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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編類

ダンジョンスライムの呪い

ダンジョンのコアとスライムのコアって似てるよね?

【ダンジョン】

それは危険な存在、しかし管理さえ出来れば莫大な財を得られる夢の存在。

神が作り出した、過去の文明の遺物などと言われたり、1つの生命体とも言われる謎の存在は複数見つかっている。


そのダンジョンは管理され、上部に都市が出来て長く経つ。

さんなダンジョンの上層部、隠された小部屋にスライムが湧き出す。

中から出ることは出来ず、天井には穴が開いているが先は見えない。

いわゆる落下トラップである。スライムを倒せば壁が開く、落下のダメージで動ければの話だが。


しかし、現在その小部屋に落ちて来るのはゴミである。

ダンジョンでは多種多様な効果を持った武器防具か出現する。

中には呪われた装備と呼ばれる物も少なくない。総じて性能は高いが代償が必要なもの、装備すると悪い特殊効果が発現するもの、外せなくなるもの。

この都市では精神に影響のあるもの、外せなくなるものは廃棄した場合重罪となる法が作られた。

どちらも解呪して使うことも出来るが解呪の値段は高い。いや、高くなった。捨てられないのだから払わざるを得ない。

そんな冒険者の噂で、ある武器屋が解呪より安価で引き取るという話が広まっている。


事実引き取っている。どうして引き取るのか冒険者も首をかしげるが、止められると困るので聞くことはない。


武器屋の店主は夜になると地下の倉庫に降りる。

倉庫の木箱を店主がずらすと1人通れる穴が床に空いている、ダンジョンへの穴が。

店主は縄ばしごを下ろしてダンジョンへと進んでいく。呪われたゴミを担いで……


落下トラップの話は冒険者なら当たり前だ、上層部の罠など数える程しか無い。そこに店主は目をつけた、廃棄場所として。

ダンジョンに置いた物は消えないので普通に置いただけではばれるがトラップに捨てれば見つからない。

問題はどれだけ捨てられるかだが限界まで稼いだら逃げるだけだ。

店主はほくそ笑み店に戻る、最悪の出来事が起こるとも知らず。



▽▽▽



落下トラップ先の小部屋は禍々しい空気が漂っている。

常に一定のスライムがいるはずだがドロップのコアが一面に散乱している。他は武器と防具が積み上がっている。


始まりはスライムが呪われた武器を取り込もうとしたことから始まる。呪いのエネルギーは莫大なものだがスライムが取り込めるものではなく、スライムは液体となり消えていった、経験値というエネルギーを残して。

