『元カレへ。』短編小説
人は、大事に思っていることほど、言葉にするのが怖くなるときがある。
幸せが一瞬で壊れることなんて、本当は信じたくない。
この物語は、そんな“突然の別れ”に向き合ったひとりの少女が、強く生きようと決めた瞬間の話。
読んでくれるあなたが、誰かを想う気持ちの重さや、前へ進む勇気を少しでも感じてくれたら嬉しい。
元カレへ。
大切にしてくれてありがとう。
でも、私が「子供ができた」と伝えた瞬間、あなたはいなくなったよね。
あんなに私のことが好きだって言ってくれていたのに。
たったひと言で、人ってこんなにも変わってしまうんだ。
私はずっと自分を責めていた。
あのとき止めておけばよかったのかなって。
「子供できたみたい」
そう言った瞬間、あなたは家を飛び出していった。
その直後、車にはねられて亡くなったと聞いた。
あなたの手には、ケーキが握られていた。
たぶん、本当に嬉しかったんだと思う。
喜びから一気にどん底へ落ちて、私は泣き続けた。
でも、そのとき決めたの。
──この子は私ひとりで育てる。
あなたの分まで生きる。
絶対に悲しい思いはさせない。
夜寝る前、ふと頭の中にあなたの声がした。
“ごめんね。大好きだよ”
そんな気がした。
幸せって、いつも当たり前みたいにそばにあるけど、本当はめっちゃ脆い。
でも、失ったものの中にも、ちゃんと残るものはあって。
それが“想い”だったり、“決意”だったりする。
この物語を書きながら、「誰かのために強くなれる瞬間ってあるんだな」って思った。
読んでくれたあなたの心にも、ほんの少しでも何かが残ってたら嬉しい。




