魔法少女に会っちゃった話し
普段と変わらない日々。
俺、新川夢。黒目黒髪。やや筋肉質。身長普通。趣味、映画鑑賞。
そんな俺は高校2年になってからも変わらない日々を過ごしていた。
変わらないと言っても、夏休み前の初芝高校損壊事件は今年のちょっとしたニュースだ。
あとは、8・17事件。この俺も、避難所に避難したし、そこでちょっと騒がしかったりはした。
でも、親族、友人、関係者に被害者はいない。
というか、そもそも俺は他県から来た一人暮らしの学生だ。
世間では騒ぎになってはいるが、特に自分の家では大きな影響は出ていない。
――それにしても、今日は疲れたな。
俺の通う公立高校、古宇坂南高校の帰り道。
帰宅部の俺が早めに学校を出たあとに立ち寄った古本屋。
ついついそこで立ち読みしてたら読みふけってしまって、現在はスーパーの帰り道。
自炊程度はできるため、エコバックの中身は基本、食材。あとは、本が数冊入っている。
あー、疲れた。立ちっぱなしで本読むって疲れるんだよな。
まあ、面白そうな本は見つけて購入したし、悪いことじゃなかったけどね。
そう言いながら着いたアパート。
別にボロいわけでもなく。かと言って豪華なところでもない。
言ってしまえば、普通。特に特徴というべき特徴のないアパート。
そこの二階。201号室が俺の部屋。
「ただいま。」
誰がいるわけでもないが、これは言っておく。
人である以上、挨拶は大切だ。
そういう細かいことには、気を配るべきだと思う。
時刻は、7:13。
そろそろ、夕食の支度をしないとメシが遅くなってしまう。
別に、今日は宿題はないからそこまで急ぐことじゃないけど、疲れたから早く寝たい。
「アレ?」
ふと気づいた。
しまった、レンタルDVD返すの今日だった。
やべぇ、延滞料金とられたくねぇ。
っと、ご飯だけ炊いといて、とっとと返しに行きますか。
レンタルショップの帰り道
ふー、危ない危ない。今日忘れなくてほんとによかった。
余計なお金とられたくないからな。
まあ、ご飯の後にひとっパシリしても良かったんだけど。
どうせ閉店後にも返却ボックスってのはあるんだし。
まあ、メシの時間は遅れたけどな。
今日は簡単な丼物にでもしとこうかな。
ヒュウウゥゥゥゥゥゥ。
何丼にしようかな。豚バラ肉とキムチがあったから豚キムチ丼にでもするかな。ご飯の上に、レタス敷いて。おお、すごく美味しそうだ。
ウウウゥゥゥゥ。
ん、風の音?いや、風を斬る音うおうおうおうおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!?
ザッ。
ナイス着地。ってちがーう。なにこれ、空から女の子。
……親方ー。空から女の子がー。って、それはさっき返したDVD。
と、現実逃避の前に。
なぜ無事?あんなスピードで地面に着地して痛そうにもしてないし。
その女の子。見た目は……うん、少女。自分と大差ないか年下くらい。
紫のストレートヘアーの先端をゴムで縛っている髪型。背は自分より少し小さい。
服装は、……普通。
強いて言うならすごく疲れてそうで、ところどころにちょっとした傷があるくらい?
うん、普通だ。
……なのに。なんでダブルセイバーなんて持ってんの?
両端の刃は、サーベル状。
それぞれの逆向きに刃が向いてるから、回転したら連続切りができそうだな。
……って普通に銃刀法違反です、はい.
えっと。
銃砲刀剣類所持等取締法
法令に基づき職務のため所持する場合などを除き、原則として銃砲・刀剣類の所持は禁じられる。
定義
「銃砲」とは、拳銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮ガスを使用するものを含む。)をいう。
「刀剣類」とは、刃渡り15cm以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5cm以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り5.5cm以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であってみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で1cmの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して60度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。
(wikipediaより引用)
うん。完全に15cm以上だ。違反、違反。
しっかし、結構カワイイ顔してるな。ちょっとあどけないけど、それはむしろ合ってる。
あっ、こっちに気づいた。
「一般人!?っく、『人よけ』の範囲外まで出ちゃったのか。」
HI・TO・YO・KE?なんだそりゃ?
あっ。もう一人飛んできた。
ガッ。
「一般人か。ハン!逃げてたらわざわざ張った『人よけ』も、意味ねぇな。まあ、オレにとっちゃどっちでもいいが……。」
また、人が降ってきたよ。今度は女の子じゃないけど。見た目二十代前半ってとこか?
うん、こっちは服装がおかしい。こんな現代日本でローブを普段着に使う奴は俺の知る限り居ない。
こっちの奴は別に武器っぽいものは持ってないけど。でも、危険な香りがする。
「下手に“こっち”に干渉するもんじゃないわよ!」
「どうでもいい。どうせこっちには盛大に干渉してんだ。それに、一般人の一人や二人、消えたって何の問題もないだろ?」
あれ、一般人ってオレ?抹殺リストに載っちゃった?
「アンタ!わかってて言ってるの!?」
「ああ、そうだ。ドメリカだろうとロジーナだろうと日本だろうと同じことだ。サヴィエトじゃない奴らなんて死んいいからな。」
ドメリカ、ロジーナという国に覚えはない。ついでにサヴィエトもだ。
ただ、一つ解った。……こいつは放置したら危険だ。
「嫌だってんなら……守ってみればいいだろ?」
ピッ。俺に投げ込んできたのはトランプ状のカード。
表も裏も、何も書かれていない白紙のカード。
回転しながら俺に向かってくるそのカードが……。
爆発した。
ドッゴオオオオオオォォォォォォン。
モクモクと立ちのぼる黒煙。助ける暇さえなかった少女は、呆然としていた。
「なんだ?守らなかったのか?お前の言うことは口だけか?それとも、まさか無関係な一般人を直接狙うとは思わなかったか?」
「この外道ぉ!!」
「何とでも言え。貧弱で逃げることが精一杯のアルファ隊は、たった1人の一般人でさえも守れない……無能集団だってことは変わらないんだよ。」
「アンタは……絶対許さない!!」
「許さなきゃどうする?捕まえるか?倒すか?それとも、殺すか?どうぞ、どれでもやってみなよ。出来るもんならな。」
「オオオオオォォォォォ。」
「……バカめ。」
ドムッ。
鈍い音がし、少女の特攻はむなしく終わった。
男の拳が少女の鳩尾へと突き刺さっている。
――その張本人は、白紙のカードをくわえていた。
「カッ、ハッ。」
「安い挑発に乗るなんて、アルファ隊は無能なだけじゃなくて……バカなんだな。たかが、一般人が一人殺されただけで激昂して。……まあ、お前が会いに行けばいいんじゃねぇの?」
手伝ってやるよ。
その声を、少女が聞こえたかはわからない。
それどころの状態ではなかったし。
――それを聞く前に投げられたのかもしれないし。
ブウウゥゥゥン。
少女は黒煙に投げ込まれる。
その速さは異常。およそ、常人に出せるものではない。
男は予想していた。その黒煙から二つの肉塊が潰れる音が聞こえると。
だが、聞こえた音は違うものだった。
バシィィィィィィン。
「あ?」
聞こえた音は、皮膚と皮膚がぶつかる音。布越しだが、その音はハッキリしていた。
ザザァァァァァァァ。
次に聞こえたのは地面が何かと擦れる音。
音からして擦れているのは、靴と地面。
投げ込まれた風圧か。それとも爆発に付加していた煙幕の時間切れか。
黒煙が晴れ、そこにいたのは―――――少女を受け止めていた夢だった。
「あれ?なんで生きてんだ?今のは一般人が受け止められる勢いでもないし、テメェはさっきの爆発で殺したはずなんだけどなぁ。」
男が言う二つの疑問。
その疑問に、今、最もこの少年に近い少女が考察した。
(今、受け止めると同時に、体ごと引いて威力を殺した……。それに、この服の傷。多分、爆発する前に咄嗟に後ろに跳んで、爆発をよけたんだ。無傷じゃないけど……生きてる。)
「大丈夫か?」
「えっ?……ええ。うん、大丈夫よ。」
ちゃんと声はかけておく。意識もあるし、多分立てるだろう。
ってか、あっぶねえぇぇぇ。体中じんじん痛いし、やけどもあるし、髪も焦げてる。
でもさ、生きてて良かった。うん、二人とも。
パチ、パチ、パチ
「感動の再会おめでとう。いやー、すごいことするね一般人君。」
「………………。」
男の言葉を無視し、スッ、と抱きかかえたままの少女を立たせる。
ちゃんと立てるようだし、大丈夫かな?