経験値を取り込む生物のいない小部屋でスライムが湧き経験値を取り込む。

徐々に装備を取り込んで死んでいく。経験値と呪われたコアを残して。


繰り返される工程、その跡としてコアと経験値が増えていく。

いつしかコアの呪いは複数の装備をまとめた力を持ち、経験値を取り込むスライム以外はその力に耐えきれず消え去っていく。

数多くの犠牲により溜まった経験値はスライムの種を越えるまでとなり、スライムは呪いの耐性を得る。


超越スライムはゴミに混ざっている少量の希少金属を粘体と混ぜ込み、呪いの力をコアへと刻む。

更には散らばるスライムコアをも取り込み知能を増大させることとなった。


ここはゴミ捨て場だ、時にヤバい物が捨てられる。

呪いの品、死体、エルフの秘宝……

全てスライムの腹の中。



ある時、落下トラップがまともに反応した。

とは言えロープから降りてくる三人のエルフ、秘宝奪還メンバーだろう。ご苦労様。


エルフが明かりを灯し、壁が開かれる。

超越スライムはトラップの枠組みから外れた為、スライム全滅判定が起こった訳だがエルフ達は知らない。

解き放ってはいけない者が存在することを。


エルフ達はまず体が痺れてきたことに気付く、そして近づく金属質のスライム。


エルフ二人が剣を引き抜き、1人が開かれたダンジョンへと下がり、魔法の準備をする。


二人の剣撃は剣が負けて刃こぼれをおこし、炎弾のダメージは思ったほどみられない。

粘体に混ぜられたオリハルコンとミスリルの効果である。


スライムから放たれた糸付きの刃に運良く剣で防いだエルフ1人を除いて剣士は腹部を貫通し、魔法使いは頭部を貫かれ死亡した。


無事だったエルフは笛を吹きながらダンジョンへと逃げていく。

スライムは糸を戻して自分の体を二人の元に引きずり、取り込んでいく。

腹部をやられたエルフは泣きわめくがそれも直ぐに止んだ。

脳と魔力を貯蔵する臓器、エンチャント装備のみを取り込み部屋を後にするスライムは逃げるエルフとは逆にダンジョン最深部へと進んでいく。




▽▽▽



上層と中層のモンスターではスライムに傷を与えることも出来なかった、途中出会う冒険者も同様だ。

生き延びたいなら逃げるしかない。

階層のボスであるゴブリンキング、オークキング、ミノタウロスなどただ大きいだけの存在である。

刃を飛ばし捕らえられたら呪いがその身を蝕む。

スライムを超越してもなお膨大な経験値を得られたことでステータスは一般の人を越えた。

スライムは8本の刃を足として進んでいく。



リザードマンの剣撃を前の刃二本で弾き切り殺す。

飛んできた虫の酸液を盾を作り受ける。粘液が溶けるが盾を切り離し酸の耐性を得る。

炎弾を飛ばし虫を火だるまにし、盾を回収、リザードマンへと向かう。



深層はこれまでとは違い厄介なモンスターも出て来ている。ダメージも受けている。しかしひたすら進むスライムの踏破スピードは凄まじい。


次のボス、デーモンと対峙する。



▽▽▽



エルフ達からスライムの特異個体の報告が来た。

ギルドマスターはブラックコーヒーを飲み干し頭を抱える。

国家間の火種となりかねない秘宝がダンジョンに持ち込まれただけでも最悪だっていうのに、そこにいたスライムに二人殺されたんだから困った。

トラップ部屋の調査とスライム特異個体の情報収集を依頼にだす。



トラップは普通のスライムと呪いの武器が落ちていたようで武器屋を捕らえた。噂では聞いていたがどうやら特異個体の原因はこれのようだ、見せしめに店主は吊るされた。


スライムは下に向かっているようだ、冒険者の被害がでかすぎる。最悪は軍へ頼む可能性も出てきた。



▽▽▽



デーモンとの戦いは時間が掛かった。

相手も呪いの耐性があり、魔法を使う、武器も呪いの品だ。

再生もある相手に攻撃不足を感じるスライムだが小さい刃を飛ばして抜けないようにし、頭部にくっ付く。

暴れる攻撃を弾き、頭部を取り込み、体内からダメージを与えていく。

首から下だけでも暴れていたデーモンがようやく崩れ落ちる。


デーモンと武器を取り込んでスライムは止まった。


その身を分裂させて……




分裂した一体は下へ、もう一体は更に分裂しながら残り、残りの分裂した個体は上に進んだ。


上へ行った個体達は粘体の金属が鉄程度の戦力が低い存在だが数で補い、ダンジョンへと広がっていく。

その階層を制圧したスライムは上と下へ別れて進む。

上で増えたスライムは下で猛威を振るう。


デーモン達をも数で押し、更に数を増やしていく。

さしたる時間も掛からずにスライムだけのダンジョンと変わり果てた……最後のドラゴンを残して。



スライムは目の前のドラゴンに躊躇した。

そのエネルギー量、種としての格。

分裂した8割を回収し、ドラゴンへと進む。


最初の歓迎は口を開けてのブレスだが、その口へ一体のスライムを飛ばして口内で暴れさせる。呪いは効かないようだ。

