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脳内彼女

作者: ぺさ

目が覚めたら病院だった

体を動かそうとすると

全身に痛みがはしり

なぜこうなったか

思い出そうとしても

すっぽりと記憶が抜け落ちていた


少しして

看護婦と医者が現れ

僕の様子に気づくと

冷静な口調で

「松田さん目覚めたんですね。よかった」といって笑った


僕は先生に

「何があったのか覚えてないんです」と

話しかけると、


先生は優しい口調で

「無理に思い出さなくていいですよ」と

微笑み


「今は安静にしていることが大事です

しばらくは体と心を休めましょう」


そういって部屋からでていった


取り残された僕は

なにをすればいいかわからなかった


体を起こそうとすると痛みがはしるし

この部屋には娯楽らしきものもない


それに、とても人恋しくなった

僕に彼女がいたらな、

僕を心配してくれる彼女が欲しかった


その時、いい暇潰しを思いついた

自分の理想の彼女像を

事細かに考えていこうと


そうやって時間を潰し

退院したら

そんな彼女と出会うために

頑張って生きていこうと決めて

俄然やる気がでてきた


さっそく僕は

名前から決めてゆくことにした。


ありさ、かな、かほ、めぐみ、

ゆみ、ゆか、ゆり、etc.

色々と名前を考えて

めぐみがいいなと思った


名字は、シンプルに鈴木がいい


鈴木めぐみ、素敵な名前だ

年齢は僕と同じ22才で

大学4年生

誕生日はクリスマスと被ることを

いつも悲しそうに語る

12/25日


趣味は料理で、

身長は160センチくらい


僕の好きなアイドルwashのヴォーカルの

あーみんに似てる容姿をしている


めぐみは、派手ではないが

明るい性格をしているので

暖色系の服装を好んで着て

ズボンよりスカートを好む


数時間後

段々と僕の理想の彼女のイメージが

固まっていった


そして

頭の中に

完全に

鈴木めぐみは誕生したのだった


僕は毎日、めぐみのことを

想いながら生活していた


日にちがたつにつれ

僕の体は回復し、退院することになった。


僕の退院を、めぐみはとても喜んでくれた。


でも、あまり無理しちゃダメだよと

心配もされた。


僕のことを、よくわかってる、

めぐみの思いやりに

また愛おしくなった。


僕は退院し、久しぶりに

自分の家に帰り、家族と夕食を共にした


家族は、僕が家に戻ってきたことに

対して、あまり喜んでいないような

気がした


母親は、

「落ち着くまで外出は控えなさい」といい


家族に、

「なんで僕は入院したんだろう?」と

聞いてみると

みんな口ごもって答えてくれなかった。


僕は首をかしげながら

自分の部屋に戻り

思い出そうとしたが、

思い出せない


悲しくなって、救いを求めるように

また

めぐみのことを想った


大丈夫。僕には、めぐみがいる。


そう想ったら、安心でき

嫌なことを忘れて眠ることができた


翌日になって

僕は、やることがなかった。


暇なので外出をしようとすると

母親が、必死になって

僕を止める


一体どうしたとゆうんだろう?


僕は、仕方なく、自分の部屋に戻り

なにするでもなく

ぼぉっとしていたら



ふと、インターネットで

めぐみのことを検索しようと思いついた


そして検索欄に

鈴木めぐみと打ち込み、

手当たり次第

めぐみのことを探した


もう、この頃には、めぐみは実在する気がして、しょうがなかった



数時間後、僕は、一枚の画像に

釘付けになっていた


なんと、僕の理想通りの

めぐみがやはり実在していたのだ


めぐみは、画面越しに

僕に向かって

笑顔でピースをしていた


僕は興奮して

めぐみのSNSを開き、

覗き見ると

めぐみは、

自分の

作った料理を、たびたび画像にして

アップしていることが分かった


やはりこの人は

僕のイメージどおりの

本物のめぐみだ



僕はいてもたってもいられなくなり

めぐみとコンタクトを取りたくなった


めぐみにフォロー申請をして

めぐみのアップされている画像から

めぐみの居場所を探し始めた


そして僕は不思議な感覚に陥る


いろんな

画像を見れば見るほど

なぜか見覚えを感じた



あれっ

僕はこの写真の場所を知っている


この場所も、この場所も、あの場所も

僕は知っている


あっ、


僕の

閉ざされていた記憶が

いきなり蘇った



そうだ




僕は昔、めぐみと付き合っていたんだ



そして、めぐみに別れを切り出され


飛び降り自殺したんだっけ


そして失敗して入院してたのか、、、



どおりで、僕は、めぐみのことを

こんなにも知ってるはずだったんだ



僕はバカか


そりゃあイメージだって湧くに決まってる




無意識に

アハハと乾いた笑い声をあげ、

僕は

また死にたくなっていた


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