……無茶は、してるみたいだけど。
「それにしても、オレの爆発を躱すとは、なかなかの身のこなしだったよ。でも、君は死線を見てきてないみたいだね、殺気でわかる。まあ、君が起こした奇跡も、すぐさま悲劇に変わるんだけどね。」
そう言って戦闘体制をとった男。殺す気満々。
でも、俺は無言を貫く。
「………………。」
俺は今、すげぇ腹が立ってる。
正直訳わかんない。
ただ、レンタルショップの帰り道に巻き込まれただけで。
明らかな武器を持った女の子は傷だらけだし、あの男のカードの仕組みや原理なんてさっぱりだ。
でも、こいつは許せない。
別に命懸けの戦闘経験があって、こいつに勝てるなんて計算してないし。
この女の子と知り合いでもない。ただの初対面だし、助ける理由はない。
あの犯罪者をに見逃しても罪にはならないし、警察に任せるのが普通だ。
でもさ。
俺はあの男に勝ちたい、って思っている。
初対面の女の子を見捨てる理由はないし。
こんな危険な奴を野放しにもしたくない。
だから、俺は奴に挑む。
人生のどこかで、映画みたいなヒーロになれるところがあるなら、今がいい。
誰にも負けない主人公に。
誰かを助けるヒーローに。
悪人を懲らしめる正義に。
なれるんだったら、今がいい。
少女(リリー=アトウォーター) side
この男の人は何なんだろう?
通りかかっただけの、この世界の学生。
制服のカッターシャツのまま。この男は構えていた。
って。
「アンタ!戦う気なの!?無茶よ!一般人がサヴィエトの魔法使いになんて勝てっこない!」
無理だ。確かにこのヒトの身のこなしはすごい。たぶん格闘技を習得しているのだろう。それも上位に行くぐらい。
でも、それだけじゃ、サヴィエトの魔法使いには勝てない。
いくら肉体差があっても、魔法がそれを簡単に埋めてしまう。
何の力も持たない一般人が、魔法使いと戦うなんて馬鹿げてる。
なのに、なんでこのヒトは立ち向かえるの。
不思議な力を使うことも、わかっているはずなのに。
「ふっ!」
前に……出るの?
夢 side
とにかく、前に出る。
あいつは何かは知らんが、遠距離攻撃ができる。
リーチがあるやつに、遠距離戦は危険だ。
まずは、やつの懐へ入る。
「なかなか速ぇな。」
奴はまた、カードを取りだす。
今度はなんだ?また爆発?それともくわえる?
……くわえたか。来るなら来い!
「肉体強化すればたいしたことないがな。」
フッ。消え!?違うっ。
こいつ、俺の懐に入ってきやがった。
「破っ!」
首筋に突きか!?危険なことしやがる!
「っ!!」
よし、避けた。あいつ、驚いてるな。
だが、正直ギリギリだ。
『肉体強化』って言ってたか……。
こいつとんでもねぇ。あの爆発といい、複数の“チカラ”を持ってるらしいな。
でも、こいつが『人間』であることに変わりはねぇ!
「覇あぁぁ!!」
攻撃の直後は隙ができる。こいつも突きの直後でワキが空く。
フックは素早く撃てない。なら、基本に忠実に、突きだ。
ガッ。
受けられた……。甘かった?いや、こいつの反応速度がおかしい。
あっ、こいつ距離をとった。
まあ当然か。せっかくの遠距離を無駄にはしたくないだろうしな。
「プッ。」
「ポイ捨ては感心しないぜ。」
「ふん。日本が汚れようが、崩壊しようが、沈もうが知ったこっちゃねぇ。」
「そうかい。じゃあ、その日本人に倒されな。」
「なめんじゃねぇぞ。……一般人の糞餓鬼が……。」
バラバラララ、とカードをばら撒く。
今度はなんだ?まさか、爆発!?だとしたら冗談じゃない。
さっきの爆発が周りの家を巻き込んだら下手しなくても死者が出るぞ!!
「はあああああぁぁぁぁぁ!」
っ!?あの女の子。すげぇ、ダブルセイバーの回転切りで全部切ったぞ。
しかも、切ったのは刃だけじゃない。なんか、太刀筋が分裂してた。
細かい連続切り。やっぱこの娘も何か“チカラ”を使ってるのか……。
「……やっぱり。あんたのカードは、壊されたら効力を失うようね。」
「それがどうかしたか?こんな切りやすい的を切っただけで図に乗るなよ。この弱点の代わりに、有り余るほどの効力があるんだ、よっ!!」
カードをかざす男。そのカードが光ったと思ったら、
――――強力な火炎放射が、二人へ向かった。
「えっ、ちょっと!ああ!」
女の子が騒ぐ。まあ、急に後ろに引っぱられたんじゃ、しょうがないか。
とにかく今は猛ダッシュ。
火ってのは、普通、横に向かって放射できるもんじゃない。
熱いものは上に行く性質があるからな。
距離を大きく取れば、爆風でなきゃあまり飛ばん。
っと。火が止んだか。何か奴も仕掛けそうだし。
じゃあ、…………とばすぜ。
男(ルギィ=アルセラー) side
あの一般人野郎、速ぇな。
オレの火炎放射から、あのアルファ隊を掴んだまま逃げ勝つとは驚いた。
だが、失策だったな。近接戦闘しかないのに、さらに距離をとってどうするんだ?馬鹿餓鬼。
この次の、電撃で終いだ。
速かろうと、頭がキレようと、人間に電撃は効果抜群ってな!!
「焼けちまえ!!ココらへんの日本人ごとなぁ!!」
後は、このカードを地面にぶちかませばお仕舞いだ。
アンコールは受け付けません、ってか!!
ヒュッ!!
「はっ?」
カードが、無い!?
今!確かに!この手にあった電撃のカードが無い!?
