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失われた未来の再建  作者: 水素
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元素変身召喚

「どう考えようともこの状況を説明するための理論が見つからない」

 (ひいな)はまたも唖然としていた。

 全身を硬い六角形の鱗が覆い、丸太のような太い足で立ち、手足には鋭い爪を有し、背中に灰色の翼と、黄色く発光する結晶が生え、尻尾は蛇のようにしなやかで細くそれが三本も生えている。目つきは先の尖った針のように鋭くその目からは青い炎を滾らせ、ホホジロザメの歯のような牙が並び、口からは青い火の粉を吹き出し、青い煙が出ている。また呼吸が苦しくなるような悪臭を周囲に漂わせる。

「悪魔だ」

 野次馬が咳をしながらも口々に叫び合う。

「審問官、これは」

「レンプが呼び寄せた悪魔に違いない。天の加護を受けながらまだ災いを人にもたらすとは悪の極み」

 髭の老人は怒りと悔しさが滲み出た声で言う。

「我々は悪魔を野放しにしておくわけにはいかない。それが天命だからだ。ゆえに武器を手に持ち戦うのだ。これは聖戦だ。決して光が醜汚(しゅうお)な闇に飲み込まれてはならない。光ある我らが天の加護をもってして迎え撃たなければならない」

 髭の老人の言葉に呼応し、野次馬たちは銃や剣を手に上げる。

「悪魔に天の慈愛を受けた我々の裁きを受けさせるのだ」

 悪魔と言われる怪物はゆっくりと近づき、人々を直視する。

「行くのだ」

 髭の老人の掛け声を合図に野次馬は怪物目掛けて切りかかる。

 しかし、怪物は尻尾で一瞬にして薙ぎ払い、青い炎を浴びせる。

 浴びた者は体が炎に包まれ、もがき苦しみ、うめき声を上げ、地面をのたうち回る。

 銃による攻撃を受けても怪物はかすり傷一つつかない。

 怪物は太い腕で家々を砕き、その瓦礫を人々に対して投げつける。

 瓦礫の雨に人々は叫びながら必死に逃げ、雛と彼女を拘束していた若者たちも恐怖にかられて、二人を置いて一目散に逃げ出した。

 匂いもひどくなり呼吸するのも苦しくなってきた。

 審問官と呼ばれていた髭の老人もその場から脇目も振らず逃げていた。

「一体全体何が?」

「とにかく早く逃げた方がいいでしょう」

 彼女が言う。

「そうした方がどう見ても良さそうですな」

 二人は家々の隙間の路地へと走り出す。

「怪物は一体?」

 雛は怪物の方を見ながら言う。

「私もわかりません。あのようなものは初めて見ました」

「みなさん初めて見たものを悪魔と解釈して納得したと。個人的にはその適応力に驚かされるところだが…」

 後ろを振り返る。

 青い炎が雨のように人里の建物に降り注ぎ、家々や倉庫を無差別に燃やし尽くす。

 忽ち辺りは火の海となり空は煙で覆われ、昼間にもかかわらず夜のように暗かった。

 人々の悲鳴が聞こえ、建物が倒壊する音、怪物の鳴き声、火の燃え滾る音で人里は包まれ、騒然とする。

 猛火に飲み込まれる人里の光景を見て雛は一瞬戦慄(せんりつ)を覚えた。

 二人は怪物がやってきた森の方に向かう。

 雛は一瞬振り返る。

 怪物の姿が木々の隙間からちらりと見えた。

 依然進行を続け、蛇の頭の尻尾からも青い炎を吐き出し、建物を破壊する。しかし唐突に怪物は進行を止めた。そして頭を左右に動かした後、上に向くと翼を広げ上空へと飛び立つ。

