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彼の心

彼視点です。

俺は、確かに妻になった遥さんの横で寝ていたはずだ。

それが、何故今、こんなわけのわからない外国人に囲まれているんだ?


≪ようこそ、勇者様≫


顎鬚の長い老人を先頭に、魔術師の格好をした人間と、王冠を頭にしている国王だろうか?

それと宰相っぽい胡散臭い爺がいる。


「俺は、ふつうの人間だ。ここは、どこだ?俺を元の世界へ返してくれ」

俺は訴えた。何度も。元の世界には、これから妻の遥さんと一緒に楽しい生活が待っているんだ。

どうして、こんな所にいなくちゃならないんだ。

俺は、帰る。絶対に。

元の世界へ戻れないということは、考えたくない。


≪勇者様。こちらの世界の魔王を貴方様が倒せば、我々は貴方を元の世界へ返します≫


もしもこの国の王や魔術師達が、実は返す方法がないと言うことを言うなら

俺はこの国を滅ぼしてやる。


とにかくこの国を救うことが前提で、達成しないと進めないらしい。

まるで他人事のように始めは聞いていたが、本気で考えることにした。


「それは、絶対に本当か?」

俺は自分自身で帰る力がないことで、必ず返すという言葉を信じ、この理不尽な約束を

受けることにした。俺に魔王が倒せるなんてありえない。だが、小説とかゲームでは、

なんとかなっている。

とにかく強くならなければと、とりあえず何も出来ないことを伝え、剣術や魔術を習うことになった。


異世界からこの世界へ来るというだけで、力があることがよくわかった。

この世界では、皆が驚くほどの力を使うものがいない。それは、一緒に鍛錬している兵士達を見ていて

つくづく思った。俺は、一振り剣を左右に動かすだけで風を起こせる。切れば、綺麗にスッパリ。

魔術も空を飛べたり、破壊することも可能だった。

何故これほど力が溢れているのか理解出来ない。

俺の住んでいた世界は、これほどはっきりと魔法、魔術を実際に使うものはいないのに。


城の騎士を始め、兵士達が日に日に尊敬の眼差しを向けてくる。

この世界での事を自分達で努力して解決しない国の人々。力のある者を召喚しないと保てないなら、

1度滅んで1から国作りを始めるべきじゃないだろうか?

元の世界の歴史もそうだ。王が何代も続けば、必ず腐敗し、その王の時代を終わらせることで、

また新しい王が立ち、新しい国が始まる。リセットしているのだと俺は思っている。

この国は建国当時は良かったが、王族貴族が威張り散らして、内部は既に腐敗している。

民の為には、王族、貴族を1度無くさなければ変わらないだろうな。だから本当は、

俺はここにいるべきじゃない。



俺は、俺と共に戦うという兵士や騎士達を集め、1年後に魔族の国へ行くことが決まった。

魔王という存在は、俺の世界で言うところの魔王(角があるとか、顔が怖いとか魔族も大柄で

獣人みたいなのか)と

同じなのかが気になる。

今いる国での話を聞くと、民が集う酒場では、それほど悪い評判は聞かない。

これが不思議だ。どちらかと言えば役人とか貴族への不満が大きい。

それでは、魔王がいると不都合な者というのは誰になるかだ。


王や貴族達は、魔王を倒して欲しいというから、魔王がいると都合が悪いのは

自分達の何等かが欠損するから?それとも収益が上がらないのか?

民の声の方が正しいのか、どちらなのかを確かめる必要がある。


俺個人の結論からすると、この国は1度滅んだ方がいい。

勇者を召喚し、魔王を倒すなんてことよりも

まずは、この腐った国を綺麗さっぱりと亡くして

新たにまともな王を選び、国造りをした方が民も幸せなんじゃないかな。


身分差は、リセットさせて覆してしまえばいい。






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