まさか、盗られた!?有り得ない!あんな遠距離で盗れるわけ……。
!?あのヤロウっ!どこにいやがる!?さっきまであそこにいたはずだ!!
「っ!当たるかよ!!」
ブンッ。
危ねぇ。コイツ、“後ろから”攻撃しやがった。
しかも、KO確実の上段回し蹴り。
分かっちゃいたが、この餓鬼、『空手家』か。
おそらく、上位有段者。
身のこなしで、そうじゃないかと思ったが、今の蹴りじゃあ確実だな。
チッ。それに、まだこのガキには“何か”ある。
あのスピードは異常だ。およそ一般人に出せるものじゃない。
順当に考えりゃ、こいつは魔法使いか魔術師、あとは魔法衣服か。
あと超能力者。考えてみりゃ、オレに喧嘩売ったんだから、それなりの能力があって当然か。
そうなると、この残弾数じゃ心許ないな。
「ふんっ。今日のところは引いてやる。せいぜい余命を楽しみな。」
ここから引くには、このゲート&煙幕のカードで十分だな。
夢 side
ボフンッ。という擬音が聞こえそうな(多分、聞こえた)煙幕。
あの男、逃げたか。
まっ、女の子を助けたってのじゃ、ミッションコンプリートだけどさ。
余命、って言ってたし、次に襲いかかってくる気、満々ってか。
その時には………………どうすっかなぁ。
正直あいつ、めっちゃ怖えぇ!
「ふーぅ。」
「おい、ケガは……あるみたいだけど。体は大丈夫か?」
「問題ない……ことでもないの。疲労、裂傷、etc。異常だらけね。」
「そうか。じゃあ、病院……は行けねぇよな、ワケありっぽいし。あとは俺の家……って、どこ行く気だよ!?」
「私の家。そこに行けば、なんとかなる…………は……ず……。」
ふわりと、その華奢な体が倒れる。
バッ。っと、なんとかキャッチしたけど……。
ひでぇな。これだけ近くにいるから分かったけど、見た目以上に傷が多い。
とにかく、家に運ぶか。
アパート朝倉荘 201号室 夢の部屋
ふー。大屋さんに見つかったときにはどうなるかと思ったけど、さすがに納得してくれたようだ。
スポーツドリンク(お手製)に肉じゃが(手作り)、いちご(家庭菜園)まで貰っちゃったし。
感謝感謝だ、ホント。
ちなみに、あの女の子は今は俺のベットで熟睡中。
俺はまあ、大丈夫だ。布団はあるから寝るのには困らん。
しっかし、よく寝るなぁ。働き詰めか?まあ、戦闘疲れなんだろうな。
俺は途中参加だし、“練習”よりかは疲れてねぇしな。
…………イカン。思い出したくない!あの地獄だけは思い出したくない!!
チクショウ、あのクソ師範にクソ親父。この暗黒史、絶対忘れないからな!!
っと、危ねぇ。料理中に思い出すもんじゃねぇな。
今回は、豚キムチ丼はやめて、キムチ雑炊だ。
豚バラも入っているし、卵とだしが美味そうだ。
肉じゃがに、白菜のポン酢ツナおひたし。うん完璧。
「うー……ん。」
あっ。起きた。
「おはよう。ってかこんばんはだな。ちなみに今、9:15だ。」
「あ……、(熟考中)」
「(返答待ち)」
「……武器はどこ?」
「ああ、玄関に立て掛けてる。」
「そう……。」
「って、起き上がって大丈夫じゃないだろ!?しっかり寝とけって!」
「いい。早く、戻らないと……。」(ガクッ)
ボフンッ。
そのままベットに顔をうずめる。って、立ち上がりもできねえじゃんか。
こんな状態じゃあ、早く戻るどころか、外を歩くことだってできないぞ。
「ほら、大丈夫じゃないじゃんか。」
「でも、行かなくちゃ……。」
「落ち着けって!!!!」
「っ………………。」
「……アンタはまだ、歩ける状態じゃない。今無理に歩いて倒れたらそれこそ危険だ。……そこまでして、戻る必要があるのか?」
「………が………………よ。」
「へ?」
「アンタが、危険だからよ。」
「俺が?」
「そう。この状態じゃあ。いつあの男が来るかわからないの。今は、魔力を消してるからサ-チされないけど。でも、限界はある。そんなんじゃ、また巻き込んじゃう……。」
「……なんだ、そんなことか。」
「なっ!?あんたが危ないのよ!そんなんじゃ済まないでしょ!?」
「済むよ。それに、その限界って一刻を争うのか?」
「いや。……確かに、数日は余裕あるけど……。」
「じゃあこうだ。今日は一日、ここでゆっくり休め。明日になったら、俺がその場所に連れていく。アルファ隊……だっけ?仲間がいるんだろ。そこに送れば、問題無しだろ?」
「確かに、……そうだけど。」
「いざとなったら、俺もその仲間に頼ればいいんだろ?送り届けた後でも、あの男が来たら守ってくれるんだろ?」
「………………。」
「だったらこれが、最良策だ。もう飯もできるし、俺に従っときな。」
「……うん。わかっ」
キュウウウゥゥゥゥ。←お腹が鳴る音
「…………とりあえず。雑炊、食うか?」
「//……うん。」
あっ、カワイイ。うん、美少女が赤くなると絵になるよな、うん。
「あっ。その前に。」
「?」
「自己紹介。忘れてたな。」
「あっ。そうだったわね。ゴタゴタしてて忘れてたわ。」
「改めまして。俺、新川夢。」
「私、リリー=アトウォーター。」
「よろしく、リリー。」
「よろしく、夢。」
そして食事中。
歩きづらそうなリリーは、俺が支えてなんとかテーブルへ。
よく寝れたみたいだし。
さっきのは、たちくらみもあっただろうから、直に支え無しでも歩けるようになると思う。
うん、美味い。自分で作った料理もそうだけど、大屋さんの肉じゃがも最高だ。
そんな時。リリーがふと、俺に質問した。
「夢ってさ、魔法使いなの?」
「魔法使い?そんなのいるの?」
「ええ、私もそのひとりだし。違うってことはその服、魔法衣服?」
「いんや、普通の学生服。」
「超能力者なの?」
「違うし、そんな奴がいるのも初耳だが。」
「?……じゃあ、あの“速さ”は、一体何の能力なの?」
「………………。」
「………………。」
「……俺、『妖怪人間』なんだ。」
「は?」
「正確には、降妖人間。俺の一族は代々、満1歳に妖怪……みたいな超常生物を体に降ろして、宿すんだ。」
「そんな人が、いるんだ……。」
「まあな。あと、リリーって魔法使いなんだ。」
「うん。そうだけど……。」
聞きたいことわかってるよな。ドメリカにサヴィエトにアルファ隊。
多分まだ、何かあるんだろう。
「事情、聞かせてくれないか?」
「………………。」
「………………。」
だめ……か。
「レムリア。」
「レム…リア?」
「そう、こことは違う異世界レムリア。そこでね、冷戦が起こったの。ドメリカとサヴィエトっていう国同士でね。でも、20年前、国民の蜂起によってサヴィエトは崩壊。名をロジーナと変えたわ。国民の生活は、サヴィエト時代の圧政から改善されているのだけど。その、封印されたサヴィエトの指導者が、こっちの世界に紛れ込んだの。」
「封印された指導者が紛れ込んだ?」
「そう。何者かがその指導者、レニナの封印を解いたからね。で、彼らはサヴィエト亡命政府を樹立。こっちの世界の人間をコントロールし、魔法使いにした。彼らは、魔術師と言うそうだけど。そして、赤軍を編成したの。」
