第4-i章
従順な狼シリーズ 第一弾
麗しき魔女は鏡の中に
第1巻
第4-i章
「これで、よろしいかしら?」
「うん、完璧です。
有難うございます。」
「ロマーン!!!
たっだいまー!!!
・・・何よ、お前も居たの、泥棒猫。」
「本日もご機嫌麗しゅう、奥方陛下。
ですが私は、本当にただの猫。
『泥棒猫』とは人に対して使う言葉ですので、私は泥棒出来ませんよ。」
「あら、よく言ってくれるじゃないの。
お前の『ボーイフレンド』は、人間じゃないの。
ただの猫とは、言わせないから。
・・・とっとと、私のロマンから離れなさいよ。」
「まぁまぁ、■■■…
すみませんね、ベルフェゴール卿。」
「いえいえ、全く問題は御座いませんのよ。
仲睦まじくて、全く、『有難いもの』ですわ。」
「全く、ロマンは優し過ぎよ!!」
「まぁまぁ。ごめんね。」
「良いのよ、別に。
・・・愛してるわ、ロマン。」
「僕もだよ。」
熱い熱い、「分かり切ったもの」の証明に勤しむ二人を、アルカイック・スマイルで眺める【魔人】。
「・・・そんなに心配なのでしたら、私は消え去りますわよ、陛下。
契約不履行の代償だって、全て私持ちですわ。」
「あら、冗談は休み休み言いなさい。
まだ、何もしていないのに?」
「いや、これを見てくれ。」
「・・・あら?貴女、ボーイフレンドのために、友を売るの。」
邪悪そうな嘲笑が浮かんでいる。
「いえ、従者のためでは御座いませんわ。
私は契約に従い、対価の報酬として、差し上げていますのよ?」
「・・・ま、良いわ。」
「・・・この、『マーリャ』と言う従者を連れて来るのは、ほぼ確実なのかい?」
「えぇ、きっと。私と『カーチャ』―レグヌム・マモンは、
元来この国の言葉を使う者では、御座いませんので。
彼女は、この国の言葉しか話せない。」
「それでは、通訳として、成り立たないんじゃ…」
「そこですよ、陛下。
本来、我々のような魔法使いに、翻訳なぞ不要なのです。
〈Kene yuzuku resu yw ruji〉―ご覧の通りに。」
「・・・でも、翻訳を念のために連れて来るのは?」
「私とマモンの『翻訳』は、違うのですよ、根本的に。
自分ではなく、相手にかける。
・・・まぁ、それが一般的な方法ですが。
そのため、相手の許可が望まれる。
高貴な方々には、特に。
それに、魔力の消耗も、笑いごとにならない。
・・・ですが、その狼―『マーリャ』の魔法だと、万が一翻訳が必要になっても?」
「・・・【献身】。成程、そう言う事だね。
理解したよ。」
「ありがとうございます。
・・・まぁ、それ以外にも。
今のマモンのお気に入りは、彼女ですから。」
「彼女以外に誰か、連れて来る可能性は?」
「殆ど無いでしょう。
マモンは、『放任主義』なのです。
よっぽどの事情が無い限り、『モノ』を自分の都合で振り回す事を、嫌う。
振り回す場合も、必要最低限に。」
「あら、それは矛盾しているんじゃなくって?」
「あれば、満足するのですよ。
あの、【強欲】は。
それに、勝手に持って来た『成果』を、欲しがっている。
自分も知らなかった、『財』を。」
「・・・成程。」
「えー、私、全然分からないわ。」
「本当に?」
「・・・やっぱり、ロマンにはバレちゃうか~。」
「いや、■■■は僕より賢いから。」
「も!自己肯定感は高く!!」
「ごめんね。」
「・・・マモンの【魔眼】―〈Kusaruemyau〉に、ご注意ください。
あれは、〈wowa〉、〈wonndyau〉を明らかにする。
・・・私はこれで、失礼しますわ。」
「・・・意地悪な。
そんなに、根に持っているのかしら?
素晴らしい事だと言うのに。」




