第1章
「・・・しっかりしろ、俺。
弱気になるな、俺。
もうすぐ応援が来るんだ。
エリーが来れば僕もライサも助かるんだ。
・・・あれは、エリー?!
・・・良かった。
ライサが言っていた通り、エリーが来た。
じゃあもう安心だ。
これで僕もライサも、助か、る…?」
第1章
「・・・うん、見えているよ。
・・・ただ、見知らぬ女性が2人いるんだけれども、
どちらが「狡猾な魔女」なの?
・・・そうだよね、ごめんね、君も分からないよね。
その場にいない君に聞いても
「何の話?」
だよね。
あれ、あの人は…
って、気のせいか。
君の話だと、魔女は僕を邪魔しに来たんだよね。
・・・魔女が僕の部屋に来られないよう、少し時間稼ぎを…
って、もうやってくれたの?
凄い、流石だ。
君はとても優秀な従者だね。
君の雇い主が羨ましいよ。
その情報収集力、先を見据えた行動、素晴らしいよ。
君たちには期待しているんだ。
引き続き、彼女をよろしく頼んだよ。」
「実行犯」ともいえる立場のこの少年は、
誰にも見つけられなかった薄暗い部屋の中で、
ある人物と魔法で話していた。
魔法の先の人物との関係性は、端的に表してしまうなら、
「黒幕」がユダ、
「実行犯」が
タレコミをもとにやって来た兵士だとするのならば、
「悪魔」だろう。
悪魔の王の邪魔者を、王の命令で排除するために、地獄から這い上がり、
ユダをそそのかした悪魔である。
いや、違うな。
そそのかした悪魔でもあるが、
「裏切者」を連れてきた悪魔でもある。
ユダや悪魔は悪意はあるが、
兵士には悪意も何もなかっただろう。
正義か、善意か、
あるいは、何も考えていなかったのかもしれない。
上の命令に従っただけかもしれない。
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・・・あれは、エリー?!
・・・良かった。
ライサが言っていた通り、エリーが来た。
じゃあもう安心だ。
これで僕もライサも、助か、る…?
・・・それでいいのかな?
助かるだけで良いのかな?
それが本当に正解…?
ライサがあの女性について行ったのは、
本当に無意味な行動だったのかな?
未来が見えるライサが、
そんな無駄な行動するわけあるかな…?
・・・ライサには何か策があったんじゃないかな?
・・・なら僕も、ライサと一緒に、
あの女性に従ったほうが良いんじゃ…?
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「・・・誰?め、メイド…?
何で古い作業小屋に、
ブランカ家のメイドが…?」
「思ったよりお早めに同化が進んで下さったようで、
有難うございます。
こちらも手間が省けました。
あの白猫の所から逃げたときには、
少し気を揉みましたが…
まぁ、結果往来、と言ったところでしょうか?
魔神「猫神」眷属、「血塗られた貴公子」、ロセ様。
とあるお方の頼みでお迎えに上がりました。
御同行願えますでしょうか?」
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ようやくコルレア王国に着いた…
・・・エリーが馬車に酔いに酔いまくって、
本当に大変だった。
私は一応、エリーの従者という立ち位置だから、
私が先に降りて、エリーをエスコートしようとした。
「いや、良いわよマリー。自分で降りれるわよ。」
・・・あ、これ、
「何でエスコートされてるか分かってない」
って顔だ。
・・・エリーがドジだからエスコートしてるわけじゃない。
「・・・いや、そういうわけじゃない。
エリー、自分の立場を考えよう。」
「大丈夫だよ〜。
逆に聞いちゃうけど、メアリス達の前で威厳を見せつけて何になるのよ。
そりゃー、異国の貴族さん達の前では、家の国のためにも、威厳を見せつけなきゃいけないのは、
分かってるわよ?
でも〜…メアリスよ?
メアリス相手なら…別に良くない?」
「だめ。」
いつどこに不埒な輩や無粋な輩がいるかも分からない。
・・・エリーは一国の女王としては不用心すぎる。
「えー、そんな〜!
