女性騎士との会話
見ると、ナナミは大貴族ガレスベイルに話しかけられていた。
僕「、、、、、、、、、」
ガレスベイル様はこの国の三本の指に入る大貴族。貴族の中の貴族であった。
僕「、、、、、、、、、」
その家柄はナナミが求めているものの中でも最高クラスで、
心なしか、ナナミも積極的に話しかけているようにも見えた。
(仕方ないんだ。これが現実なのだから。)
僕はお茶を飲む手が止まらなかった。
ナナミは、、、大貴族ガレスベイルと楽しく話している、、、、
僕は、護衛として、その様子をじっと見ていた。
見て、いることしか、出来なかった、、、。
と、
「もしもし、失礼」
と、僕に話しかけてきた人がいた。
それは、先程、騎士団長の後ろにいた3人の部下の中の一人の騎士。
その、紅一点、の女性の騎士、だった、、、、
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その女性の騎士は老師ではなく、僕に用事があるようだった。
僕「、、、なんでしょう?」
僕は簡潔に質問する。
すると、
女性騎士「あの、もしかしたら、××月××日、中央地区の街で子供を助けませんでしたか?」
そんな事を言われた。
ふと。その日付はナナミとドレスを買いに行った日だ。
、、、その日ならば、確かに子供を、助けた。(、、真っ先に助けに入ったのはナナミであったが)
ならば
僕「そうですね、その日付ならば、そういう事がありましたね」
と、僕は答える。
そして、
何のことだろう?僕は考える。
(まさか、、、)
僕はあの日、ゴロツキに対して膝蹴りを行い、失神させていた。
それは立派な暴力事件だ。
もしかして、この女性騎士はその暴力事件の事を捜査している?
そして、その容疑者である僕を捕まえに来た、、、、???
(ま、、、)
(参ったな、、、)
気分が落ち込んでいたところに駄目押しパンチを食らった気分だ。
騎士が暴力事件の事を聞いてくるなんて、目的は1つに決まっている
逮捕だ
問題になってしまって、いたのか、、、、
僕はさっき、子供を助けたと言ってしまった。
、、、知らない、と言えば良かった、、、
(これは、逃げれない、、、)
逃げれない。
と、僕が観念する覚悟を決めたその時
女性騎士「あの時は助かりました、ありがとうございました」
と、女性騎士は頭を下げて
ニッコリと笑った。
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逮捕されるのかと思ったらお礼を言われた僕は酷く驚いた顔をしていただろう。
なんでもあの少年はこの女性騎士の甥っ子で、
あの日二人で買い物に来ていたらしい。
しかし、女性騎士が少年を見失って、そして少年を探していたところ、あの騒ぎがあったらしい。
女性騎士は少年を助けてくれた僕を見ていたが、僕がそそくさ居なくなった事で礼を言えず仕舞いだった、という顛末だった。
女性騎士「あの時の青年が貴方ならば、老師が騎士団に入れる逸材だ、と言う事も納得できます。」
老師「そうじゃろう、そうじゃろう」
女性騎士「あの時の手腕は見事と言うしかありません。」
老師「そうじゃろう、そうじゃろう」
女性騎士と老師は僕の事を最大限に褒めてくれている。
あの時はナナミに怒られて、自分も確かにミスったな、と感じていたが、
こうも褒められると嬉しかった。
僕「そうですか、あんなもので良かったら、いくらでも出来ますよ。」
中々褒められる事のない僕はとても嬉しくなっていた。
女性騎士「いやいや、この若さであの手際。見事なものです。」
老師「そうじゃろう、そうじゃろう」
老師も自分の弟子が褒められていて嬉しそうだった。
楽しい。
僕はそう感じていた。
この女性騎士と話していると楽しいな。
と。
ふと、僕は思い出したようにナナミの方をチラリと見た。
ナナミは楽しそうに大貴族ガレスベイル様と話をしている。
ナナミも、楽しそうだ、、、な
僕はこの女性騎士と話しているのが楽しい、、、、
(ここは、貴族達の護衛、そして騎士団、多くの武者がいる。)
考える
(こんな場所でトラブルなんて起きるわけが無い。)
(トラブルなんて起きるわけがない。)
僕は
(ま、大丈夫だよね)
そう思って、この女性騎士とまた話し始めた。
僕「それよりも女性なのに騎士になるって凄いですよね。」
僕はさっきから聞きたかった事をようやく聞けた。
女性騎士「そんな事ないですよ。最近は女性の騎士も増えているのですよ?」
女性騎士は笑って答える。
女性騎士「貴方も直ぐに騎士になれますよ」
女性騎士は僕の力を認めてくれている発言をする
僕「いやー、僕なんて、、、」
僕は頭をかき、
嬉しくなりながらも、一応謙遜する。
僕は綺麗な女性騎士と楽しい会話に夢中になっている
と。
不意に
老師「おや、お嬢は何処へ行ったかの?」
と、老師が言った。
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不意に、
老師「おや、お嬢は何処へ行ったかの」
と、老師が言った。
僕は瞬間、慌てて振り返る、、、と
確かにナナミは居なかった。
、、、トイレ?
僕がそんな風に思った、
その時
きゃあああああああ
叫び声がした
!?
その声のする方を見ると貴族の女性 (ナナミでは無い)が、赤いハチマキをした男に羽交い締めにされ、喉元に包丁を突きつけられている。
(えっ?)
瞬間、先程の老師の言葉を思い出す
(、、テロの予告が、あった)
僕は慌てて剣に手を掛ける、と、
その時にはその包丁を持った赤いハチマキ男は女性騎士によって失神させられていた。
(速い、、、)
僕が女性の声を聞いて、慌てて剣に手を掛けた時には
女性騎士は既にもう動き出していたのだ。
(これが、、、騎士、、、、、)
僕が、驚いていると、
きゃあああああああ
と、別な場所で声。
その方を見ると、女性が肩口を斬られ、倒れ込んでいた。
その脇には赤いハチマキをした別の男が血で染まった剣をその手に握って立って次の獲物を探している。
(え?)
うわああああああああああ
きゃあああああああああ
ひぃいいいいいいいいい
次々と悲鳴が巻き起こる。
なんだ、これ。
僕は混乱した頭のまま、女性を斬りつけた赤いハチマキの男に対して斬りかかる!!!
キイイイイイン
刃と刃のぶつかる甲高い音。
きゃああああああああああ
うわああああああああああ
ひぃいいいいいいいいい
続けて周りから更なる悲鳴が聞こえる。
血を流している人、人、人。
パーティー会場は大混乱に陥っていた。
『てめえら貴族が!俺たちから搾取するから!俺の家族は死んだ!』
『てめえら貴族が!生かしておけねえ!!』
『これは革命だ!!!』
『貴族は全員処刑する!!!』
犯行声明らしい声が聞こえてくる。
赤いハチマキをしている者がその声を発している。
場は、斬る者と斬られる者、傷付ける者と守る者。
それが入り乱れていた。
うわああああああああ
きゃああああああああ
ひぃいいいいいいいいい
悲鳴が騒音となって場を埋め尽くす
赤いハチマキの男が達が剣を振り回している。
逃げ惑う貴族の男と女。
赤いハチマキに対抗する護衛と騎士達。
場は、戦争状態になっていた。
そして、
僕は
ナナミを見失っていることに
今気付くという
耐えがたい失態を
犯していた、、、