「おいおい。大事じゃねぇか……。」
「まごうことなき大事よ。赤軍は、ロジーナ現政権を打倒することが目的らしいけど、このところの動きは大きく出ちゃってるわ。8・17事件が代表例ね。そして、そのサヴィエトを打倒、関係者の拘束のために結成された特殊部隊が……。」
「……アルファ隊。」
「そう。代表的な任務は、ロジーナ皇太子アレクサンドルの子孫の護衛。名前は確か、藤島圭介。」
「へー。藤島圭介って奴なのか。って、あのニュースでやってたヒーローじゃん!!」
確かそんな名前だったよ。8・17事件のヒーロー、藤島圭介。
えっと、クラスのやつがなんて言ってたっけ……そう、リアル上条さん。
……なんのキャラか知らないけどな。
「ってか、異世界人だったんだ。」
「正確には子孫よ。どっちかと言えば、こっちの人間の血の方が濃いわ。まあ、体質は先祖返りしてるそうだけど。」
「……で、リリーの任務は何なんだ?」
「私?私の任務は一般人保護。ここのところ無差別化しているサヴィエトから、一般人を守るのが私の役目。」
ああ、だからか。
一般人を巻き込まないようしてくれたのも。
守ってくれようとしてくれたのも。
俺が殺されたと思って激昂したことも。
自分の使命感と、たぶん、個人的な感情なんだな…。
「ってことは、こっちで暮らしてるんだ。」
「ええ。ビジネスホテルにね。」
「……あの男は?」
「サヴィエトの魔法使い、ルギィ=アルセラー。あの男は……。」
「………………。」
「……アルファ隊の、“抹殺任務”を遂行しているの。」
「……まっ……さつ?」
「そう。とにかく、見つけたアルファ隊を手当たりしだい殺しまわっているの。それに、目を付けられたってことね。」
「……なあ。」
「何?」
「俺が聞いといてなんだけど、コレ、喋ってよかったのか?」
「問題ないわ。本当に機密にしていることはプロテクトされてるし。むしろ私が一般人の保護するってことを、知ってる人が増えるのは悪くないわ。」
「ふーん。たしかにな。……って、アレ?“プロテクトされている”?」
「(ビクッ)!!」
「………………。」
「………………。」
「聞いちゃって、いいかな?」(タモさん風)
「いいともー。ってなに言わせんのよ!!」
「どういうこと、どういうこと?」
まあ、ちょっと予想はできてるがな!!
会った時から、不自然だったところが一つあった。
気づいているんだ、白状しな。←ノリノリ
「……ウソつけないのよ。」
「やっぱり♪」
そりゃあね。ケガについて聞いたとき、結構正直に答えたし。
普通は強がって、問題ないわ。っていってもおかしくないもんね。
「分かってて言わせたかー!!」
「嘘つけないってのは、喋れないってプロテクトの代償と見た。」
「うっ……。」
「さあ、返答をどうぞ。」
「……その通りよ。でも、沈黙はできるのよ!!」
「結構喋ってるみたいだけどね♪」
「夢のせいでしょぉぉぉぉおおお!!」
こんな感じで、夕食は終わった。
風呂には入れるくらい回復したらしい。
ちょっとふらついていたのは心配だったけど。
でも、入浴は中性の湯なら疲労回復が効果らしいから、入ったほうがいいだろう。
……別に素敵イベントはなかったからな。
そうだと思ったやつは、自分にビンタ一発だ。
キャー、エッチー。の自己体験でもしときなさい!
まあ、特に起きた出来事はなかったな。
風呂から出て、身支度したリリーはすぐさまベットにバタンキューだったし。
俺も疲れたから早めに布団に入ったし。
今休憩しとかないと、明日は何が起こるかわからんしな。
翌日 土曜日 7:32
「これが、回復術式か。」
朝食後。俺たちは近所の公園である準備をしていた。
今からリリーに回復魔法をかけるらしい。
昨日のうちにかけなかったのは、満身創痍で出来そうにもなかったから。
それと、下手に魔法を使って探知されたくなかったからだ。
でも、今からの道のりではまず、あの男が仕掛けてくるだろう。
だから、今のうちにリリーの体制、体調を整えておく。
一応、この公園にはリリーの魔法の『人よけ』をかけてある。
あの男が来た時のための対策らしい。
いろんな魔法が使えて便利だなと思ったが、リリー自身が使える魔法はそんなに多くないって言ってた。
まず、リリーは属性ありの魔法が使えない。
火も、水も、雷も、氷も使えないらしい。
一番得意とするのは耐久力強化。
耐衝撃、耐熱、耐寒、耐電などを強化する、守る魔法。
あと、斬撃魔法。昨日の連続切りがそうだ。
それに、肉体強化。もう、完全な戦士タイプだなこりゃ。
ちなみに、俺に耐久力強化をかけられるのかって聞いたが、大したことはできないらしい。
耐久力をなんでも強化してしまうので、弊害が出るのだ。
例えば、耐大気圧。肉体ばっかり強くなったら、その力で破裂してしまう。
深海魚が陸上に来ちゃった時と同じ原理だな。
まあ、本人が使うと勝手はいいみたいだけどな。
っと、魔方陣が完成したみたいだ。
「これで、なんとか調子は戻ると思う。」
「完全に?」
「完全に。」
その魔方陣。その中心にリリーが立つ。
魔方陣が光り、リリーを包んでいく。
あっ、こっちにも余波が来た。
……あったけぇ。それに気持ちいい。
体の疲れが取れる感じだー。
ブウウゥゥゥン。
って、別の魔方陣が出たぞ。
リリーも驚いているし。
……こんな形で出るやつなんて、あの男しかいないよな。
ヌゥ。
出てきたよ、サヴィエトのアルファ隊抹殺任務の遂行者。
ルギィ=アルセラー。
「わざわざご招待ありがとう、お二人さん。さあ、処刑の時間だよ。」
「……転移魔法ね。」
「転移術式と言って欲しいね。君の魔力は昨日のうちに記憶したからさ、『人よけ』なんてわかりやすい魔術を使ってくれて、来てくださいって言ってるようなもんだぜ。」
「………………。」
ってことは、ここでリリーを回復させておいて正解だな。
そのまま行ったら、リリーが不完全なまま、こいつに襲われただろうしな。
リリーが戻ったとしても安心できなかった。
最悪なのは、リリーがアルファ隊の本部までこいつを案内してしまった場合。
リリーは殺され、この暗殺者がアルファ隊たちをすぐさま殺しまわるだろうしな。
「ふぅん。一般人君も一緒か。まあ、分かっていたし、会いたいと思っていたから全然構わないけど。それに、君たちを殺す準備は万全なんだ。」
「………………。」
「『人よけ』もかけてあるみたいだけど意味はないねぇ。確かに、この戦闘には巻き込まれないだろうさ。じゃあさ、この戦闘が終わったらここらへんの民間人を皆殺しにしてあげるよ。いやー、無駄な努力、ご苦労さま。」
「……お前は。」
「はい?」
「お前は、ここで終いだよ。ルギィ=アルセラー。」
「どう、おしまいなんです?」
「アンタはアルファ隊、リリーがここで拘束する。」
「ほう。それは楽しみだ。……やれるもんならやってみなよ、糞餓鬼共。」
早速、豹変しやがった。
あいつも、俺のチカラを知ってるだろうからな。
隠して奇襲は出来ない。
なら、始めから、全・力・だ!!
