第一話 何を求めて
時折、思う。
強く生きている人が羨ましい。
僕の存在理由とは。
自分の役目とは何かを考えることがある。
この世に生を受けたのだから観念して生き続けなければならないのだが。
僕はこのまま生き延びることができるのだろうか?
父と母は僕というハズレくじを引いたことにはならないだろうか?
別に死に急いでいるわけではない。
ただ地平線をぼんやり眺めていると、永遠の休息はいつやってっくるのだろとつい思ってしまうときがある。
「9割型寝てたな」
机から顔を上げると手塚先生が僕を覗き込んでいた。
「・・・!」
「すっ、すみません。・・・。あの・・・、数学はどうもニガテで・・」
先生は溜め息をつくと、楽しい授業になるよう努力はしているんだがなと言った。
僕がひたすら謝ると、先生はやれやれと言って教室を後にした。
「成敗!」
錦は僕のおでこを爪ではじくとニカッと笑った。
「お前は予想を裏切ってぐーたらだな」
「・・・。なんだよ、それ」
カチンときておでこをさすりながらきいた。
錦は両手の平で自分の頬を覆うと、亘くんが不真面目な子だなんて知りたくなかったわ~と言った。
「・・・。これからもお前のイメージを欺き続けてやるよ」
不貞腐れる僕に、錦は普段真面目な子がガッツリ寝てると、目立ちたく無くても目立つのよね~とからかった。
この神出鬼没の男はお察しの通り僕がいつも行動をともにする友達だ。
スタンドプレーが多く、規則は破るためにあると思っている。
動作が荒っぽく、多少の事には動じない。
いつもの空を眺めながら、錦みたいに嬉しいときはただただ喜ぶような素直な人間になれたらなぁと僕は思った。
若干短いですが、区切ります~。