第11話 南の島サハラン
そして着いたのは巨大な船。
空飛ぶ船。
これぞファンタジー。
「それにしてもでっかいねー。あのドラゴンの何倍ぐらいあるかな・・・。」
「みゃむ・・・ドラゴンとは何の話しだい?・・・・・(てか迂闊にドラゴンの話を口にするな!!怪しまれるだろうが!!!)」
後半をヒソヒソとみゃむに伝える。
みゃむの楽観的な脳みそにも困ったモンである。
下手したら俺が犯罪者だとバラしかねん・・。
「別にリラックスしてもよいのじゃよ?この船に乗っておるものは全員私のシモベ。口封じは既に済んでおる。情報がバレたら消せばよい。」
・・・・・住む世界が違う。
「もしかしてこの姫様本当に私たちを匿ってくれんじゃないの?」
ベルが飽きれながら俺に言う。
・・・・・てかコイツを利用して俺国王なれんじゃないのだろうか・・?
なんか未来の嫁らしいし。
それって俺が国王ってことだろ?
・・・・・・・・・自分が現在犯罪者ということを忘れていた。
犯罪暦のある国王など聞いた事がない。
「それで?これからどこに行くんだ?」
「さすがにいきなり王都はまずいからの・・。ほとぼりが冷めるまで世界一周旅行でもしようではないか!!婚前旅行というやつじゃ!!」
あれ?
結局ほとぼりが冷めるまで世界を回るのか?
確かに国の出入りは簡単になったけどさ・・・・
「旅行いいね~!!!ボク、にゃおら島から出た事ないから色々見て回りたかったんだよね。」
「私もそれでいいわよ。そうね・・出来ればテレビが無いような田舎の南の島とか理想的よね。」
二人が賛同するとなると反対するだけ無駄である。
基本なんの役にも立たない俺の意志などこのパーティーには無いに等しい。
「よし・・じゃあ南の島サハランに出発じゃ~!!」
あれ?
また島に行く訳か?
せっかく脱出できたのに・・・。
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あちぃ・・・・・。
誰だよ・・・
南の島に行きたいとか言い出した奴・・・。
確かにテレビないから街に出ても特に騒がれないけれども・・・。
「暑いわね・・・なんでこんな所に来たのよ!!!」
南の島に行こうと言った張本人がなにか言っている・・・。
「ボク暑いの苦手なんだけど・・・。」
「ライト・・・早く涼しい所まで連れて行ってたもぉ・・・」
因みに現在俺はカサリナをおぶっている。
俺、最近よく人をおぶってるどさ・・身体は10歳なんですけど・・・
とにかく暑さ倍増である。
「取り敢えず宿を探すぞ・・・。それか涼しい店だ・・。早く探せ・・・。」
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到着したのは宿屋『エビサソリ』
ネーミングセンスがナタス並みに壊滅状態の店だ。
店の作りはレンガだろうか?
どういった魔法か分からないが店内はひんやりとして気持ちよかった。
「今日取り敢えず一泊。人数は・・・男一人。女二人。妖精一人。」
「外は暑かったでしょ。お疲れ様です。・・・・守護精霊ですか?珍しいですね。お代ですがそうですね~・・・・・一人銀貨15枚です。」
「高いわよ!!!なんでこんなド田舎の宿屋一泊対すんのに一人銀貨15枚も払わなきゃいけないのよ!!!」
その珍しい守護精霊がいちゃもんをつける。
だが実際、割高なのは否定できなかった。
「それじゃあお引取り下さい。外は暑いので日射病にはお気をつけて。」
このババァ・・・足元見やがって・・・。
「ベル・・・もうここでいいだろう。俺は外にでてまた歩くのなんて嫌だぞ。」
「ボクももぅ嫌だ~・・・。」
寒さに強く暑さに弱い獣人には辛い地域かもしれない。
因みにカサリナは俺の背中で現在爆睡している。
「・・・・・ちっ」
舌打ちをかます精霊。
最低な客である。
だが待てよ・・・。
俺達ってお金持っているのか?
基本的な問題に今更気付く。
しかし今更他の部屋を探すのは億劫である。
なによりもう外に出たくはない。
まぁ~財布が居るし大丈夫だろう。