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とある世界のとある国、その中でも一際小さく地図にすら乗らないどこかの村に、名も無き大きな森があるそうです。
そしてその森の奥深くに、一軒の古い店があり、そこに青年が一人で住んでいるそうな。彼は、道に迷い疲れ果てようやくここに辿り着いた旅人を暖かく迎え、そして彼らの話を聞きながら一緒にお茶を飲むんだそうです。旅人たちは皆、青年と同じ時間を過ごすうちに、満ち足りた気分で眠りにつき、そしてとても幸福な気持ちで帰ってゆくらしいのです。
けれども彼らが……――おっと、話の途中ですがまた一人迷い込んで来たようです。この続きは、彼女と一緒に知る事にしましょう…。
――いらっしゃいませ、名も無き森の喫茶店“トランシェント”へようこそ――




