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人生終わらせ屋、はじめました  作者: 秋桜
【第二章】依頼:猫探し
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犬猫は三日扶持すれば恩を忘れず――参

 柚里は辟易していた。

 時雨荘で暮らすことになってもうすぐ四ヶ月が経つが、意図的に二人二組に分かれて行動するのは初めてで、何故か当然のごとく和泉のお守りを任された。

 柚里は一番無難な千崎とペアを組みたかったが、当然のごとくそのポジションには密がつく。

 役割としてはきらりんの捜索。千崎たちは滝川から詳しく情報を得るために滝川農場へ向かっている。

「……和泉くん」

 柚里は目の前で自販機の下に手を伸ばす和泉を軽蔑の眼で見下した。

 人通りの少ない道だから幸いだが、それでも恥ずかしくて見るに堪えない。

「百円……」

 和泉は自販機の下を見るのが好きだ。結構な確率で硬貨が落ちているから。

 もちろん彼も人並みに人目を気にするため、人気の多いところではしないが、ここは人通りの少ない道。見つけたら拾わない手はない。

 やはり言い争いになってでも、千崎とペアを組んでおけばよかった。

 柚里は目の前で必要以上に鬱陶しく輝く金髪の頭を殴りたい思いに駆られながら、ため息を吐いた。




〈その猫なら、昨日この辺で見かけたわよ。どこへ行ったかは知らないけど……綺麗な金色の目だったから覚えているわ〉

 柚里の口はそういうと続いて尋ねた。

「様子はどんな感じでしたか? 普通に散歩しているような?」

 猫の様子など人間が一目で分かるわけないのだが。

〈そうね、何かを探すようにうろうろしてたかしら〉

 探す。何をだろうか。

 柚里の中で不敵な笑い声が響く。憑依した女性が笑っているのだ。

「ご協力ありがとうございました」

 柚里はそう言った途端、激しい悪寒に見舞われた。と同時にやっぱりと辟易した表情を見せた。

 中にいる女性は一向に柚里から出ようとせず、柚里の意識を支配しようと霊気を高めた。気おされそうになるがそこは慣れで押し戻す。柚里も伊達に十六年近く憑依能力者をやっているわけではない。

 しかし追い出すのは難しかった。

 女性が柚里の中でみるみると悪い気を放つのが分かった。

 ――悪霊化。

 憑依させる前からその気はあったが、手がかりを知っていそうなのでそれを承知で憑依を許した。

 ここまで急激に悪霊化が進むとは考えなかったのだ。

 柚里は徐々に四肢の支配権を奪われつつあった。足を奪われては身体を奪われたも同じ。

 そのとき、突然あたりに拍手が高らかに響いた。

〈――ぎゃっ!〉

「うわっ――」

 柚里は突然自分を引き寄せていた力が失せ、そのまま前のめりに倒れる。それを和泉が左腕で支えた。

 見れば和泉が至極真面目な顔をして、柚里から引きずり出された女性の霊に向かって右手を突き出す形で印を結び、構えていた。

「ナウマク サマンダ バザラダン カン」

 普段は耳にすることがない和泉の落ち着き払った低い声に柚里は目を丸くする。

 和泉の呪文で女性の霊は苦しみながらその場から消えていった。

「……いつもそれぐらい真面目でいてくれると嬉しいんですが」

 柚里は和泉に支えられた状態で彼を見上げた。

「ばかやろー。俺はいつも大真面目だ」

「どこがですか」

 和泉の腕から離れると柚里は嫌味ったらしく笑う。

 彼が真言を唱え、悪鬼を退ける姿を見たのはこれで五回目だが、いまだ柚里はそのときの彼に慣れない。憑き物を払うというより、彼が憑かれているようにさえ見えた。




和泉さん祭り。

どうしました?って感じですよね、いろいろ。


和泉さんが何者なのかを語るべきか語らないべきか迷ってます。

一番迷うのは密くん。こいつが一番謎。

基本、登場人物たち謎ですね。家族構成とか謎。一応みんな設定はあるんですが……語らずに終わりそう。

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