「覇っ!!」
近接戦闘。基本に忠実に近づく。
とにかく距離を詰めなきゃな。
遠距離攻撃は、俺には出来ない。
なら、この速さで攻める。
「(カプ)。」
あいつも肉体強化で応戦するつもりか。
……アレ?あいつ、……カードを2枚くわえてやがる。
「ふっ!!」
ガッ。腕と腕が交差する。
…
……
………痛ってぇ!!
なんだよ、こいつの体!?
昨日と比べられんほど硬ぇ。昨日の肉体強化はここまで硬くなかったぞ。
2枚で2倍ってレベルじゃない。
こいつのくわえてるカードを盗らないと、打撃が効かない。
フッ。
「!?」
まあ、盗れるけどな。
速さじゃ、俺は誰にも負けん。
それが、俺の“唯一”のチカラだ。
降妖術。
昔、俺の一族がこれを始めた理由は驚くほどシンプルだ。
子どもに生きて欲しかった。ただ、それだけ。
昔の時代の子供の生存率は、今よりずっと低い。
不完全な医療、野生動物の危険、人間同士の戦争。
そこで、子どものうちに超常生物を体に宿し、生き残る力を与えた。
これで、ただの人間より強い身体何かを手に入れ、宿した力を扱えるようになる。
ただ、何を宿したかは知ることができない。
例えば、雪とか氷とかを使えるようになった場合、雪女とかを宿していると“予想する”。
これは大まかな例で、普通は細かく分類して何を宿したか知ることができる。
だが、俺に何が宿っているのか。俺自身にもわからない。
ただ一つ。この力だけを得た。
この、『加速妖術』を。
まあ、言ってしまえば距離なんて俺には有って無いようなもんだ。
ただ、コイツ……反応速度が異常だな。
俺の攻撃に反応出来てやがる。
肉体強化の恩恵と、たぶん他にも何か仕込んでる。
あのひらひらのローブに、いくつかカードが仕込んであるのか?
いや、きっとあるな。いざって時に仕込んでおく。
コイツは最低な奴だが、馬鹿じゃない。
リリーも見抜いてるよな。
「波っ!!」
リリーの斬撃魔法。
しっかり俺は避けて、コイツに当たるような遠距離攻撃。
うまい!!さすがアルファ隊だ。
ギィィィン。
甲高く響いた音。金属と金属がぶつかったような不協和音。
あのカード。光が伸びて剣になってる。
剣のカードか……。自分の装備まで作れるとは、万能な奴だな。
だがっ!!
ヒュッ。
俺なら盗れないわけじゃない。
って、軽っ!!まあ、カードなんだから当然なんだが。
あっ、戻った。魔力がなくなったからか、あいつが戻したからか。
どっちかは分らんが、とにかく今は、あいつに打撃をたたきこむ!!
「せいっ!!」
out side
隙を見て打撃をいれようとする夢。
時にはサポートし、また自ら攻め込むリリー。
その二人に、強大なカードをふるうルギィ。
三者三様の攻防。
状況は拮抗。
妖怪人間&魔法使いVS魔術師
2対1にも関わらず、同等以上の戦いをする魔術師。
その彼が使うカード。
魔術記録張
それがルギィ=アルセラーの扱うカードの名前。
一枚一枚に、魔術を記録し、それを放出して使う魔術。
記録の作業に、手間と魔力がかかる事前準備型だ。
ただ、その分効果は絶大。
そして、事前準備作業は自分自身がする必要性もない。
手伝ってもらうことが可能なのだ。
もちろん、強力な魔力を持つ者なら、カードの効力は大きくなる。
しかも、記録には物理的なものも利用できる。
例えば、カードに書き込み用の魔術を付加し、そのカードに雷を当てれば雷を任意に放出できるカードの完成だ。
ただ、デメリットはある。
リリーが見抜いた、カードの破壊もその一つ。
記録されているが故に、特定の事柄で記録が消去されてしまっては効果が消える。
切られた文字が、そのままでは読めないのと同じ。カードが破壊されれば無力なのだ。
そしてもう一つ。このカードは、記録、放出の形態をとるため、すべてのカードが使い捨てだ。
もちろん、長期の効果を維持するものもある。
肉体強化や剣のカードが代表例。
しかし、やはり強力な魔術をノータイムで使えることは大きい。
無論、ルギィの用意したカード枚数は、非常に多いだろう。
事前準備を欠かさない、真面目で残虐な魔術師は
「はっ!!」
空中足場のカードを使った。
深緑のブロックが、大量に出現する。
タンッ、タンッ。
駆け上がる魔術師。夢もそれに続こうとするが、足場をすり抜け落下する。
おそらく、リリーでも結果は同じ。
作成者のみが使え、他人には触れもできない地形魔術。
だが、リリーもまた、地形魔法を放つ。
現れるのは真紅のブロック。数は多量。
これもまた、ルギィには乗れない、二人だけの足場。
駆け上がる夢とリリー。足場を確保し、均衡を破ろうとしたルギィの思惑は崩れた。
いや、ニィイ、と笑っている。
夢はこの足場には慣れていない。
これは、平地のように移動しやすい地形でもない。
山のように急斜面という道でもない。
ルギィの思惑は、おそらく夢のスピードの減速。
この足場では、夢の速さは確実に落ちる。
事実、夢自身も自覚していた。
ヒュッ。
夢が跳ぶ。
バッ。
リリーが舞う。
ガッ。
ルギィが攻める。
ギィンッ!!
リリーの近距離での斬撃。だがそれも、彼の剣が受け止める。
この地形では、夢はカードを盗めない。落ちずに跳び回れるだけで限界だ。
現在、ルギィの使うカードは、肉体強化2枚と剣が1枚。そして、剣への属性付加の計4枚。
その剣が纏うは雷電。かたや、リリーのダブルセイバーは無属性の耐久力強化のみ。夢の打撃は効果なしだ。
状況は傾いた。足場を作ったことにより、完全にルギィが優勢。
だが、その流れに、夢は逆らった。
「ヒュッ!!」
夢が吐く息の音。呼吸でその手に持つ、“武器”の威力を高めようとする。
素早く移動。狙う場所はルギィの背後。その様、まさに忍。
無音で足場を強く蹴り、より一層『加速』する。
リリーは、彼の持つ“武器”に、耐久力強化の魔法をかける。
「!?」
力をいれたその加速。変速によって鈍らされ、ルギィは反応しきれずに直撃を食らう。
後ろから攻める夢の一撃。それが、ルギィの後頭部に襲いかかった。
ガンッ!!!!