「私たちに近づいてきている!」

 二人は走って逃げる。

 しかし、怪物は二人の頭上を通過すると前方に大きな地響きを響かせて着地し、立ち塞がる。

 その時の衝撃と巻き起こる風に吹き飛ばされ、二人は木に体を打ちつける。

「なぜ急にこっちに来たんだ」

 雛は何とか顔を上げ怪物の姿を見る。

 目は先より増して激しく炎を上げ、輝きを増している。その不気味な青い光を放つ目はこの世の生物とは思えない。

「大丈夫ですか?」

 雛は声を張り上げるが彼女の返事がない。

「このままでは本当にまずい」

 すると突然、

 ポケットに入っていたカードが激しく発光した。

 怪物はカードの光で怯み、目を数回瞬きさせる。

 雛はその絶好の機会を逃さず、素早く起き上がり、彼女を抱きかかえると怪物から雛は死に物狂いで走って逃げる。

「またカードが発光するなんてどういうことだ?」

 怪物は形勢を立て直し、大きな足で向かってくる。

「このままだと追いつかれる」

 雛は咄嗟に右に曲がり、鬱蒼(うっそう)とした茂みに突っ込む。

 怪物もその後を追い、茂みへと足を踏み入れる。

 雛は怪物の視界に入らない場所に来たことを確認すると茂みから一目散に飛び出し、怪物を巻いた。

 怪物はどこに行ったのかわからなくなりしきりに顔を動かし探している。

「よし、これでいい」

「そうはいかない」

 背後から不意にキックを浴びせられ、雛は彼女と共に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

「誰だ?」

 雛は顔を上げる。彼女は依然意識は戻っていない。

「ここだ」

 全身に装甲をまとった人物が目の前に立っている。

 装甲は銀白色で光沢があり、全身に一本の黒いラインが入っている。胸の部分に正八面体が描かれ、肩には雲のような形の装甲をつけ、背中には六枚の金属の翼が付いている。

「召喚解除」

 その掛け声とともに装甲が消え、一人の若い女と黒猫が姿を現す。

 背は高く、黒く、足元の長いケープに身を包み、左腕に奇妙なカードケースのようなものがついたブレスレットをつけている。そのブレスレットの表面には雛の持っているカードの裏面と同じ魔法陣のようなものが描かれている。首には白い鳥のペンダントをかける。肌は白く、高い鼻、紫色の髪、小さく丸い耳。手は小さく、ほっそりとした体型である。

 肩にいる黒猫は、ずんぐりした体型で、白い首輪をはめ、鋭い牙を持ち、目は黄色に縁取られた大きな目をしている。顔は丸く、三角形の耳を小刻みに動かしている。眉を吊り上げ、その鋭い目で雛を凝視する。

