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梅田駅から
ここは平成二十八年九月の阪急梅田駅
眼鏡の彼女は八両編成の特急専用車に乗り込んでいる
職業はヒット作の多い女流小説家。
マルーン色の車両に乗り込み、河原町方面へと向かおうとしている
水のきれいな大阪と京都の府境にも住んだ経験があり、今住んでいるのは北摂のとある市である
発車を知らせる車内アナウンス。
ホームにもこの列車が出るアナウンスが流れている
ゆっくりとホームを離れる八両の列車
次の停車駅は十三駅である
宝塚線、神戸線と並んで走る大きな鉄橋
しかし、黒いアンサンブルニットに細身のパンツの彼女は熟睡している
相当疲れているのであった
数分後、列車は次なる停車駅である淡路駅へ
誰かが彼女を起こしている
「大道寺陽菜先生ですよね?」
清楚なセーラー服の女子高生は彼女 大道寺陽菜の作品の大ファンなのだと言う