「――――っ!?」
声に出ない苦痛。
肉体強化をかけていても、加速と硬化によって強化された、その“金槌”の威力が彼の魔術を上回った。
「……ってえな……。後ろからとは、ずいぶん卑怯じゃねぇか。」
「虐殺者よりかは、数兆倍マシだ。」
「私も同じく。」
「……ああ。そうだ、先に謝っとかねぇとな。」
「「?」」
「悪ぃ、悪ぃ。お前たちナメてたわ。いやー、節約してちゃあダメだよなぁ?」
「節約?」
「夢、鵜呑みにしないで。」
「分かってんだろ、アルファ隊。俺が使ってたのはな、全部長時間系のカード節約型なんだよ。ここまで言えば、頭のいいテメェにゃ分かるだろ?短時間放出型のカードの方がな、“強力”なんだ。当然だろ、使い捨てのカードを、一気に力を放出するんだから。」
「……手を抜いていたと……そう言いたいのか?」
「まあ、そういうことになるねぇ。やっぱ、こんだけ持ってきて正解だな。」
「……カードの枚数ね。」
「そのとおり、今回持ってきたカードは収納型含め、“14378枚”。9枚減って残り14369枚だ。」
「無駄遣いする気満々じゃねぇか。」
「まぁな。そういうわけで……名を名乗れ。」
「はぁ?」
「オレはな、『戦闘』をする相手には敬意を払う。たとえ誰が相手でもな。この国の戦の作法にも有んだろう?戦う前に、双方の名乗りを上げる、ってさ。」
「………………。」
「そっちのアルファ隊もだ。名を名乗れ。今から行うのはな、『処刑』じゃねぇ、『戦闘』だ。」
「……おい。」
「ああ?」
「こういう場面での、有名な決まり文句を言ってやるよ。」
「そうね……。」
「………………。」
「「悪人に名乗る名など無いっ!!」」
「……格下げだ。しょうがねぇ…………『戦闘』から『虐殺』に変更だ、糞餓鬼共……。」
夢 side
あのヤロウ……、処刑から戦闘に変更だぁ。ふざけんな!!
あいつ、どんだけ殺してきてんだよ。
あんな言葉がでるってのはな、普段殺しているから出る言葉だ。
絶対あいつはここで倒す!!これ以上、あいつの被害者を増やさせない!!
しっかし、う・ご・き・に・く・い。
ホント、跳べん!!雪とか泥なら、まだなんとかなったのに。
……アイツのカード、盗るか?つーか、それしかない!!
よし。まずはどうやって……って、来る!!
バッコオオオオオォォォォォォン。
あっぶねぇ!!指定方向爆撃!?とんでもねぇな。
手を抜いてたってもの、ハッタリじゃなさそうだな。
今ので、カード2枚消費か……。持久戦じゃ不利。
金槌も、アイツの肉体強化のカードを盗まないと、もう効果は薄い。
っ!?あいつ、何十枚もカードを持ったぞ!!
2枚であの威力なんだ、あの枚数じゃまずい!!
「はぁっ!!」
おー!!リリーの防御魔法か。
守る魔法が得意って言ってたからな。
このバリアも強力だ。
スパパパパパパンッ!!
……危ねぇ。さすがに攻撃は通さなかったみたいだけど、もうバリアがボロボロだ。
リリーの方のバリアも……って、あの威力で範囲攻撃かよっ!!
一点集中の攻撃ならともかく、範囲攻撃でこの威力……。
一発食らったら即終了か……。
……やってやる!!一発も食らわなきゃいいんだろ!!
「おおおおぉぉぉぉぉ!!」
もう足場は慣れた。本調子じゃないけどな。
確かに、空手は移動系の武術じゃない。
ステップがあったとしても、本来の移動はすり足だ。
そもそも、こんな足場で戦う武術なんて無い。
だが!!基本を極めた俺ならば、移動型への応用は“できた”んだよ!!
ビュッ!!
「!?」
やっぱり。スピードなら、肉体強化のあいつでも、たとえこの足場でも、俺のほうが速い。
それに、攻撃なら金槌がある。
空手には不向き。でも、俺ならできる。
右から攻めて、左はリリーの挟み撃ちだ!!
「調子に乗るなよ糞餓鬼共。防御魔術が使えるのが、お前らだけだと思うなよ!!」
ブウゥゥゥン。
バリア!?ちっ、そりゃあ、あいつが使えないってほうがおかしいか。
それにしても、不気味なバリアだ。不自然なほどのっぺりしてやがる。
……試してみるか。
「はあああぁぁぁぁ!!」
一直線の高スピード。俺の速さに乗った、強化金槌の一撃。
これで、バリアを砕いてやらぁ!!
ぐにょおん。
「っ!?」
なんだ!?砕けないどころじゃない。このバリア、粘土みたいな形状で、今の一撃を吸収しやがった!!
「驚くこたぁねえだろ?何も硬さだけが防御じゃない。この国でもやってんだろ!!」
「っ、抜けな……」
「危ないっ!!」
!?
とっさのリリーの声。この声に助けられた。ほんとに助かったぜ。
しっかし、あのバリア粘土。俺に襲いかかってきやがった。
ご丁寧に龍の装飾なんかしちゃってさ。
見た目は光のバリア、性質は粘土で衝撃吸収もでき、攻撃まで可能ってさとんでもねえ魔法だ。
いや、あいつの立場からだと、魔術か。
って、あいつこの魔術にカード何枚使ってやがる!?10……いや、20枚!?
あいつの出す大魔術かよ。
……消えた?あれも、短時間の魔術ってことか。
でも、金槌盗られちまった。
あのヤロウ、ご丁寧にそこの川に沈めやがったし。
しかも、まだあいつは肉体強化をカード2枚で継続中。
どうする?
「――――――。」
なんだ?この声?
………………リリーの、呪文?
「――――空中にいるものよ。偉大なる大地にその足をつけよ!!」
ガクンッ。
空中に設置されたそれ。リリーとルギィの創った足場が落ちる。
当然、それに乗っかる3人も、同様に落ちる。
地面に落下した足場はその呪文の効果か、風化するように消えていく。
「アルファ隊を舐めないで。こんだけ時間があれば、これくらい堕とすのなんか余裕よ。」
リリーマジかっけぇ!!
それにありがてぇ。地上戦なら……盗れる。俺のスピードが、活かせる!!
「馬鹿が……。」
!?
「オレを舐めんなよ。時間なんかが無くともな、お前らを堕とすなんて余裕だ。」
バッ。
奴の手から放たれた5枚のカード。
次第に、その5枚が魔方陣を描く。
その方向は……俺に向けられていた。
「は?」
情けなく、そんな声を出すことしかできなかった。
確かに、俺はスピードには自信がある。
誰にも負けない自信がある。
でもさ……こんな俺でも…………
“雷”や光になんて勝てないんだ……。
バリバリ
そして。
バリバリバリバリ
その雷が。
バリバリバリバリバリバリ
灼き尽くしたんだ。
バリバリバリバリバリバリバリバリ
俺をかばった。
パリ……プス…………シュー………
“リリー”を。
…………………………………ドサッ
「リ……リー……?」
「………………。」
「……ねぇ。」
「………………。」
「……起きてよ。」
「………………。」
「……守ってるんだろ?」
「………………。」
「……自分の魔法でさ。」
「………………。」
「……ねぇ。」
「………………。」
「リリー…………。」
「………………………………。」
「…………リリー!」
「………………………………………………。」
「…………リリー!!!!」
「………………………………………………………………。」
「リリイイイイイィィィィィィィ!!!!」
多分さ。俺はヒーローになろうとしたわけじゃないと思うんだ。
「……リリー。」
リリーを助けようとした時さ、たしかにそんなイメージはあったよ。
「リリー。」
でもさ、俺が本当にやりたかったのはさ、それじゃないと思うんだ。
「リリー!!」
傷ついててさ。
人を守るのに必死で。
ウソつけなくて。
時々可愛いとこ見せるし。
恥ずかしくて頬を赤らめたり。
助けるために戦っている。
俺はそんなリリーを。
ただ
助けたかったんだ。
たった
それだけだったんだ。
でも
そのリリーが
俺の前で
倒れた。
俺を守るために
倒れたんだ。
「……う。」
だから
「…………うあ。」
俺はそんな自分を
「…………ああ。」
許せない!!
