました」

「....そうか、相手の方が一枚、上手だった。情報をずらして行動していた」

「これから隠密隊とか、作った方が良いんじゃない?」

 

フレディ博士が苦言を呈した。現場も、本部も、失敗の静寂に包まれた。

 

ドタンっ

 

静寂を壊したのは、手を拘束されたまま扉を蹴っ飛ばして入ってきたガクだ。監視の防衛士が慌ててガクを制止させる。


「逃げて終わりじゃねえ! 」

「....どういうことか聞かせて下さい」

「あいつは、取り引きが失敗したからって引き下がったことはただの一度もねえ。普段は冷静ぶってるがな、あいつはプライドの塊みたいな男だ。自分のの邪魔をするやつは徹底的に殲滅させる。それに、あいつは俺の武器を、知っている」


 その時、何かが風を切る音が近づいてくる。そして、

 

ドぉぉぉぉン

 

凄まじい衝突音が響いた。本部一同が外に出ると、大砲の弾らしき物が地面を深く抉っている。


「まさか....村ごと潰すつもりか!」

「だあーーい正解だよ。これまで、よくもいろいろしでかしてくれたな。ガク。」

 

マシューのパソコンに、ガクと同じような筋肉質の男の映像が映る。


「今からお前を村ごと葬ってやるから待ってろ。今までの礼にお前の武器だけは生かして、俺たちが上手く使ってやるからよ」


「クソ! 転移魔法で村に戻るぞ! 村には九小部隊と十小部隊しかいないからな」

「防衛士長! 転移魔法が、使えません。この山一体に高レベルの設置型対象阻害魔法が作動しています。恐らく、これを突破して転移魔法が出来るのは防衛士長だけです」

「次から次へと、何もかもお見通しというわけか....分かった。私だけでも戻って加勢してくる。お前たちは移動魔法であの5人を連行して速やかに合流しろ」

「了解! 」

「マシュー! 連合ギルドに応援要請! 十一小隊と十二小隊を! 私もすぐ戻る」

「了解。戻り次第、状況の詳細を伝えます。」



 忌まわしい。人間による戦闘。それが今、始まろうとしていた....。



全ての設定や状況に触れながら書くことがここまでむずかしいとは....('-' )。これまでただ頭の妄想だけでやって来ましたが、若造には少々無謀だったようです。これからも、思い浮かべている最終までは、できるだけ続けたいと思います。なので、誰でもいいから、見てくださーーーい笑

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