誕生
詳細も教えて貰えずに暗い場所に閉じ込められた
身動き一つ取れずにじっと耐えず 玉に身じろぎ出来るだけだ
何時までほっとかれるんだろう
はぁ早く説明が欲しい
あれからどの位たったのだろう
何故か食事をしなくても栄養が体にめぐるのが判る
そういう世界なのか…まさか本当にゴ…に転生させられた訳じゃないよね?
暗闇に光が差したと思ったら
誰だ足を引っ張るのは
嫌だ俺は此処に居たいんだ…
引っ張るな
どうやら俺は赤ちゃんになってたらしい
考えてみたら転生だから当たり前だろう
ただ逆子だったのは母親に悪い事をしたと思った
前世だと機会に恵まれなかったが
子供が産まれたら親にすぐに会える物なのだな
イケ…顔の怖い父親と美女と野獣な母親
どうして この二人が結婚したのだろ?
両親は とても仲が良いらしい
隣の部屋で今日も弟か妹を作ってる
母親の色っぽい声を子守唄に今日も寝る
どうやらこの世界には魔法が有るようだ
灯りが電球じゃなく精霊が周りを照らしている
何故か動物の鳴き声が意味の有る言葉に聞こえる
相変わらず俺の声は意味無く
「オギャア」「ダウー」なのだが…
魔法が有るのだから自分も使ってみたい
中二病みたいで少し嫌だが
「ばうばばーぶ」(ファイヤーボール)
…何も起こらない…
言葉が話せないからか
それとも魔力が無いのか…
授乳時に母親の乳首を舌で転がしたくなる
衝動に耐える日々も終わった
離乳食である
言葉も赤ちゃん言葉ではあるが話せるようになった
両親の夜の運動会のお蔭で
妹が出来た年子だ
カメラが有ったら撮りたい位に可愛い
ロリコンの手から守らないと
お兄ちゃんだからな
捕まり立ち出来るようになった
家の探検をしてみた
本が有ったら読んでみたいのだが
父親は脳筋なのか書室どころか本の一冊も無い
妹が風邪を引いたらしい
俺に感染らないように別室にされた
大丈夫だろうか 心配だ
妹の風邪が長引いている
母親が看病しているが 随分やつれている
俺に魔法が使えたら治すのに…
「ヒール」
試しにやってみた
ガクン…力が抜ける
母親が目を思い切り見開いて俺を見つめる
やつれていた頬が元気に見えるけど…
ご免なさい眠い…
どうやら魔法が発動したけど
いや…したから魔力切れになったらしい
家中探して隔離されてる妹を見つける
「メディスン」
…俺は気を失った