「う…………あ……。」
そして、
「う……あ…あ………。」
この男のことも、
「うわあああああああああああ!!!!」
絶対に許せないっ!!
out side
ビュバババババッ。
見えないほどの高速移動。
正真正銘。新川夢のトップスピード。
ガガガガガッ!!
時折放たれる打撃。
それでも姿は表さない。
肉体強化したルギィでさえ、反応できない超スピード。
ドドドドドドドドドッ!!
だが、それは“悪手”。
そもそも、人間の運動には2種類ある。
持続型の持久運動と、瞬発型の無呼吸運動。
当然、後者の方が消耗は激しい。
しかも、今の夢は、正常な判断ができていない。
すぐにルギィのカードを盗ればいいのに、ダメージを与えることしか眼中にない。
ただ誰も、夢の行動は責められないだろう。
一般人である夢が、目の前で人が倒れるさまを見れば、それも仕方がない。
しかし、冷静で残虐な魔術師は、夢の終わりを……。
ニィィイ。
カウントダウンしていた。
「どうした、どうした!!こんな軽い攻撃で、“あの女”を殺した俺を倒せると思うなよ!!」
「!!」
明らかな挑発。それも、リリーは倒れただけで、生死の確認はしていない。
だが、………………今の夢に、そんな理屈は通じず。ただ、あの魔術師を殴ることしか、考えることができなかった。
「アアアアアアァァァァァ!!」
どこからともなく聞こえる声。
そこらじゅうから聞こえてくる、不気味なステレオ声。
目視さえ、できない速度で叫ぶ夢。
怒りに呑まれ、ただ攻撃する“妖怪”は。
バシイイイィィィン!!
黒こげの少女に
「…………あ。」
ビンタされ
「……ああ。」
“人間”へと戻った。
「リリィィィィィィ!!」
「目は覚めた?このバカ男。」
なぜ、リリーは夢を叩けたか。
そのスピードは、ルギィでも反応できない。
そしてリリー本人でさえ、ハッキリと答えることはできない。
ただ、リリーはこう思っただけ。
私がこいつを起こさなきゃ、と。
「さあ、反撃開始よ!!」
「いよっしゃああぁぁぁぁ!!」
「やれるもんならやってみな!!糞餓鬼共ぉ!!」
ヒュッ。
「まずは、コレは没収。」
「次はこれよ。喰らいなさいっ!!」
ギイィィン!!
弾かれる斬撃魔法。肉体強化のカードを奪い、直後に放つ
完璧な呼吸。まるで長年連れ添ったかのような息の合いよう。
「効かねぇよ!!」
その手に持つのは剣のカード。
ただ、大きさが以前のカードと比較にならないほど巨大。
カードの枚数は15枚。リリーの斬撃など、まるで歯牙にもかけない。
ただ、そんなことはリリーには承知の上。
本命は別にあった。
「同感ね!!」
「っ!!」
ギギギギギギィンッ!!
ルギィの懐に入り、超接近戦に持ち込んだりりー。
フラフラの体に鞭を打ち、放つ技は連続切り。
ダブルセイバーの真骨頂、回転切りに、細かい斬撃魔法を混ぜた多重斬撃。
パワーでは、事前準備に手間の掛かるルギィのカードにはかなわない。
ならば、攻撃時の連続攻撃ならばどうか。
確かに、ルギィのカードはノータイム。
もちろん、連続に使うこともできる。
だが、連続に特化した、リリーの攻撃がそれを上回る。
しかも、この距離では自分を巻き込まず、かつカードを切られてはいけない。
その点で、リリーはルギィを圧倒した。
「うらああああ!!」
だがそれも、長時間は持たず、リリーは振り払われる。
「ふっ!!」
だが、それも計算済み。“うまく”弾かれ、すぐさま体制を整える。
その前に、夢の攻撃が入る。
「ぇいやああああぁぁぁ!!」
気合十分に放ったのは、超速のロウキック。
空手では、下段回し蹴りという。
それを、ルギィの裏大腿部に入る。
「ぐあああぁ!!」
普段、打撃も攻撃も入らない場所。
痛みに慣れない部位を蹴られ、苦悶の表情を見せる。
今、ルギィは、夢の攻撃に反応することができなかった。
肉体強化がないのも原因だろう。
それでもルギィは、夢のスピードに反応できてはいた。
だが、今は出来なかった。
ルギィの反応が遅いのではない。
明らかに、夢のスピードが格段に、上がっていたのである。
なぜ、今になって夢のスピードが上がったのか。
それは多分、夢は心のどこかで、――――分かっていたのかもしれない。
「はああああぁぁぁぁ!!」
すぐさま次の攻撃。
リリーと夢のコンビネーションに、ルギィは完全に押されていた。
(コリャまずい。コイツら……予想以上だ。)
だが!!
新たなカードを目の前に、腕をクロスさせ防御の姿勢。
「っ!!」
小爆撃と読んだリリーが下がる。
だが、それは攻撃ではなく。
ピッカアァァァァァ!!
強力な閃光だった。
ルギィがした防御は、光から目を守る防御。
観察のため、注視していたリリーは完全に視力を奪われた。
「くぅう…………。」
「喰らえやああああぁぁぁぁ!!」
放たれるは闇。それ自身が強力な破壊力を持った攻撃魔術。
カードの消費枚数。
――――――30枚。
オオオオオオォォォォォ!!
不気味な雄叫びを上げ、リリーに迫る闇。
盲目のリリーを、夢は抱き攫い、躱していった。
闇はそのまま通り過ぎる。
民家の屋根スレスレで、空へと消えていった。
不気味なほど余波はない。既存の物理に当てはまらない攻撃。
「テメェ……見えてやがるのか。」
そう、夢の目は、光に灼かれはしなかった。
決して光に追いついたわけではない。
それはまだ、夢には不可能。
ただ、ルギィの魔術を読んだだけだ。
そもそも、小爆撃とはいえ、ルギィが防御の姿勢をとることがおかしい。
ルギィはそんなことしなくとも、指定方向爆撃が使用可能なのだ。
そこから考え、夢はルギィの策を読みきった。
夢。
ボソリと、リリーが小声でつぶやく。
私は目が見えない。戻るのにも、しばらく時間がかかると思う。
だから、私を下ろして。
違うよ、見捨ててってわけじゃないの。
大丈夫。足でまといにはならない。
私は私で、ありったけの防御魔法をかけるの。
それでね、よく聞いて。
私の首にかかってる、ネックレスの石を、手にもって。
うん。鎖は引きちぎっていい。
その護石はね、自分以外の魔法を弱める効果があるの。
私の首から離れても、効果は持続するの。
それに、あいつのローブに仕込まれた防御魔法を弱めることができる。
夢の攻撃が、通る。
だから夢…………決めて!!
