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小さな紙切れ

作者: 孤独


子供の頃母親に一枚の紙切れを渡された。


「なにこれー」


「開いてごらん」


紙切れを開くとそこには、


《きんぎょがあやしい》


とあった。


「きんぎょがあやしい?」

「そう、金魚の所に行ってみな」


そう言われ訳もわからず金魚のいるリビングに行く。

金魚をよく観察するが、これといって変わった様子も無い。


続いて周りを見る。


すると


白い紙切れ


が、金魚鉢の下に挟まっていた。金魚鉢をどけてその紙を手に取って開いて見た。


《トイレがあやしい》


トイレか、行ってみよう。

そしてトイレのドアを開ける。

中は一般的な洋式トイレがあるだけだった。しかし、先程のこともあるので入念に辺りを探索する。


すると


「あった!」


トイレットペーパーとそれを支えるホルダーの間に紙切れを見つけた。


《くまがあやしい》


ここで何と無く意味が分かってきた気がした。

そう、紙切れのヒントを便りに次の紙切れを探す。小さな子供でもすぐに馴染める遊びだ。


意味を理解した途端、とてもワクワクしてきた。


(ぜったいぜんぶみつけてやる!)


そう決心するほどだった。




熊と言えば、昨年買ってきた大きな熊の標本がある。というか、熊はそれしかない。

そう思いながら熊の置いてある部屋へと向かう。




案の定熊の口の中に紙切れが挟まっていた。


口の中ということだけあって少し怖かったが勇気を出して紙切れをとる。


この熊の標本、高かったといっていたが、どれだけの金額で手に入れたのだろうか・・・。


どうでもいいことか。



紙切れには


《れいぞうこがあやしい》

とあった。


そして冷蔵庫へと向かう、

台所には晩御飯を作っている母がいた、こちらを見てニッコリと笑ってくれた。

冷蔵庫は見た瞬間に分かった。磁石で白い紙切れが挟んであったのだ。それをとって開くと


《くつがあやしい》


とあった。


(次は靴かー)


そう思いながら玄関へ向かう。そこには、母の靴と自分の靴と、下駄箱があった。靴を探したが紙切れは見つからない、下駄箱にもなかった、靴の底も見たが、なかった。


「おかしいなー、くつってここだよね・・・あ!」


台所に裏口があり、そこに靴があったはずだ。


そう思い裏口に走る。


「あった!」


靴の中に紙切れはあった。




この時は見つけたという達成感が大きかった。




そこには


《あいことばは


みーつけた だよ》

とあった。






(みーつけた?)






意味が分からなかったがとりあえず母の元へ行く。






「おかあさん、みーつけたってなにー?」


「全部見つけたんだね、はい、ご褒美だよ」






そう言って一つのキャンディーをくれた。


「ありがとう!」



そう言って晩御飯前ではあるが飴玉を口へ放り込んでみた。










この時の飴はいつもの飴よりとても甘かった







そんな気がした










小さな紙切れはきっとあなたに幸運をもたらしてくれるでしょう。

小さい頃の思い出を小さな範囲で書いてみました。これはとてもワクワクしましたよ(^^

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。 この遊びはしたことがありませんでしたが、聞いたことはありました。ので、わくわくしながら最後まで読むことができました。作品中の人物だけでなく、読者自身もその遊びに参加…
[一言] 読んでいる方も次は何て書いてあるのかな? と期待しながら読めました。最後がちょっと普通すぎて、もう一ひねりあれば面白かったと思います。 これと似たようなので、学校で借りた本に「次○ページを見…
[一言] ほのぼのしていて良かったと思います。私はやったことがありませんが、楽しそうと思いました(精神年齢が低いのかな(笑)
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