ジェイフォージェイVS黒姫
「ノブオ朝起こせよ」大刀
「はい。おやすみなさい頭」ノブオ
「おやすみなさーい」ジュリ
東京での視察、食事を終えホテルに。
明日の朝には飛行機で広島に。
そしてここの部屋の予約数は3つ・・・
一番端にジュリ・真ん中に大刀、その隣がノブオ
「ピタ・・・」
「・・・・・・・・・・・」ノブオ
してはいけない。聞いてはいけないのは分かっているが、
隣の大刀の頭の部屋の壁に向かって耳を当てる。
「・・・ジャー・・・」
(シャワーか・・)ノブオ
もしこんなのバレたら何もかも信頼関係失うな・・
けど・・
気になるじゃろ・・
頭の部屋に人の出入りがあるのか・・・
「・・・・もしぃ・・おう・・」
(電話の声ギリ聞こえるな・・)ノブオ
誰だ?
・・・ジュリか?
今から行っていいか?とかか?
「・・おうっ。じゃあの」
そして大刀の電話は終了。
じゃあの?(※またな。)
じゃあすぐ側にいるジュリってわけじゃないか・・。
「・・ン・コン・・」
「おう」
(うおっ!)ノブオ
マジか!?
大刀の頭の部屋のノックオンに迎え入れる声・・・
「・・・・・・ぁ」
「・・・・・のぅ」
(くそっ!聞こえづらいな!)ノブオ
いや、やってはいけない事とは分かってるんだが・・
東京にまで呼ぶって事はのぅ・・
「いや・・止めよう。」ノブオ
下衆すぎる。俺のやってる事は。
例え、頭とジュリが男と女の関係でも気にする事じゃない。
ジュリが所詮大刀の頭の手で踊らされてるだけ・・
いや・・
自分に言い聞かせてるだけか・・
この丁度いいブスと俺がヤリたいって感情を抑える為の・・
このブスなら・・俺と・・
「ふぅ・・もう寝よう」ノブオ
明日も早いしな・・
・・・ジュリは俺の地元の後輩だ。
熱い街で、不良も多いが、市内からは少し離れとって。
俺も若い頃はやっぱ街中の不良連中が怖くて・・
八丁とか流川はいつもヒリヒリしよったのぅ・・
紙屋町で大刀の兄貴に拾ってもらって・・
それから・・
・・・
「ドンドンドン!!」
「ノブオ何しとんじゃ!起きろ!」大刀
「朝ごはん行きますよー」ジュリ
「・・・うわぁ!はいっ!すぐに!」ノブオ
いつの間にか眠っていた。
やはり他所の組織との外交と東京って街に緊張と疲れが溜まってた。
「カチャ・・カチャ・・」
「モグモグ・・」
バイキング形式の朝食でその人の性格がよく分かるというか・・
大刀の頭は野菜を中心とした栄養重視。
ジュリはソーセージや玉子焼きのおかずばっかり。
「・・・お前なんでパンとみそ汁なんじゃ・・」大刀
「あ・・いや・・食べたいもの取ったらこうなりました」ノブオ
いや、本当はボーっとしてた。
昨日の声はやはりジュリだったのか・・
それとも東京の女か商売女を呼んだだけなのか・・
「わりゃ、肉ばっかり食いよったらオマンコ臭そぅなるぞ」
「えええ!そうなんじゃ!?」
東京の街でする会話じゃないのぅ・・
でも・・
(違う・・ジュリじゃない)ノブオ
声質もだが、なんかこの二人は男と女の関係ってようには見えん。
たぶん東京の女でも呼んだんだろう。
慌ただしく広島の事務所へ戻り・・
「プルルルルル・・」
「はいっ紙江田コンサルティングですっ」ノブオ
やる事は多々ある。新規事業が二つも増えるのだから。
さらにみかじめの管理も増えたし、ガキの抗争も気にかけなければ。
「専務っつ(大刀)3番に本社(共黒会)からお電話です」ノブオ
「おう」大刀
本当にここは知らない者が見れば、
ただのカタギの会社に見えるだろう。
そして昼間紙屋町にたむろするジェイフォージェイは・・
「東京連れてってもらったって?」
「そうそう。何か一人キャンセル出たからって」ジュリ
ま、これといって何もしてないけど。
大刀さん達は仕事で、仕事終わりにご飯行ったくらい。
「暇じゃけプラプラしちょったんじゃけど・・」ジュリ
東京の街を・・そしたら・・
「・・・天野さんおったんよ・・東京に。」ジュリ
「意外!」
「超偶然!すげえ!」
正確には赤坂。でもそれって・・
「・・・大刀さんとか狙われてたとか・・」ジュリ
「恐っ・・」
「偶然のニアミスなのか、意図的なのか・・」
そしてこれを大刀さんに伝えるべきか・・
「・・・・」ジュリ
「・・止めとけ」
「そうじゃの。変に俺等ガキがチクりいれても勘違いじゃったら困るし」
そうじゃね・・ちょっとモヤモヤしとるけど・・
「ジュリ、粉もん行ってこいや」
「あっ!みかじめ!忘れとった」ジュリ
「本当ちょうどええよな・・」
ジュリが取りに行くのが。
俺等が行っても、やっぱ不良って感じやから店に迷惑かかるし・・
「ウチ、人気じゃけ」ジュリ
「まぁ愛嬌はあるよな」
「ジュリは営業力あるよな。センスあるわ」
お好み屋やらーめん屋からもみかじめが取れるようになった紙屋町。
粉もん屋もたまに必要になるのが、ヤクザの威光と保険だ。
いざというときには酔客の処理を頼めるし、
ジュリならみかじめを取りに来てもお客さんに変な感じは持たれない。
酒屋の集金かな~程度だ。
「こんにちはー。紙江田ですー」ジュリ
「おうっおねーちゃん今月分お願いね」
そして会社(組事務所)に来客が・・
「ゴヴォン!」
派手なマフラー音・・
「黒姫のジュリナです。大刀さん居られますでしょうか?」
「んっ!んん!!」ノブオ
んん?何かノブオさんが咳払いして・・
「・・・・・・・・・・」大刀
「あっ!・・・・すいませんブラックハニーの・・」ジュリナ
くそっ!
なんでこんなダサいチーム名名乗らないといけないんだよ!
なんなんだよこの変な縛り。
「お前も漢字表記で名乗りたいか?」大刀
「・・勿論。ウチの正式名称は・・」ジュリナ
廣島連合黒姫・・
「最高の字面に歴史かと・・」ジュリナ
「まぁシンプルにオーソドックスにかっこええのぅ」大刀
黒姫の歴史は古く偉大だ。
長らく途絶えていたのを復活させたのがジュリナだ。
「うん。店に行ったのはジュリナの力を貸してもらおうと」
「はいっ私に出来る事があれば」
本題を・・
だが・・
「なんで紙屋町にランボルギーニが止まっちょるんじゃ!!」
(わちゃー・・ジュリじゃ。タイミング悪いのぅ)ノブオ
中まで聞こえとるぞ・・
こりゃ来るど・・
「・・・傷つけたろ」ジュリ
・・・それも聞こえとるぞ・・