最後の誕生日会
「お父様のことを……お願いね……」
母は亡くなる間際、まだ小さかった私の手を握り締めてそう言った。
それから8年……。
母の残したこの言葉は、まるで呪文のようにずっと私の心を縛り付けてきた。
でも、それももう限界だ。
ねぇ、お母様。
私……お父様を捨てて良いですか……?
******
宮廷貴族ゾールマン伯爵家の娘アイリスは、愛する母を病気で亡くして以来、父ヨーゼフと2人肩を寄せ合い暮らしてきた。
そんな日々が続いたある日、父ヨーゼフはいきなり宰相から筆頭補佐官への就任を命じられる。それは次の宰相への試金石とも言える重要な役職。日頃からの父の働きぶりが認められたことにアイリスは大きな喜びを感じるが、筆頭補佐官の仕事は激務。それ以来、アイリスが父と過ごす時間は激減してしまう。
そんなある日、父ヨーゼフは彼の秘書官だったメラニアを後妻に迎えると屋敷に突然連れて帰って来た。
「彼女にはお前と一つ違いの娘がいるんだ。喜べアイリス。お前に母と妹が一度に出来るんだ! これでもう寂しくはないだろう?」
父は満面の笑みを浮かべながらアイリスにそう告げるが……。
母は亡くなる間際、まだ小さかった私の手を握り締めてそう言った。
それから8年……。
母の残したこの言葉は、まるで呪文のようにずっと私の心を縛り付けてきた。
でも、それももう限界だ。
ねぇ、お母様。
私……お父様を捨てて良いですか……?
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宮廷貴族ゾールマン伯爵家の娘アイリスは、愛する母を病気で亡くして以来、父ヨーゼフと2人肩を寄せ合い暮らしてきた。
そんな日々が続いたある日、父ヨーゼフはいきなり宰相から筆頭補佐官への就任を命じられる。それは次の宰相への試金石とも言える重要な役職。日頃からの父の働きぶりが認められたことにアイリスは大きな喜びを感じるが、筆頭補佐官の仕事は激務。それ以来、アイリスが父と過ごす時間は激減してしまう。
そんなある日、父ヨーゼフは彼の秘書官だったメラニアを後妻に迎えると屋敷に突然連れて帰って来た。
「彼女にはお前と一つ違いの娘がいるんだ。喜べアイリス。お前に母と妹が一度に出来るんだ! これでもう寂しくはないだろう?」
父は満面の笑みを浮かべながらアイリスにそう告げるが……。
1 母の遺言
2025/09/24 20:40
2 最後のチャンス
2025/09/24 20:50
3 賭けに出た
2025/09/24 21:00
4 お父様を捨てて良いですか?
2025/09/24 21:10
5 親を脅す気か
2025/09/24 21:20
6 私の初恋
2025/09/24 21:30
7 心を込めたプレゼント
2025/09/24 21:40
8 貴方が許さなくても構わない
2025/09/24 21:50
9 さようなら、お父様
2025/09/24 22:00
10 ヨーゼフ① 娘は振り返らなかった
2025/09/24 22:02
11 ヨーゼフ② 目を逸らした先にあったもの
2025/09/24 22:05
12 ヨーゼフ③ 捨てられて当然だ
2025/09/24 22:09
13 ヨーゼフ④ 嘘つきの泥棒
2025/09/24 22:12
(改)
14 ヨーゼフ⑤ メラニアの吐いた嘘
2025/09/24 22:15
15 ヨーゼフ⑥ 道化だった自分
2025/09/24 22:19
(改)
16 ヨーゼフ⑦ 選ばれたのは侯爵家
2025/09/24 22:19
17 ヨーゼフ⑧ 2つの選択肢
2025/09/24 22:20
18 ヨーゼフ⑨ それがお前の望む幸せか
2025/09/24 22:21
19 ヨーゼフ⑩ 子供のことを考えるのなら
2025/09/24 22:24
20 ヨーゼフ⑪ メラニアの最期
2025/09/24 22:27
21 最後の誕生日会
2025/09/24 22:30
(改)