・・・ストレスが、心理的疲労が溜まりそう…。」
「我慢して」
・・・エリーがストレス感じることなんてない気がする。
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「何だろう。
凄い平和な空間が広がっているわね、虚春。」
「そうね。見てみて涸春。あのお嬢さん方を。
「女神と言われるくらいだから、
大変徳があって仰々しくて凄まじい人が出てくる」
と思っていたのかしらね。
「開いた口が塞がらない」
といった具合かしら。」
「そうね、「女神」はあれだしね。」
「・・・それより涸春、気づいた?」
「えぇ分かっているわ、虚春。
これはなかなかの御人が
潜んでいらっしゃるわね。」
「確かにそれもあるけど、
右のお嬢さんを見て。」
「・・・あら気持ち悪い。
もう少し美しく出来なかったのかしらね。
アタシ達ならもう少し綺麗に、
あとが残らないように出来るのにね。
下手くそがやったのかしら?」
「まぁまぁ、きっと素人が下手くそなりに
頑張ってやったのよ、きっと。」
「・・・どうする?」
「・・・このまま引きはがしたら、
それこそ素人がやったものだから、
美しい魂にあとがついてしまうわ。
全く、これだから屑は嫌なのよね。」
「とりあえず、後でエカテリーナに伝えましょ。」
「あと、私、もう1つ気になることがあるのよね。」
「何かしら?」
「私はよくわかんないんだけどね、
人間は1つの体に1人格という規格があるから、
あの状態はとても気持ち悪くて、
自分が揺らいでしまうようで、
自我を保ちづらくてとても辛いと思うの。
普通の健康的な人なら、
あの状態でじっとしているなんてこと、
耐えられないと思うの。
なのにあちらのお嬢さんは抵抗が少ないのよ。」
「あら本当だわ。
流石虚春、天才だわ。」
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「・・・私と娘達以外この場にはいないので、
とりあえず降りてきてください…。
・・・この場所でのことが噂になることは、
おそらくないと思いますし…」
「ね?メアリスもそう思うでしょ?!」
「・・・でも」
「この前もそんな感じで
1時間弱降りてこなかったですよね?」
「一時間弱は凄いわね。」
「逆にどんな感じで折り合いをつけたか、
そこまで来たら気になってきたわ、逆に。」
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「よいしょ、と。」
なんなの、この女。
エリーのことそんなにジロジロと見て…
品がないの?
それとも知性がないの?
せめて隣を見習って、隠す努力をして。
「お久しぶりですね、マリー。」
ブランカ伯爵夫人だ。
一度だけエリーの付き添いで会っただけなのに、覚えていて下さっていたんだ。
「お久しぶりです、ブランカ夫人。」
「お元気そうで何よりです。」
「夫人こそ、お元気そうで何よりです。
・・・伯爵の件、大変驚きました。
・・・伯爵の容体は…?」
「あぁ、チャールズなら大丈夫ですよ。
ただ、ベッドに軟禁されているだけです。」
「・・・軟禁?
・・・すみません、聞き間違いをしたようです。
もう一度お願いします。」
「良いですよ。
チャールズはベッドに軟禁状態なんです。」
「・・・べ、「ベッドに軟禁」…?」
「「夢の中に監禁」とも言うかもしれませんね。」
「・・・寝たきりということですか…?」
「いいえ、寝たきりではありません。
「夢の中に監禁されていて起きれないだけ」
です。」
「???」
皆々様、初めまして、またはこんにちは。
⻆谷春那です。
あぁ、⻆谷は只今憂いております。
「麗しき令嬢は鏡の中に」「麗しき魔女は鏡の中に」
は他作品よりも少し人気がないのです、はい。
皆々様、布教をお願いしたい。
とりあえず
「「小説家になろう」
を最初にお勧めするのは酷だ」
というそこの人は⻆谷のX(旧ツイッター)でも布教していただいて。
あぁそうでした。
こちらを忘れておりました。
皆々様、「感想」機能と「評価」機能はご存じでしょうか?
皆々様、そろそろ⻆谷、本当に読者がいるか不安になってまいりました。
(更新日に必ず増えるから恐らくいるのだろうけれども)
(お昼とか深夜とか凄い時間帯にパソコンでご覧になられているそこの皆様とか)
さすがに、そろそろ⻆谷、皆々様を認知したくなってまいりました。
X(旧ツイッター)に
「小説読んだぜ、この厨二秒!」
と書いても良いし
「そろそろキービジュアル出しやがれ!」
と感想に書くでもよろしいので頂きたいものですね。
何故今回に限ってそんな話をして本編に触れなかったかご存じでしょうか?
ちょっと現実逃避をしたかったからですよぉぉぉ!!!
ぐわぁぁぁ!!!ロセ君!!!ロセ君???
いつの間に一人称「俺」から「僕」になってるし?!
「あの女」から「あの女性」になってるし?!?!?!
ぎゃぁぁぁ!!!
失礼いたしました。
私の両手には鋭意謝らせておきますので。
じ、次回もお楽しみに。