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人生終わらせ屋、はじめました  作者: 秋桜
【第二章】依頼:猫探し
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犬猫は三日扶持すれば恩を忘れず――壱

一章完結にするために、新しく小説を書く感覚で書いてます。

 千崎は机に向かい、どうしたものかと悩んでいた。

 目の前には可愛くラッピングされたプレゼントの山が積み重なっている。デコレーションのハートの多さが異常であり、友人からの品ではないのが見て取れた。

「千崎くんも頂いたんですか」

 柚里が持っていた紙袋の中身を大雑把に机に出した。同様の物が千崎ほどではないが大量に出てきた。

「家庭科でお菓子作りがあるたびに困りますよね。頂くのは嬉しいのですが」

 千崎たちの高校の一年生のクラス、四クラス中の二クラスでは今日、ブラウニー作りの実習があり、千崎と柚里はそれを男女問わず多くの生徒からプレゼントされた。

 千崎にプレゼントした生徒は女子が過半数を占め、必然的に可愛いラッピングが多くなる。一方柚里にプレゼントした生徒は過半数を男子が占め、その山はさすがに質素なものが多かった。

 千崎は性別に特にこだわりはなく、楽で似合うだろうと思われる格好をしている。それがたまたま男子のような服装が多く、生まれ持っての中性的な外見が手伝い、女子でありながらあらゆる場面で男子の扱いを受けるようになった。特に自分に害はないので一々否定せずにいるのだが、こういう場合のみうんざりする。

 平素より黒い学ランを身に纏い、黒のショートカットに黒縁眼鏡、中性的で整った容姿が総合されて男子としては美少年に類され、同性に多大な人気を誇っている。女子と知られていながらも、このブラウニーの山である。

 一方で柚里は菫色の髪を肩で切りそろえ、紫水晶のような綺麗な瞳を持ち、加えて中性的かつ童顔であり、さらには雰囲気が柔らかいことが混ざりあって、きちんと男子の格好をしていながら女子のような扱いを受ける。彼にとっては不本意であり、そのたびに否定して回っていた。

 千崎と柚里はそういう意味では正反対の存在である。

 密が無言で部屋に入ってくると、持っていた二つの紙袋をひっくり返す。もはや見慣れた中身が勢い良く滑り出た。

「さすがですねぇ、密くん」

 柚里が感嘆の声を上げる。

 密のそれは千崎や柚里のそれとは比べて数が圧倒的に多かった。しかもそれらはすべて女子からのものである。

 密は銀色の髪に燃えるように赤い瞳を持ち、やはり整った顔立ちをしていた。その容姿の美しさは人間離れしていると評され、気味悪がる者も初めはいたが、今ではこの町でそれは少数派である。背が高く、寡黙で、しかし外見にそぐわず家事能力が高く世話焼きであるギャップが女子に大変萌えを与えている。

「何をしているんですか、和泉くん」

 柚里が少し開けた襖の隙間からこっそりこちらの様子を窺っている和泉に気付き、声をかける。

 呼ばれて渋々入ってきた彼の手にもやはり紙袋があった。しかし和泉は落ち込んだように覇気がない。

「……どうせ俺なんて」

 和泉はやけになって紙袋の中身をぶちまける。

 中からはやはりブラウニーが入ったプレゼントが転がり出てくるが、それは今度は明らかに数が少なかった。密は二十八個、千崎と柚里は共に十七個、和泉は十個だ。それでも一般的には多いのかもしれない。

 和泉は金色の髪をくしゃくしゃとかき乱し、虚ろになった黄緑色の瞳で密の山を見つめる。

 彼もまた人間離れした美しさを持っているといわれるが、金髪と無駄にお調子者の性格からただの不良に類される。ゆえに異性から敬遠されることが多い。

「しかもこれ」

 和泉は山とは別にもらったプレゼントを持っていた。それはすでに開けられている。

 ――毒入り。

 そう書かれた手紙を見て、千崎と柚里は一斉に吹き出した。

「日ごろの行いが悪いからです」

「せっかくもらったんだから、ちゃんと食べろよ?」

 和泉は小学生並みの悪戯を常日頃から行っている。先日も雨に見舞われた際に小学生の傘を平気で盗んできた。ゆえにこうして些細な仕返しを食らう。

 その日の夕飯は予定を変更してブラウニー祭りとなった。



「犬猫は三日扶持すれば恩を忘れず」

犬も猫も三日飼えば恩を忘れない、という意味。

犬は忘れないが猫は忘れる、という慣用句もありましたが、猫を飼っている身かつこの話としてはちょっと……笑


って依頼の話に入らなかったぁああああ。

どうにか前振りだけでも入れられないかと考えたんですが、これだけで1600字だったので、これ以上は長くて皆様飽きられるかなと……

暴露すると猫の話です。


ていうか男子もブラウニーをプレゼントするって……ある?笑

なくね?と思いながら書いてました←なら書くなよ。

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