「哲学者の資格者というのは勘違いだったようだ」

「そうらしいね」

 紫色の髪の女の発言に猫が頷く。

「数学者なら本当だよ。というより猫が喋ったような…」

「その兆候があったから呼び寄せたが無意味だったようだ」

「ちょっと待った、私をここに連れてきたのは君?」

「いや、ちょっと違う。君を連れてきたのは私ではなく私の協力者だ」

「何の目的で?」

「それは残念ながら計画の一部だから言えないね」

 黒猫が言う。

「しかし残念だけど哲学者でもないようじゃ君の存在は不要。ここでさよならだね」

 そう黒猫が告げ、紫色の髪の女が合図を出すと怪物が茂みから現れた。

「硫黄のドラゴン、やれ」

 怪物は口に青い炎を溜める。

「まずい、逃げないと」

 しかし、先ほど受けたキックのダメージが大きく、立ち上がることができない。

 結局死んでしまうのか、雛は思った。

 ふと、死の目前に雛は過去のことを思い出す。

 雛の記憶、目の前に広がった一人の女、彼女は頭を血に染めていた。

 彼女から貰った手紙。

 その手紙は雛に生きることを問いかけた。

 しかし、

「彼女の元に行くことになるな」

 そう呟き目を閉じた。

 怪物の口から青い炎が放たれた。

 炎が倒れている二人を包み込む。

 周囲の草木を同時に燃やし、赤い炎を上げたのち灰と化す。

 地面は黒い煤にまみれ、二人の痕跡が一切ないように見えた。

 しかし、

「何だ?」

 紫色の髪の女が戸惑う。

「あの壁は?」

 黒猫の視線の先には、光り輝く透明の壁がそびえ立ち、倒れている二人を守っていた。

「元素召喚?あいつか」

「そういうことだ」

 その者は地面に降り立つ。

「ミネルヴァ、なぜいる?」

「一体何が?」

 雛の先方には一匹のフクロウが立っている。

 茶色の毛に覆われた体。胸の辺りは白く、毛並みはとても清潭(せいたん)で嵩があり威厳と上品さを醸し出す。広げたままの大きな翼は幅が2メートル近くある。目は黒い瞳に黄色い縁が入りその目付きは針で貫くかのように先の尖った目だが、見方を変えればとても柔和で愛嬌がある。そして可憐(かれん)な小さい嘴、羽角のない丸い頭を持つ。またそのフクロウも紫色の髪の女と同じブレスレットを翼に取り付けていた。

「命の哲学者がいないお前が私ごときに立ち向かう気か」

「裏切った、希の哲学者である君だけには言われたくない」

 ミネルヴァは、雛の持っていたものとよく似た、別のカードを取り出し、装填する。

「元素召喚

 窒素」

 ブレスレットが白く輝き、白色の冷却光線が放たれる。

 すかさず怪物が炎で応戦する。

「君にはもうアルケラはいない、ミネルヴァもあの時死んだほうがよかったのに」

 黒猫が軽い口調で見下すような視線を放つ。

「命の哲学者のことを言うな」

 ミネルヴァは語気を強める。

 すると冷却光線は怪物の炎を押し返し、口に命中する。

 そして一瞬にして怪物は白く凍りつき、口を開けたまま動きを止める。

「化合召喚

 アンチモン

 鉛」

 ネイルがそう唱えると、前方に夥しい数の銃弾が出現し、ミネルヴァへと放たれる。

「元素召喚

 炭素」

 ミネルヴァは先ほどの透明の壁を形成すると銃弾を全て弾き返す。

「しかしやはりミネルヴァ、甘い」

 黒猫がすかさずミネルヴァの背後に回り、爪で引っ掻く。

 羽毛が辺りに舞い、吹き飛ばされる。

「甘いんだよ。あの時もそうだ。そして今回もそうだ。毎回のように君は甘い。相棒としては、頭以外君は優秀でもなんでもない。だから命の哲学者アルケラは死んだ」

 黒猫が一歩ずつミネルヴァに近づきながら言う。

「希の哲学者と相棒である君が殺したんだろうが。僕たちを裏切って」

「こちらにも事情がある。」

 希の哲学者が毅然とした態度で言い放つ。

 

「このまま逃げたいところだが」

 雛はその光景に驚きを隠せないでいる。

「何か唱えて使っていたカードはどう見ても私が今持っているカードと同じ類のものだよな。それに今の状態では彼女を連れて逃げることなどできるわけがない。ただ、まだ生きることを諦めなくてもよさそうだ。少し考えを実行してみるか」