ブレスで口内のスライムは消し飛ぶが本体は更に分裂して背中で鱗を剥がして肉を抉る。

ブレスさえ避ければ複数のスライムの方が有利だ、目玉をくり貫き四肢を削り体内へと潜り込む。

ドラゴンの魔石を取り込むと奥への扉が開いた。


スライムの表面は銀からドラゴンの赤へと変わっている。



奥には大きなコアが脈動している。

ドラゴンが比較にならないエネルギーを内包しており、スライムが欲した物がそこにあった。



しかし、スライムはダンジョンに産み出された存在、ダンジョンコアの敵対心は削がれ、近づくことさえ出来ない。



スライムは憤慨した、欲しくてたまらないそれが目の前にあるのに手を出せない。

そのためには力が足りない、あらゆる物を力に。



上層のスライム達はモンスターの肉も取り込み体とした。

ただのスライム体でも呪いの力は健在だ、金属体は中層から地上へと進む。

赤の個体はリポップするドラゴンを取り込み続ける。



▽▽▽



ダンジョン都市は終わりを迎えている。

ギルドマスターは最悪の状態を想定し、国へと緊急連絡を行った。どうやら軽く見ている感じだが軍を動かすことは出来た。


逃げ出す住民を誘導しているが荷物を持ち出す人が多過ぎて遅れている。


ダンジョン一階に特異スライムが出てから1日、いつ地上へ出てもおかしくない。


職員が走ってくる音がする。鐘が鳴り響く。

ドアが開き職員が報告する。

「スライム達が地上へ出ました」



ダンジョンはエネルギーを貯めてその身を大きくさせていく。

ある程度のサイズになるとモンスターを解き放つ。

と言っても生存競争とダンジョンの恩恵が無くなることで死に絶える事がほとんどだ。

これによってダンジョンの育つ土壌が生まれるという説が有力視されている。



近くに人が住んでいると最悪な状態になる。

モンスターより弱い人間は餌となりモンスターが生き残る。

生存して子孫を残すのだ。適応し増えるモンスターによって滅んだ国もある。



そしてこの都市にはまだ人が沢山いる。

見えるスライムはコアが黒いが普通のタイプ、粘体が肉のフレッシュタイプのようだ。

魔法で倒せてはいるが数が多く、接近を許して接触すると倒れてしまう。


被害が少ないのはスライムが移動を優先している為なのだが外に出たがっているのは何でだ?


倒れた者を助けていると報告がきた。

「門に集まっているだと!?」

まずいぞ、そんな知恵まで母体が持っているのか!

「全員に連絡!東門へ集合、全力で突破する!」


今なお増えていくスライムへと魔法を撃ち門へと走っていく。

粘液を飛ばしてくるスライムに走る人はどんどん減っていく。


爆弾を投げ込み爆発の衝撃の後に通りすぎる。

「抜けた!」


走り抜けた目の前に地面が見える。


その日、都市は数人の脱出者以外全滅した。




▽▽▽



現在中央広場はの惨状は酷いとしか言いようがない。

巨大なスライムの中には多数の脳が浮かび、白い人型のなにかが眠っている。

人型はコアの存在しないスライムである。

人間の生殖細胞とスライムから作り出された地上での代用品。


ヒトガタは軍が来る東へと向かう。

スライムは死体を巨大スライムへと集めていく。



軍との戦いは散発的であった。

スライムではなくヒトガタとの戦いだが近付かせなけれは問題無いのは同じだ。

死体の処理に時間が掛かるが、まとまって来る知能が無い分楽である。

事前情報では知能があると言っていたが偶然だろう、指示を出して軍を前進させる。

都市の前には明日着くだろう。5千の兵もあれば十分だ、昇進間違いない。



▽▽▽



都市では金属スライムが地上に出た。

そしてドラゴンを取り込んだ一体が巨大なスライムに吸収される。すると人型の表面に鱗と翼が生えていく。

ドラゴンのエネルギーによって、ドラゴニュートが産み出される。

500のドラゴニュートが金属スライムを持ち空へと上がっていく。

向かうは東の軍へ。



後方の魔導師部隊は混乱していた。

上空から落ちてきたスライムに貫かれ、ドラゴニュートに食われ。

前方の地中からヒトガタが現れ、魔法を撃ってくる。

中央は挟まれた型で動けない、追加で現れるドラゴニュートに軍は南北へと敗走した。



▽▽▽



ダンジョンではドラゴンを500回は取り込み地上へと送り出した。

産み出した者達は大地に呪いを撒き散らし世界中を弱体化させた。


勇者や地上のドラゴン達が対処に出たようだが既に手遅れ。

1倒してる間に10増えている状態だ。分裂だから全て本体とも言える。



呪いのお陰か、ドラゴンを倒し続けたからか、ダンジョンコアは目に見えて弱っている。



さぁ、もうすぐその祝福(呪い)を我が内に!

そして全ての者へ呪い(祝福)を!





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