騎士団長と女性の騎士
そして、時は件のパーティーの時間になった。
このパーティーは大貴族が主催する大規模なパーティー。
ここでは全国から貴族達が集まり、情報交換だったり、取引だったりをする。
その中でナナミはより良い貴族との関係を持つ、という目的をもっていた。
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ナナミは辺境の地方貴族の一人娘だった。
貴族とは言え、その家が治る土地は豊かという訳ではなく、ナナミの家の財政は楽では無かった。
そんな貴族の一人娘に生まれたナナミがどうして、自由恋愛など出来ようか。
ナナミは子供の頃からすでに決意していた。
自分の身は家族を助けるためにある、と。
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ナナミ「さあ、行くよ!」
この日の為のドレスに身を纏ったナナミが僕と老師に声をかける。
今この場にいるのは僕と老師とナナミの三人で、ナナミの両親は遅れて参加する、という手筈になっている。
平民の僕が、この様な貴族の集まる場に存在している理由はまさにナナミの力であると言えた。
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パーティー会場の手前の広場。
そのには様々な人達が待ち合わせだったり、待機だったりしていた。
僕達はナナミの両親を待たずにパーティー会場に入ろうとして、この広場を通り過ぎようとし、た
とき、
「老師、もしや、バラック老師では?」
と、誰かから声をかけられていた。
僕はそちらの声のする方を振り向くとそこには
王国騎士団長という、凄い人がいた、、
。
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老師が元騎士だという事は村のみんなは誰しもが知っていた。
しかしながら、普段の老師のぼけっとしている態度とかから察するに、下っ端の騎士だったのかな?
なんてみんな思っていた。
しかし
この話しかけてきた人は騎士団長その人である。僕は、一度だけ、見た事があった、、、
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老師に話しかけて来た人は王国騎士団長でその背後に3人ほどの部下を連れていた。
その3人のうち1人は女性で
(女性で騎士なのかなあ?凄い人もいるもんだ)
と、僕は少し驚いていた。
そして何やら世間話をしている老師と騎士団長はどう見ても、老師の方が立場が上の人のように話していた。
僕がそれを珍しそうに見ていると
ナナミ「ねえ、リオウ、先、行こう」
と、ナナミに急かされた。
僕がナナミに頷いてパーティー会場へ行こうとした時、
老師「リオウ、こっちに来なさい」
と、老師に呼ばれてしまった。
ナナミと少し顔を見合わせて、"行って来なよ、でも早く戻って来てね"と、目で訴えられる。
僕は了解して、老師と騎士団長の元へ向かう。
僕「なんでしょう?」
老師「ロベルト、こやつじゃ」
騎士団長「ほう、、、この子が」
老師「そうじゃ、近々お主の世話になる、、ぞい、多分な」
騎士団長「ほう、それほどまでに」
老師「うむ。ワシが保証する。」
老師「最初は全くダメだったんじゃがな」
2人で何やら話していて、そして騎士団長が僕に声をかけてきた。
騎士団長「リオウ君、だね。私は王国騎士団長を務めさせて貰っているロベルトだ。宜しく」
と、言って右手を差し出してきた。
僕は驚いて「あ、宜しくお願いします」
といって、同じように右手を差し出して握手をした。
(まさか騎士団長と握手をするとは、、)
僕が驚いていると
ナナミに背中をつんつん指刺される
ナナミ(リオウ、早く行こう)
その声で僕は老師と騎士団長に別れを告げ、ナナミとそそくさとパーティー会場に行くのであった。
ふと、僕は騎士団長の背後にいた、女性の騎士が少し気になって、、、
(女性で騎士、か、、、しかも凄い美人だったな、、、)
そう感想を一人で考えていた、が
変な事を考えていると直ぐにナナミにバレるので
でも意識をすぐにパーティー会場に戻し
ナナミの後を追った。
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ナナミ「リオウ」
パーティー会場の中を歩きながらナナミは僕に話しかけて来た
僕「ん?何?」
僕は何気なく聞き返す
ナナミ「リオウ、あの、女の騎士さん、見てたでしょう?」
僕「えっ!?」
僕は頭が固まってしまった。
た、た、た、確かにチラッとは見てたけど
し、指摘されるとは、、、、
思わなかった、、、、、
僕「な、なに?別にチラッと見ただけだよ」.
とりあえず僕は何も悪く無いのに言い訳を始める
僕「女の騎士さんなんて珍しいから」
僕「た、ただそれだけさ」
そう、別に僕は何も悪くない。
と、ナナミはそれを聞いて
ナナミ「ふーん」
ナナミ「、、、、」
と、黙り込んで。
そして。
ナナミ「でも、美人だなーって、思ったでしょ?」
ド、、ドッキーーーーーーン!!!
僕の心臓が跳ね上がる
な、な、なんだ、このオンナは
と、ど、ど、読心術か?
そのピンポイントでドンピシャな指摘に僕は明らかに動揺してしまった。
ドキドキドキドキ
ナナミ「、、、ふーーーん」
ナナミはその反応を見て全て理解したかのように
ナナミ「リオウはわかりやすいね」
と、言って僕に背を向スタスタスタスタと先に歩いて、いってしまった、、、
僕「、、、、、、、」
ほんの、些細な油断さえも命取りになる、、、
戦場とはそういうものなのだと、僕が学んだ瞬間だった、、、、、