 雛は生まれたばかりのキリンのように懸命に力を振り絞って立ち上がる。

「ここにいるよくわからない生物諸君。私はここに一枚のカードがある」

 そう告げると一人と二匹が雛の方を向く。コートのポケットからカードを取り出し、掲げる。

「なぜ水素のカードを持っている?」

 ミネルヴァが驚きを露わにする。

「もしこれが欲しければここで戦闘を終え、私と今意識を失っている彼女を見過ごしていただきたい。もしそれが守られない場合、このカードを破棄する」

 雛は両手でカードを掴み、裂く動作をする。

 カードは負荷をかけられ、ねじれ切れそうになる。

 雛はうまくいくことを期待したが、

「その水素のカードを君が破棄できると。哲学者にしか不可能だ」

 希の哲学者は無表情のままそう告げると

「化合召喚

 アンチモン

 鉛」

 再び、銃弾が現れる。

「やれ」

 その時、手に持っていたカードが眩いばかりの輝きを放ち、全ての銃弾を弾き返す。

「これで3度目!」

「何だ?」

 傷ついたミネルヴァは顔を上げ、その光景に息を飲む。

 そしてミネルヴァの持っていたブレスレットも発光し、彼の翼から外れる。そのまま空中を浮遊し、雛の右手に装着された。

 ブレスレットのカバーが開き三枚のカードが出現すると雛の手に落ちる。

「水素、炭素、窒素、酸素のカードが。やはりあいつが」

 希の哲学者は目を大きく見開く。

「そこのわけのわからん小僧、そのまま四枚のカードをブレスレットに装填して元素変身召喚と唱えろ」

「年齢はいっているけど私のことだよね」

「お前しかいないだろ、早くやれ」

 雛は傷ついたミネルヴァに言われ、その通りにする。

 四枚のカードを装填し、

「元素変身召喚」

 そう言い、頭上に右手を翳した。

「エレメンタリー アライブ 

 承認」

 ブレスレットから音声が流れると雛の体全体が光に包まれる。

 右腕から、白い粒子が放出され全身を包み込む。

「承認実行」

 音声が流れ、全身から光が消えた。

 雛は目を開ける。

 ふと体の痛みが消え、体が軽くなったように感じる。

「今何が…」

 雛は自身の姿に言葉が出なくなる。

 全身が、植物のような文様が彫られた黄銅色の装甲に包まれ、四肢の装甲の部分に赤いラインが一本入っており、手首の部分には、球が一つ付いた、白く輝くリングがはめられていた。胸の部分には立方体が描かれ、背中にはロケットのブースターのようなものが二基装備されている。腰のマントが風に揺れている。