「………………。」
「なんだ?そいつを置いて。諦めたか。」
「まさか。」
「じゃあ、どうだって言うんだよぉ?」
「…………だ。」
「あん?」
「次で終いだ!!この糞野郎おおおぉぉぉ!!」
「上等だ!!かかってきやがれ糞餓鬼があああぁぁぁ!!」
手に纏う、その光は攻撃魔術。
カードの枚数は、ルギィが使える同時使用枚数の限界。
計、100枚。
その攻撃を
すり抜け
リリーの護石が
魔術を貫き
夢の右手の
一撃が
「………………。」
「………………。」
ルギィを
ドサッ。
倒した。
フラッ。
「夢!?」
後ろへと、仰向けに倒れ込む夢。
その体はボロボロ、未だかつてない疲労と苦痛。
ただ、リリーの心配は杞憂だった。
確かに、夢が受けたダメージは大きい。
限界を超えて走った身体が悲鳴を上げている。
それでも、意識は手放さず。
空へと向かって、思いっきり叫んだ。
「勝ってやったぜ、こんちくしょおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
夢 side
「なあ、コイツさ、どうすんの。」
「心配ないわ。ほら、来たわよ。」
「?」
「『アルファ隊』。」
それから、ルギィってやつは、リリーの仲間、アルファ隊が連行していった。
アルファ隊の抹殺任務があるのはこいつだけらしいから、リリーたちの危険は当面去った。
ボロボロだった俺とリリーは、回復魔法ってやつをアルファ隊の仲間にかけてもらった。
すごい効果だと思ったし、翌日にはリリーも俺も、全快になるらしい。
すぐじゃないの?って言ったらさ。
リリーの場合、一日休んだ後でかけたから、効果が高かったとか言ってた。それでさ、あいつも捕まったし、めでたしめでたしって思ったけど。
やっぱり、こう、なるんだよな。
「………………。」
「………………。」
リリーとの、別れ。
「……何、辛気臭い顔しちゃってんのよ。」
「……まあ…な。」
「……言ったでしょ。私だって、こっちに住んでるのよ。」
「……ああ。」
「……聴いてるの?」
「聴いてるさ。」
俺と、リリーの間に接点はない。
ちょっと特殊な俺たちだけどさ。
かたや異世界の魔法少女。
かたやこの世界の高校生。
住む『世界』が違う二人。
頻繁に会うことは、多分できない。
「…………えい。」
ムニィィ。
「いっ!?いふぁい!いふぁい!いふぁい!」
「あははははは!おもしろーい!」
バチンッ。
「っ、痛ってえよ!!なに人の顔引っ張ってくれちゃってるわけ!?」
「こんな雰囲気、キライだからよ。」
「………………?」
「まったく。人の話、聞きやしないんだから。」
そう言って、リリーは右手を上げる。
俺にも、そうするように促す。
「“次”に夢の家行ったら…………いっぱいご馳走しなさいよね。」
「……ああ。…………そうだな!!」
「“またね”、夢!!」
「“またな”、リリー!!」
バチィン!!
通り様に交わす、二人のハイタッチ。
少年と少女が。
一つの話を
終えた。
数日後の日曜日 朝倉荘
9:12
「うーん。快晴、快晴♪」
本日の天気、晴れ時々曇り。雲量1。
気持ちがいい朝なので、とりあえず布団を干しておく。
部屋もきれいにしてあるし、宿題も昨日のうちに終わらせたし。
……やることねぇな。うーん……。
新たなレシピでも調べとくかな、リリーが来た時のためにさ。
美味しい料理でさ、もてなすって約束しちまったからな。
ブロロロロロロロロロ。
さーて、どんな系統にしようかな。
キイイイイィィィィン。
リリーが好みそうなのは洋食か?
バンッ。ガタガタガタ。
いや、日本の本ちゃんの和食を楽しんでもらおうかな。
エー、ソレハコッチニ。
よし!会席料理でも調べ…………え!?
バタッ!!
部屋から飛び出し。
カンッカンッカンッ!!
いそいで階段を駆け下りて。
アパートの前にいたのは。
多数の引越し業者さんと。
「ええ、これは部屋に入れてから組み立てて――――。」
ひとりの魔法少女
「お願いします。っと、夢ー、一週間ぶり!」
リリーだった。
「リリー!?なんで!?」
「何言ってんのよ。言ったでしょ、“またね”、って。それに……。」
見ればわかるでしょ。と、リリーは可愛く微笑んだ。
「改めまして。」
どうやら
「今日から、ここの202号室に住む」
俺たちが紡いだ
「リリー=アトウォーターよ。」
魔法少女に会っちゃった話しは
「よろしくね、“親友”!!」
これからも続いてゆくらしい。
完
既知の方にはこんにちは。
初見の方ははじめまして。
赤川島起です。
今回、制作となった今作品は、原作の作戦参謀さんの許可を得て、掲載しております。
参謀さんにはもう一度、許可、確認、感想をありがとうございます。
では、キャラクター資料集です。
新川夢
古宇坂南高校の高校2年生。
誕生日は9/8。
県外からの学生で、朝倉荘201号室に一人暮らし。
空手有段者で、本人曰くのクソ師範とクソ親父の訓練を受けたらしい。
代々続く、降妖術の対象者。
しかし、免疫などの強化以外、加速妖術しか使えない。
一族の中でも例がないため、何を宿したか不明。
最有力説はカマイタチだが、これには特徴が合わないらしい。
コンセプトは、何をするのにもハードルの低い少年。
行動のハードルが低いため、なんでもすぐ実践する。
そのため、勉学の成績は優秀。
学校では、モテるわけでも、引かれてるわけでもない。
やや人気のあるお調子者で通ってる。
リリー=アトウォーター
異世界レムリアのロジーナ出身のアルファ隊。
朝倉荘に引っ越したが、夢の高校には編入していない。
夢と同い年の魔法少女。
属性魔法が苦手で、ほとんど使えない。
本人の努力の成果で、無属性魔法の幅は広い。
使用する武器は、両端に刃がある刀、ダブルセイバー。
接近戦もできる。
コンセプトは、嘘をつけないツンデレ。(……ってわけでもない)
ちょっと押しが強いが、どこにでもいる普通の少女。
ルギィ=アルセラー
サヴィエトに仕える優秀な魔術師。
敵に厳しく、味方に優しい。
彼の使う魔術記録張は、準備がかかるが、非常に強力な魔術。
味方に手伝ってもらうほうが効率がいいため、友好的。
それを差し引いても、サヴィエト内での仲間意識は強い。
ただ、サヴィエト以外の人間は興味がない。
コンセプトは、誇り高く残虐な敵。
決してダークヒーローではない男。
サヴィエト内に恋人がいるらしい。
って感じです。
参謀さんにも、是非このキャラたちは使って頂けたらなと思います。
それではこのへんで、筆を置かせていただきます。
ご視聴ありがとうございました。