 頭部のマスクにはV字型の装飾が二つ角度を違えて備わり、頭の側面には羽角のようなものが付いている。

「読みはあっていた」

「あいつが命の哲学者?」

 ミネルヴァは眼前の光景に驚きとともにある種の希望を見出していた。

「一応それ相応の能力があるかどうか確かめさしてもらうよ」

 希の哲学者は指を鳴らすと怪物を覆っていた氷が粉々に砕け、怪物が活動を再開する。

「硫黄のドラゴン、命の哲学者を攻撃しろ」

 掛け声とともに怪物は雄叫びをあげ、変身した雛に襲いかかる。

「一体どうすれば」

「そのまま手で食い止めろ」

「そう言われましても…」

 雛は戸惑うことばかりで何も動けない。

 ミネルヴァは即座に上空へと飛び立ち、雛へと急降下する。そしてブレスレットに飛び込むと、ミネルヴァの体は粒子状になり吸い込まれた。

「量子論がマクロの世界に現れたかのようだ」

「ぼぉーとしてないで硫黄の化け物を食い止めろ」

「ブレスレットから別の音声が聞こえるのだが」

「見てなかったのか?ミネルヴァと散々呼ばれてた奴だ」

「ありえないことばかり…」

「いいから、目前に迫る奴を食い止めろ」

 怪物は地面を揺らし、接近する。

「えい、頭がパニック状態だが当たって砕けろぉー」

 雛は左手を突き出す。

 森全体に衝撃が走る。

 周囲に枯葉が吹き飛び、大地がくぼむ。

「怪物の進行が止まった」

「そのまま上空へ投げ飛ばせ」

 雛は怪物を掴むと上へと振り上げた。

 怪物はピンポン球のように宙に浮き、凄まじい音を立てて落下した。

「馬力が半端ない」

「君はアライブとの相性がいいようだ」

 油断している隙に怪物は立ち上がり、青い炎を浴びせる。

 雛は直に受ける。

「熱い、このままではまずいぞ」

「窒素を使え。元素召喚 窒素と唱えろ」

「なるほどとは全く言えないが…

 元素召喚

 窒素」

 ブレスレットから白色の冷却光線が放出される。怪物は翼で払いのけ、距離をとると尻尾攻撃を繰り出す。雛はそれを左手で受け止め、その隙に一発、キックを打ち込む。

 怪物は呻き声をあげるが、翼を羽ばたかせ、叩きつけようと応戦する。

 雛は尻尾を離して、接近する翼を両手で掴むとそのまま上空へと再び振り上げる。

 怪物は上空で体勢を立て直し、雛に向かって急降下する。

「そのまま飛び立て」

 雛は軽く飛び上がると背中のブースターから燃料が噴出し、空へと飛び上がる。

 怪物の頭を両手で押さえて食い止め、そのまま投げ飛ばす。

 投げ飛ばされた勢いを利用して怪物は上空でターンすると口から再び青い炎を浴びせながら突進する。

 雛は左側面に回避し、目の前を怪物が通過した時に右手でチョップを浴びせる。

 怪物は躱せずに再び地面に叩きつけられた。

「化合召喚 水素 酸素 と唱えろ」

 雛は頷き、

「化合召喚

 水素

 酸素」

 右腕全体が青白く発光し始める。

「硫黄の化け物目掛けて放て」

「このままいけぇー」

 怪物に照準を合わせると、右腕から、空気を切り裂く音を響かせながら超高温化した水流が放たれる。

 動けずにいる怪物の頭部に直撃する。

 水流に耐えきれずもがき苦しみ始める。

 喉元は青白く輝き始め、目からは青い不気味な光の輝きが消える。

 水流が止まる。

 怪物は力尽きて地面に倒れ伏す。

 それと同時に体は青白く発光し、粒子となって消滅した。

 雛は地上に降り立つ。

「終わった」

 雛は一息、入れた。

「初めてにしては上出来だ」

「やはりお前が命の哲学者だったか」

「そうだね」

 木の陰に隠れて見ていた希の哲学者と黒猫が姿を現す。

「希の哲学者、何を考えている」

 ミネルヴァが殺気に満ちた声で問う。

「それは僕らだけの秘密だよ」

 黒猫がそう告げると、森の暗闇の中に二人は消えた。

「消えたか」

「ところでこれ元に戻るの?」

「召喚解除と唱えろ」

「召喚解除」

 すると装甲は一瞬のうちに粒子となって消え、元の人間の姿に戻った。

 ブレスレットから粒子が放出されると、粒子はミネルヴァの姿へと実体化した。

「人間の姿のままでよかった」

 雛は疲れで(くずお)れる。

 ミネルヴァは怪物の倒れた地点にあった一枚のカードを拾う。

 表面には、中心に黄色い結晶が描かれ他のカードと同様に未知の文字が描かれている。

 ミネルヴァは拾ったカードをブレスレットに回収した。

「ところで君は何者だ?」

 倒れている雛に尋ねる。

「君の方こそ誰だと言いたくならないかね?」

「あの、ところで一体今までの光景は…」

 雛とミネルヴァは声のした方に顔を向ける。

 彼女は戦闘の最中に目を覚ましている。

 一連の出来事を目撃したようで蝋人形のように固まっている。

「私は成り行き上でこうなったと言わざるをえませんし、お答えできることがあれば良いんですけど…」

 言葉が途絶える。

 雛は急な疲労で眩暈(めまい)がし、意識を失った。


新しく登場した元素


 水素

 原子番号1

 元素記号 H

 発見者 ヘンリー・キャベンディッシュ

 由来 ギリシャ語の「水」と「生じる」

 性質 一番軽い元素。酸素と反応して水を作る。


 炭素

 原子番号6

 元素記号 C

 発見者 ジョゼフ・ブラック(諸説あり)

 由来 ラテン語の「炭」

 性質 有機物の骨格。5200万種もの化合物を形成する。


 窒素

 原子番号7

 元素記号 N

 発見者 ダニエル・ラザフォード

 由来 ギリシャ語の「硝石」と「生じる」

 性質 液体窒素に使われる。空気中の78%を占める。


 酸素

 原子番号8

 元素記号 O

 発見者 カール・シェーレ

     ジョゼフ・プリーストリー

 由来 ギリシャ語の「酸」と「生じる」

 性質 生物の呼吸に必要不可欠。空気中の21%を占める。


 アンチモン

 原子番号51

 元素記号 Sb

 発見者 不明

 由来 ギリシャ語で「孤独を嫌う」

 性質 アンチモンの化合物が防火剤に使われる。


 鉛 

 原子番号82

 元素記号 Pb

 発見者 不明

 由来 ラテン語の「鉛」

 性質 アンチモンと混ぜた合金は銃弾に使われる。


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